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私は好きですね。
あまり痛々しい話とか、不憫すぎる受けとか、ドロドロな話が好みではないので躊躇してましたが、思い切って手に取って良かったです。
水原さんの作品は『雪の声が聞こえる』に続き、2冊目です。
どことなく綾辻行人の『another』に似てますかね?
“憑きもの筋”と言われ、誰にも愛されなかった操。そんな彼に優しく寄り添ってくれたのは医者の息子晃司だけだった。自然な流れで二人は惹かれ合い、高校卒業後は一緒に暮らそうと約束するがその願いは叶わず…。
晃司が男前です。心の奥底では操に対して疑問や恐怖を抱いていないわけじゃないだろうに、それ以上に操を大切に感じてるのが伝わってきます。好きなだけじゃ、相手の人生までは受け止めきれないけど「操に殺されるならそれでもいい」とまで言ったのだから、相当な覚悟で操を連れ出してますよね。
母親の死の真相や、父親の行方、バス停で待っていたおじいさんに何故操の祖父が取り憑いたのか…など読んだあとも謎は多く残りましたが、初恋を貫き通した二人に感動したので『神』とさせていただきます。
コウキ。さんの絵も、浮世離れした物語の雰囲気とマッチしていて良かったです。
医師の晃司(攻め)は、大学受験を境に音信不通になっていた元恋人の操(受け)から、一目会いに来てほしいと手紙を受け取ります。
山奥の療養所で暮らす操は、10年前と全く変わっていなくて、忘れられなかった恋心が再燃します。晃司は、このままここで朽ち果てると悟りきっている操を療養所から出して解放してやろうと心に決めます。
とある田舎に住む操は、憑き物付きの家系の母から生まれ、不幸を招くと周囲から疎まれて過ごしていました。
このあたりは読むのが少しつらかったです。
最低限の面倒は見て貰っていましたが、家にも学校にも居場所がなく、いつも一人。
小学校5年の時、親の都合で引っ越してきた晃司は、事情を知らないため、操と仲良くします。操が晃司までいじめられるのではと気を使うので、皆には知られないように、二人だけで遊ぶようになり、想いを通じ合わせます。
大学受験時、家から解放されたがっていた操を東京の大学へと誘うのですが、祖父の反対により受験できないことに。それでも、どうしても晃司と一緒に東京に行きたい操は強行しようとするのですが、ある事件の為行けなくなってしまいます。この事件により、長らく意識不明になっていて、意識を取り戻した時にはこのあたりの事は全く覚えていませんでした。
操に再会し、今度こそ操を解放しようとする晃司は、操のルーツを探しに行きます。
同級生や操の叔父からの聞き込みで次々に明るみに出る不審な事故。ただ、それが操が原因かどうかということははっきりしない。ただわかるのはその前に操が傷ついたという事実だけ。
思い出せない事件のこともあり、周りを無意識に不幸にするんじゃないかとおびえる操。それでも、解放しようとする晃司に触発され、自分でも動こうと前向きになります。
ほぼ全ての事情を知った晃司は、全く何も思わないわけではないでしょう。自分は操に殺されてもかまわないと思っていても、もしかしたら大切な家族にまで被害が及ぶかもしれないのですから。ただ、今までの状況からも、自分が操のもとにいて悲しませない限り、周りが不幸になることはないと信じているから、今まで不幸だった操を幸せにしたいと思っているのではないでしょうか。
ある意味、晃司の純愛物語でもあると思います。
読んでいる間は、ずっとうすら寒い感じがしてたまりませんでした。
そして、最後までハラハラしました。実は操は白蛇に操られていて、晃司は騙されてるんじゃないかとか、バッドエンドになるんじゃないかとか、ひやひやしました。
祖父のこと、操の出生のこと、母親のこと、父親のこと、不審だったおじいさんのこと、手紙と同時に見た操の幻、いろいろな謎が解けないままなのが一層不気味ですが、晃司と操が幸せに暮らして一生を終えたら、あの町の奇妙な出来事は収束することでしょう。
二人が穏やかで幸せな一生を暮らせますように願ってやみません。
水原さんの新刊は、地方の小さな田舎町を舞台としたホラー風味のお話。
初恋モノとしての切なさと、和風ホラーとしての薄気味悪さが同居したなかなか面白い一冊です。
白蛇の血を引く「憑きもの筋」の子として、周囲から疎まれる操(受け)。
彼に関わると不幸なことが起こるとされ、家でも学校でも除け者にされています。
そんな操が10歳のとき出会ったのは、東京からの転校生で医者の息子の晃司(攻め)。
明るく優しい晃司は、学校で孤立する操の唯一の友達となります。
中学、高校…と一緒に時を過ごし、やがて二人は想いを打ち明け合い恋人同士に。
一緒に東京の大学を受験し、町を出ることを誓い合いますが、大学受験日の直前、操の家である事件が起こり……
序盤は上記のような展開で、操視点。
その後は約10年後の物語となり、東京で医者になった晃司(27)に視点が移ります。
初恋の相手からの手紙を便りに山奥の療養所を訪ねると、そこには昔と変わらず美しい操の姿が。
当時と変わらぬ愛を確かめ合いますが、操は軽い記憶障害を起こしており、10年前の出来事について多くを語りません。
10年前、操はなぜ受験会場に現れず、晃司とも連絡が取れなくなったのか?
祖父を殺したという操の言葉は真実なのか?
このような謎を解き明かし、操を療養所から連れ出そうとする晃司と、
呪われた自身の血筋に怯える操の想いがそれぞれの視点で語られており、
切なさと怖さが同時に味わえるような展開です。
最後の最後まで油断できないスリリングな面白さのある作品ですが、エピローグと後日談で勢いが収束し、普通の純愛ものっぽいラストを迎えてしまった点はやや残念。
晃司の疑念、操の母の死の真相、操の秘めた狂気など面白い伏線が色々あったのに、エピローグと後日談でそれらの伏線を活かしたどんでん返し等なかったのは惜しいと思いました。
晃司が、透視能力持ちなのか!?というほど操の気持ちを先読みしている点にも都合の良さを感じてしまい、やや消化不良。
また、「憑きもの筋」の設定がある割に、伯母夫婦(特に伯母)が大した不幸に見舞われていない点にも疑問が残りました(操の悪口を言ったり療養所に追いやったり、結構酷いことをしていたと思うのですが……)。
しかし、近年の水原さんの作品の中では大変面白く、特にエピローグ前までの流れにはかなり引き込まれました。
和風ホラー的な雰囲気を楽しみたい方にオススメです。