ポッチ
chitose igenkeikakku delux
コミコミスタジオさんで購入すると特典でいただける小冊子です。A5サイズで、小説部分は7ページ。タイトルは『千歳威厳計画デラックス』。
さて内容をざっくりと。すみません、ネタバレしてます。
尾上さんの1945シリーズの『碧のかたみ』の恒と六郎視点で書かれています。時系列はラバウルにいた時のお話。
恒が『アイツ、いいな。艦爆の』と六郎に話し始めます。
六郎が成績のいい艦爆の操縦者をあげていきますがどれも違っていて。恒が言っていたのは千歳のこと。
飛行機が怖いと言っては泣き、戦闘後飛行機から降りた後は吐き続ける千歳のどこがすごいのかさっぱりわからない六郎ですが、恒は「良い」と言い張ります。
そんな会話を二人がしているところに、まさにその話題の人物・千歳の叫び声が。しかも理由が「(体についた)虫を取ってくれ」という情けないもので…。
恒の言い張る「凄腕の操縦士」とはかけ離れた千歳の姿に六郎は首をかしげるばかり。けれどその後千歳の艦爆はめきめきと頭角を現し始め、六郎も恒の言っていたことを理解し始めます。
喧嘩っ早い恒と、「海軍最弱」と謳われる千歳。
相反する二人に見え、実はどちらも素晴らしい腕前の持ち主のふたりは徐々に仲良くなっていく様が描かれています。
そしてその二人のペアも。
どちらも軍きっての問題児のペアを務めるだけあってお互いの大変さを理解しあえる六郎とカズイもある種の同士の様。
そして成績はいいのに軟弱な性格が災いしてなめられっ放しの千歳に我慢できなくなった恒は千歳を鍛えることに決めた模様(爆)。
『威厳を持て』『胸を張れ!』と指導する恒ですが、もともとヘタレの千歳にはどこ吹く風。
二人とも周囲とうまくやれない性格のため友達も少ないのですが、これを機に仲良くなれるといいなあなんて思いつつ。
そしてこの二人のペアたちも。
自分の大切な『ペア』を見守る懐の広いナイスガイたちで、読んでいて気持ちが暖かくなりました。
本編では『戦争』がテーマなので殺伐とした雰囲気もところどころある中、ほんわかとした、若者らしい彼らの日常が垣間見れる、そんな小冊子でした。