Krovopizza
kuro to shiro blanco y negro
えすとえむさんと華藤えれなさんの合同誌で、闘牛シリーズの関連作。
漫画と小説が交互に綴られます。
正闘牛士ながら戦績はパッとせず、自らの才能に限界を感じているミゲル。
夜な夜な牛のように男に犯され、性欲を発散させることで自己を保つ彼は、自身に憧れる10歳下の弟にも引け目を感じています。
ある夜、どこか弟に似た風貌の弁護士・ホアキンと一夜を過ごし…というのが小説一話目のあらすじ。
ホアキンとミゲルが結ばれるのかと思いきや、彼の出番はこの一話目で終了。
続く二話目は、十年後、兄を追って闘牛士となった弟とミゲルの関係性に焦点が当てられます。
新進気鋭の闘牛士として注目を浴びる弟に対する嫉妬と、彼に蔑まれ犯されたいという欲望。
弟に抱かれる夢を見たミゲルは、自身の弟への想いを自覚し、彼に負けない闘牛士になりたいと一念発起する。
そんな前向きな結末を迎える物語でした。
才能に乏しい闘牛士が主人公、という点は珍しかったですが、彼の闘牛士としての心境の変化をメインとするのであれば、前半のホアキンのエピソードは然程必要なかった気が。
弟との関係性の変化や、弟の兄に対する想いや本性をもっと掘り下げて欲しかったかなと思います。
えすとえむさんの漫画は、兄弟の幼少期からの成長をサイドエピソード的に描いたもので、子どもの頃の弟の愛らしさが秀逸。
大人になった二人も素敵で、闘牛士同士、切磋琢磨していく二人をもっと見たくなりました。
ストーリー展開としては少々物足りないですが、マタドールシリーズや『ゴロンドリーナ』の登場人物たちもチラホラ名前が出ており、この世界観のファンとしては楽しめる一冊でした。