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maousama to boku no ayaui nichijo
『先生とオレの危うい日常』のスピンオフ。
前作と違い初めからファンタジー全開な世界観なので、こちらは最初からストーリーにすんなり入り込むことが出来ました。
名門淫魔一族に生まれながら、未だ羽化できず、小柄で子どものような容姿のアレン(受け)。
彼は、魔界から姿を消した魔王(攻め)を呼び戻す任務を与えられ人間界へ。
魔王と共に、魔界の秩序を乱す妖術使いを探すことに…という、ほのぼのファンタジーです。
アレンは、齢98歳にして未だ伴侶に巡り会えず、従って羽化できずにいる半人前の淫魔。
見た目の幼さをいじられるたびムキーッとなっていたり、
いつか筋骨逞しい淫魔に成長できることを夢見ていたりと、
明るく表情豊かなところが可愛らしいキャラクターです。
魔王は美麗な容姿に似合わず、二言目には「めんどくさい」が口癖のものぐさキャラ。
人間の女性との間に生まれた息子(前作受け)を大事にしている子煩悩パパでもあり、息子の恋人(前作攻め)とは険悪です。
こんな二人が妖術使いを退治する物語ですが、クライマックスのバトルまでの展開はかなり平和。
アレンが周囲に「ゆるキャラ」「ウリ坊」などと愛でられたり、
魔王様にプリンを食べさせてもらったり、水の膜(触手のようなもの)で愛撫されたり…と、とにかく可愛がられています。
クライマックスのバトル自体もかなりあっけなく終わってしまいますが、アレンが魔王に助けられるのではなく、魔王を守るため自分なりに考えて行動する展開は良かったです。
ラストには魔王がアレンに愛を告白して伴侶としますが、魔王のアレンに対する想いは作中の描写からは読み取れず、やや唐突感が。
アレンの力を認めていたり、可愛さに癒やされていたりする描写はありましたが、どちらかというとペットやマスコットキャラを愛でている感じで、そこに恋愛感情があるようには思えませんでした。
とは言え、可愛い受けがカッコいい攻めに甘やかされる図には萌があり、ライトに楽しめる一冊でした。