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oretachi no bl ron
少し年のいった読者がBLって何?腐女子って何?と考えるのにいい材料。それぞれの意見に異論はあるだろうがこれほどすっきり整理されていると反論もしやすく、誤解や混乱が少なくなりそうで感心した。2006年-08年くらいにがオタクが「市民権を得た」、それ以降は「わりとのびのびしている」(P12)、そうなのか、いつの間に。でもこれで中島梓さんが書いていたやおい論と現在のBLのギャップも理解できそうだ。BLが商業、同人がやおい、という整理(21頁)はうーんこれでいいのかな?今ってそもそも「やおい」って言葉そんなに使うのかな?と疑問に思った。昔のやおい小説を思うとおおざっぱ過ぎる括りだと感じるが、時代で意味合いが違うのだろうと理解している。つまり、市民権を得る前がやおい(商業も同人も含む)、市民権を得た後がBLだと私は推測している(違ったら教えてください)。
128頁の春日さんの男性の身体に基づく読み方は異性には分からないことで大変に参考になった。というかよく正直に書いたなあと思う。森岡正博の『感じない男』に匹敵する貴重な視点ではないだろうか。
追記:サンキュータツオさんがBLに開眼したのは2008年頃、数多のアニメを経てからだという。なるほど、著者二人とも演劇や時代劇、コメディの世界を良く知っている人たちで、BL世界の中にある人の関係性や男らしさとは何かという問いなどが実は古典的なものだと気付く土壌があったから表面にある大いなる抵抗感(嫌悪感や偏見や誤解含む)を超えて理解する力を獲得できたということなのだろう。BL世界を知らない人への橋渡しとして名著だと思う。映画『リトルダンサー』が男の子のバレエへの偏見を打ち破るのに一役買った(のか?)ような存在になるのでは。これから、子どもの頃から周囲にBLがある男性たちがBLをどう語るのか、とても楽しみになってきた。
あと、せっかく男性が書いているのだから、「ルッキズム」(そんな言葉が存在すると7月2日、BLinAsiaで知った。イケメンばっかりもてはやされて見た目差別が横行すること、だと私は理解した)について一言言ってくれてもよかったな。