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人を愛することを 一から教えてあげよう
mangekyo drops
ある程度予想しながら読み進めるのですが、全く予想とは違った怖い展開にビックリで、いい意味で裏切られた感があり楽しませてもらった1冊です。
受けさんの凪の境遇が可哀想すぎて。それでも自分を拾ってくれた主(攻めさん)の為に一生懸命頑張って生きようとする姿が余計に心揺さぶられました。
それでも泣くほど入り込まなかったのは、凪のツンな性格が可愛くもいじらしくも見えて微笑ましさもあったからかもしれません(^^)
トラウマにもなっている両親の無理心中から立ち直ろうとする最後のシーンは、誰よりも男前だったように思います。
そんな凪を溺愛してやまない攻めさんのイリスは、途中まで主従関係が変わることもなく甘々な雰囲気もなかったので、恋愛関係に発展できるのかひやひやしましたが、いきなりの積極的さもあって主従関係も変わったので、凪にはイリスがやっぱりちょうどいいんだなあ…と。
イリスも本当に可哀想な境遇に置かされるので、全体を通して暗いお話だった気がします。
義母の企みはある程度読めても、イリスの親友だったフレデリクがまさか…な展開には本当に恐ろしさを感じましたし。
タイトルと表紙イラストから甘々なお話かと思っていたら、結構ダークな話だったのでシリアス系を読みたい時などにはピッタリかもです(´・ω・`)
1960年代の英国が舞台の、伯爵家の嫡男攻めと、攻めに拾われた孤児の従僕受けのお話です。
受けは9歳のとき、両親が起こした無理心中で生き残った孤児。その無理心中のシーンから作品は始まりますが、次のシーンでは受けは19歳になっていて、寝汚い攻めを起こすほのぼのな場面にホッとします。でも物語の中心は伯爵家のお家騒動に移り、そちらも割と重く痛い展開。受けに残るPTSDも加わって、全体的にシリアスなお話です。
でも攻めが天然気味で、ツンデレ受けが天然発言する攻めをビシビシ叱ったりするので、そちらの明るさでバランスは取れていたかと思います。
受けは、普段はしっかり者なのですが、過去の無理心中の記憶のトラウマから、ときどき夢遊病的な行動を起こします。そのときには、普段はビシビシ叱ってる攻めのベッドに潜り込み、幼児退行したような口調で攻めにくっついていくので、それにはかなり萌えました。
可愛いんだけど、親を探して泣く幼児バージョンの受けにはさすがに手を出せず、紳士対応の攻め。攻めはずっと受けが好きなのはわかるのですが、最初はほとんど受けを口説いたりしません。ある夜急にそういう展開になるので、ちょっと唐突感はありました。もうちょっと小出しに口説いたり、幼児バージョンの受けに理性を試されて悶えたり、そういう描写が欲しかった気はします。
エロのときの受けの天然小悪魔っぷりには萌えました。飄々とした攻めが、童貞処女の受けに振り回されるタイプのエロです。このパターンが好きなもので、それだけで萌えられました。
それから、舞台が1960年代の英国なんですが、あまり昔っぽい雰囲気がなかったです。攻めの弟に対する遺伝子検査をしないのか、という疑問を読者に持たせないためだけに1960年代設定にしたのかな、と思っちゃいました。
あらすじ:
舞台は1960年代英国。
一家心中で生き残り、ロンズデール伯爵家に引き取られた凪(受け)は、伯爵家の嫡男・イリス(攻め)にひそかに想いを寄せていたが…
凪は、従僕見習いとして伯爵家で働く青年。
あらすじに「ツンデレ」とありますが、作中ではそれほどツンな印象は受けませんでした。
毎朝イリスを起こしたり、言葉を交わしたりするだけで満足しており、
東洋人で従僕の自分がイリスの恋人になれるなどとは夢にも思っていない…
そんな謙虚な人物です。
イリスは伯爵家の後継者ですが、そうした身分の高さを感じさせない気さくな人物。
従僕の凪を可愛がったり逆に甘えたりする姿に愛嬌があり、高貴な美貌とのギャップが素敵です。
物語は、イリスの義母にあたる伯爵夫人が、自身の息子を跡継ぎにしたいと目論んだことからシリアス展開へ。
もう一人の黒幕と伯爵夫人とのドロドロはちょっと昼ドラっぽいですが、爵位争いの熾烈さも伝わってきて、物語の良いアクセントとなっていました。
ラストは甘々。凪を可愛がるイリスの姿が微笑ましく、年の差・主従モノのツボを押さえた一冊かと思います。