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kappa no koimonogatari
家庭の事情で田舎の高校に引っ越してきた攻め。初登校で学校に行くと、学生服を着た美少年がクラスメートから水をかけられていて、いじめだと思った攻めが咎めると「余計なことをするな」と本人から怒られてしまった。聞けば彼は河童だと言う。半信半疑ながらも気になって友達付き合いをするようになったが、周りから遠巻きにされていた河童はそのうち攻めに懐くようになり…。
攻めが田舎の高校に引っ越してきたら、クラスメートに河童がいた、という話です。河童受けです。
河童はなぜか普通に高校に通っているのですが、怒らせると龍神さまの祟りがあるからと、クラスメートや村人からは遠巻きにされています。確かに受けが怒ったり感情が昂ぶったりすると大雨が降ったり落雷したり。ちなみに水掻きはありますが皿はありません。
攻めは、いろいろ証拠を見ても半信半疑なのですが、クラスメートから距離を置かれている受けが気にかかり、話しかけたり弁当を食べさせたり構うように。最初は「俺に近づくな」とピリピリしていた受けも、徐々に慣れて友達付き合いが始まります。
河童受けは、攻めいわく「鄙には稀な」突出した美少年。その美少年が、慣れてきてぎこちない笑顔を見せたりするのに攻めはドキドキ。だんだん気になって、触ってみたくて、やや不自然な態度になってしまいます。攻めは頭も顔もよく、病弱な母と弟がいるので面倒見もいい好青年ですが、家族の世話や勉強に忙しく恋愛はしていなかったキャラ。もちろん童貞なので、触りたいとか言えないし、内心ではテンパっているのです。
その不自然な態度に受けが「避けられてる…!」と傷ついたり、攻めが頑張って誤解を解いたり、誤解を解きついでに触りっこしたり、そんな展開。
恋愛経験皆無の攻めと、恋愛感情すら知らない受けが、おずおずとキスしたり、触れ合ったり、少しずつ近づいていくのに非常に萌えました。
舞台設定が特殊なので、説明に要したページ数が多く、できればもうちょっといちゃいちゃが読みたかった気はします。特に、本格的に結ばれるのがラストの方なので、その後の2度目とかの甘い触れ合いが読みたかった。
あとイラストの北沢きょうさん、ちょっと絵柄が変わったかな? 個性が少し減って、繊細さが少し増えたような印象でした。
河童ですよ、河童。あの、緑のアレです。あとがきによれば渡海さんが子供の頃から河童がお好きで、何故かずっとロマンを感じていて、この作品を書くに至ったとのこと。自分の「好き」を貫き通し、とても素敵な作品に仕上げてくれた渡海さんと関係者の皆さまの心意気に拍手したい気分です。
私も、人外BLもここまで来たか…とビクつきながら読み始めましたが、日本人が一般的に認識している河童像が非常に巧みに萌えにコンバートされています。ファンタジーでありながらちゃんと現実味があって、その一方で人外モノならではの不思議さと、人種(?)の壁にまつわる切なさがきちんと描かれています。
主に主人公・啓志(攻)の視点で進みますが、たまにインサートされる太郎(受)視点のエピソードが可愛らしくて印象的でした。啓志は、序盤こそ確かに強引なところがありますが、自認しているとおり頭が良く、根が優しくて、何よりとても男前でカッコ良い奴で好きでした。
北沢きょうさんのイラストもキュートで、もっと沢山の人に読んでほしいと思いました。
啓志が転校したクラスメイトには、河童の太郎がいました。
転校当日に担任の先生から「うちのクラスに河童がいるから」と言われた
啓志の頭に?(はてな)マークが浮かんでいるのが想像できて笑ってしまいました。
確かに突然言われても理解できないですよね。
とにかく、真面目でやさしい啓志と本当は寂しがり屋で人間思いの太郎の
可愛い初恋物語でした。
感情が天候に影響を与えてしまうため、ずっと感情を押し殺してきた太郎が
人間に恐れられ友達もおらず寂しくて泣いてしまう姿が切なかったです。
啓志の内面に秘めた欲情が頭の中でぐるぐるする様子も、
初めて恋をした高校生って感じで良かったです。