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shishiou no gekiai osanaduma
攻めが二百年間探していた、妻の生まれ変わりが受けで……というお話。
亡き妻を二百年求め捜し続けた攻めの一途さが、とても切なくて萌えました。
やっとの思いで亡き妻の生まれ変わり(受け)に再会できたのに、受けにはその記憶はなくて……というところが最高潮。
一方の受けの方も、攻めの妻だった頃の記憶は、夢で見た断片的な記憶しかない。
なので、攻めの望む存在になってあげられない、攻めが望んでいるのは自分じゃない、というところが大変切なくてよかったです。
また転生前の、ホワイトライオンだった頃の攻めと妻の描写がとてもライオンらしくていい。
サバンナの百獣の王、かっこよかったです。
残念だったのは、攻めと受けが一緒にいるうちにちょっとお互い気を許し始める描写があるのですが、そこをもう少し、恋心としてきっちり明示してくれた方がよかったかな?と思ったこと。また中盤以降が、若干駆け足気味だったこと。
そこがもったいないな、と思ったので、「神」からマイナス1で「萌2」で。
(なおタイトルに「幼妻」とあるのは、225歳×18歳、なのに攻めは妙なところで子供っぽい、207歳も年下の受けの尻に敷かれている、というところが踏まえられているのではないかと思いました)
獅子族の王×青年のファンタジー作品。
受けが、攻めの妻(雌ライオン)の生まれ変わりという設定です。
主人公の海琴(受け・18歳)は、唯一の家族である祖父を亡くし、高校卒業後の就職先も倒産し…と、若くして何かと苦労の多い青年。
ある日、謎の老人にライオンのぬいぐるみを貰い、そのぬいぐるみが見知らぬ外国人の男に変身。
獅子族の王だというリオン(攻め)と一緒に住むことに…というようなほのぼのファンタジーです。
200年前に密猟者にサバンナを襲撃され、仲間も妻も失ってしまったリオン。
妻の生まれ変わりに会うため、200年間待ち続けた孤独な人物です。
王様ですが、冒頭の過去編から見てとれるように、かなりの愛妻家。
ワンコ気質でもあり、生まれ変わった海琴の言うことに素直に従う姿が可愛いです。
海琴は、しっかり者で情に篤いなかなか男前な人物。
文句を言いつつもリオンを家に住まわせ、何かと世話を焼くところに人の良さが感じられました。
リオンの妻の生まれ変わりである自分が男で、美人でもないという点に引け目を感じる心優しい一面も。
クライマックス、リオンが獅子王の力を失い、普通の人間になるかもしれないというシーンで、
「顔とスタイルしか取り柄がなくなっても、おれが食わせるからいいんだよ」
と言ってのける姿は男前でした。
ただ、このクライマックス→ラストまでの展開はあまりにご都合主義で盛り上がりに欠ける印象。
呪術師が、海琴を殺せば妻の魂をもっと美しい女に転生させてやる、とリオンを唆すのですが、そんなメリットがあるんだかないんだかよく分からない条件をリオンが呑むとも思えないので、ハラハラドキドキ感が全くありませんでした。
悪役かと思われた呪術師が結局リオンに情けをかけ、獅子王の力はそのまま残しておいてやるという結末にもモヤっと。
話を盛り上げるため呪術師を登場させてみたものの、大して活用できずなぁなぁに終わらせてしまったような印象です。
中途半端に呪術師を登場させるよりは、終始ほのぼのファンタジー路線を貫いた方が面白かったんじゃないかと思いました。
「幼妻」とのタイトルと中身も合っていないし、何かとぼんやりした内容の一冊でした。
中立寄りです。