獣の月隠り

kemono no tsukigomori

獣の月隠り
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神4
  • 萌×29
  • 萌1
  • 中立0
  • しゅみじゃない3

--

レビュー数
4
得点
59
評価数
17
平均
3.6 / 5
神率
23.5%
著者
沙野風結子 

作家さんの新作発表
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イラスト
実相寺紫子 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫L
シリーズ
獣の妻乞い
発売日
価格
¥680(税抜)  
ISBN
9784344836297

あらすじ

凶悪犯罪者を抹殺する為に秘密裏に造られた「猟獣」。
日本狼の遺伝子を持つ睦月は研究所で白銀の美しい人狼・月貴と出会うが…?

表題作獣の月隠り

銀色の人狼のアルファ
月貴のパートナーの人狼

同時収録作品獣の伽人

高位種の人狼
猟獣研究施設の研究員

その他の収録作品

  • 獣の魔法
  • 獣のおとぎ話
  • あとがき

レビュー投稿数4

睦月はもっと甘やかされるといいよ

新書版既読でSS目当てで購入。
本編はあまり手を入れていないとのことでしたが、再読のせいかそれぞれのエピソードがより鮮明に感じられました。
書き下ろしは「獣のおとぎ話」(月貴×睦月)9Pでした。

たった9Pでしたが、堕ちた睦月が再び人の姿を取り戻したその後のお話。もちろんラブラブなので、わかってはいたけれどほっとしました。一度睦月が人の姿を失ったことで、月貴が自分の気持ちに素直になっていて睦月良かったね、と思います。でもあとがきにもあるように、睦月はものすごく頑張ったので、もっともっと甘やかされてもいいと思うよ。

この本の特典としては、書き下ろしが少なかった分ブログのSS公開パスワードが入っていること。早速1本アップされていて、睦月が堕ちる直前の二人のきれいで切ないエピソードでした。

4

可愛くなって

久しぶりに新書版の方を読んだら、書下ろしが収録されてる方が凄く読みたくなって、発売当時な悩んだけどついつい買っちゃった。 「獣の妻乞い」のときは生意気だった睦月ですが、主役の方では可愛いよね。 大好きな月貴と結ばれて、逃げて、でも堕ちてしまって…。(堕ちる前のシーンは何度読んでも泣けるなぁ。)だけど甲斐のおかげでまた人型に戻ることができて本当に良かった。 書下ろしは人型に戻った睦月のリハビリや戻ってからの初エッチや。この2人が幸せなんだと思うとまた泣けてきた。そしてあとがきを読むとショートが読めるという事で早速パスワードと。睦月が堕ちる前のシーンがこの本より詳しく書かれていて塁線崩壊状態です。

1

番の重み

2016年刊、こちらも2010年のリンクスロマンスから文庫化されたものだ。
スピンオフだが続編でもあるので、是非とも『獣の妻乞い』とセットで読んだほうがいい。

人間の都合で生み出された、人と狼を掛け合わせた猟獣達を管理する施設は、生き残る為の弱肉強食な檻の世界だった。
そんな中でもいじめあり、兄弟のような関係あり、嫉妬あり、といった人間模様みたいなのが芽生えている。
そして恋愛感情も…
そこで生まれ育ったというよりも生き延びてきた睦月は、幼い狼だった頃から可愛がって見守ってくれた月貴の側に追いつきたい一心で頑張ってきた。
月貴が「女の子みたいで可愛い」が口ぐせになっているおかげで、睦月は女の子の代用扱いされていると内心傷付くのだが、これは彼なりの最大の愛情表現らしい。
端から見ると月貴は、睦月を懐に入れて可愛がっている一方で女遊びも盛んだった為に誤解を招くのも無理はないが。

元は狼だというのに、一体どこで世渡りめいた事を学んできたんだろうね…
と苦笑する一面もあるが、作中の要点は猟獣達が獣堕ちしていく苦悩だろう。
ヒトの遺伝子の影響からか、人を殺める事によって苛まれる精神のダメージのせいで最期、獣堕ちして更に凶暴化してしまうのだが…

そこで猟獣施設内の研究者・甲斐と新たに生み出された高位種・朋がキーパーソンとなる訳だが、この朋がかなりアクの強いキャラクターで個人的に馴染みにくかった。
彼一人だけは最後闇堕ちするかと思っていた位だったのにな。
朋の残酷な性格が落ち着いて、周囲の猟獣達と折り合いを付けていくまでの変化にどうもピンとこない。
生みの親である甲斐にだけは懐いているものの、甲斐自身が朋に示す愛情表現が乏しいのもあってか、この二人の『番の繋がり』てのを実感し辛かった。
飛月と尚季、月貴と睦月、壱朗と次郎に関しては『番の重み』ってのはひしひしと伝わってきたのにな。

物語の結末は甲斐の内にある猟獣への意識の切り替わりを経て救いのある道へと進んでいく。
前巻での飛月の行く末に関しても希望の見える展開が読めたのは良かった。

1

王道シンデレラストーリーだけど

最近新装版がでましたのでこちらにコメント。

本編の「獣の妻乞い」でちらっと登場した2つのカプのスピンオフ。それぞれ、中編に番外を含みます。

まず、「獣の妻乞い」のクライマックスシーンに登場した、月貴と睦月のカプ。典型的な王道甘々シンデレラストーリー。しかし全く気持ちが入らず。途中で力尽きそうになりました。
攻めの月貴は人狼トップ。睦月はDランクながら愛のために努力して成功者になります。が、睦月の努力はほとんど描かれないので説得力がない。
それに加えて、前作でも疑問に感じた、法務省が人狼を使って犯罪者を極秘に殺害するという設定が、今作では骨子になっていて気持ち悪かった。何のための法治国家?
ラストで、人狼に対する措置は人道的に変わりますが、システムは継続。これがだめでした。

2つめのカプはもうちょっとよかった。新型の優秀な朋とその開発者の甲斐。朋は、身体能力が高いにもかかわらず、飛月が持っていたような、人とも狼ともつかないアイデンティティのジレンマはなく、殺戮兵器として非常に都合の良い存在。傍若無人だが、甲斐の言うことだけは聞き、甲斐の前では少年のように甘えた態度をみせる。
甲斐が、自分の研究の方向性に悩む姿が軸になる。兄を人狼に殺されて、その開発を引き継ぐような研究者を目指した動機はちょっとなじみにくい。しかし、一途に甲斐を求める朋と、前カプの話ではただの乱暴者だった朋が、人情を持つような描写があるのとで、こちらのお話しは最後まで読めました。

でも、最初のカプがあまりに読む気がなくなるお話しだったのでこの評価に。
沙野さんは作家買いしていて、これまでハズレがなかっただけに、残念に思った1作でした。

0

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