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デビュー作とはとても思えない出来の作品でした。あらすじから想像出来るラブコメ的な印象とは、まるで違います。
最後の怒涛のラッシュに、泣きながら読みました。
受けの考えが最初はお子様、リストカットなどが苦手な方はご注意。
歯科医・向井怜(25)抱擁俺様攻め×高校生~専門学校生・中田徹 一途ワンコ受け
徹は産まれた時に母親に捨てられた子で、父親もろくでなし。
金目当ての義母からも捨てられ、父も出ていき、餓死寸前な所を家出していた姉に助けられた。
水商売をする姉に助けられて、2人暮らしをしている。
壮絶な生まれの子で、田舎町なのでその辺の事情は筒抜けです。
歯医者が苦手なのに行く羽目になって、いつもの爺さんの藪下先生ではなく、若い男の先生で。
もう一度来いと言われてもエスケープを決め込むが、歯が痛くて泣きだした時に怜が現れて。
徹のいままで誰にも打ち明けなかった痛さを初めて受け入れてくれたのが、怜で。
初めての優しさに、徹は全身全霊で恋をします。
学校は平気でサボるし、勉強はしないし、暇さえあれば怜のいる歯科医に行って、怜にも怒られ、姉にも泣かれる始末。
とにかくお子様で、自分しか目に入っていない。育ててくれていて尊敬していた姉すら恋の前では邪魔者扱いで、その情熱が怖い程でした。
それでも、ちゃんと反省があって、自分を見直そうとする所が魅力的でした。
『鬼子母神の春』
後編のこの話から、辛くなります。
東京の大学病院で働く怜と遠距離恋愛に。
徹も生まれた家を離れて大学に行くことになり、寮に住んで東京住まいに。
姉に言われていたのもありますが、怜と肩を並べて一緒に歩きたいから同居はしないと宣言する。
結構モテるんだぜと言いながらがっかりする攻めも、無邪気で可愛かったです。
怜の家族にも、徹の姉と血の繋がった親戚でそのつながりで紹介されて。
母性に弱い徹は、比佐子ママの優しい笑顔に惹かれます。幸せでいっぱいな笑顔に、自分の境遇と怜との違いを感じて引け目を覚えます。
比佐子ママの夢は、怜に可愛いお嫁さんがきて沢山の子供を産んでもらうことで、そこに悲劇が隠されていて。
一瞬の癒しが薄氷を踏むようで、いつ壊れるのか怖くてしょうがなかったです。
徹の孤独はとても深くて、捨てられた子供というのがずっとついてまわっていて。
比佐子ママとの仲が親密であればあったほど、崩れ去った時が堪らなかった。
唯一にして絶対の救いは、徹を捨てなかった怜でした。徹に対して一途で真摯で、彼が傍にいてよかったと思いました。
初めのお子様振りから比べると、徹の成長がすごいです。
成長する受けが好きな方に、特にお勧めです。
エロ:★4 痛がる感じなH、車の上で青姦
総合:★5 緩急がすごくて、ドラマがたっぷりありました。
300ページを超えるボリュームのある文庫本なので、読みごたえがあるだろうと思っていたら、以外と内容はさらっとしていて読みやすかったです。
一人称なのでそう思うのかもしれませんが、主人公の徹がものすごく独りで百面相(?)をするキャラで、独りでお芝居のような葛藤をを繰り返します。
ものすごく泣くしものすごく叫ぶ。こんなに最初から最後まで叫びまくり、わめきまくりの主人公を見たのは始めてかも。
ですがこの徹というキャラがすごく複雑だと私は感じ、理解するのが難儀でした。
この子はものすごく過去にとらわれていて、自分のことでいっぱいいっぱい、すっごく明るいのに、ものすごく自分を卑下しています。
最後のほうの「生まれてこなければよかったんだ」とか「自分はクズだ」と思い悩む姿はなんだかスッキリしないものもあり…
そういう部分も使いようだとは思うし、不幸な生い立ちの受けはむしろ好みでウェルカムなのですが、ちょっと度を越していて、おろおろしてしまう。
なだめる攻めが怒り出すのも分かる気がしました。
ただ、カップルとしての組み合わせはものすごく好きでした。
ちょっとSなお医者さんの怜と、痛がりで泣き虫な高校生、徹。
徹が玲の患者として知り合うのですが、痛がりの徹は病院を嫌い、それに怜が時間外まで根気よく付き合ってくれます。この、大人と、子供の組み合わせがものすごく好きで好きで…。
徹がものすごく感情表現がストレートで、痛くては泣くし、淋しくては泣くし、転んだくらいでも泣くし…何回泣いたかわかりません^^;
本当に高校生なのかと思うのですが、でも徹は両親に捨てられた過去があり、怜に出会うまでは泣くなんてこともなく、嫌なことも堪えてきたというからまた意外。
前半は二人が出会って恋をして結ばれて気持ちを確認するまで。かなりあまあまなお話でした。
その上ものすごくえろいです。徹が喘ぎが子供っぽく可愛すぎるので、もしかしたら苦手な方もいるかもしれません。
でも患者(しかも子供)にいきなり手をだす医者、というのがちょっと説得力がかけるかな?とも思いました。
後半は東京の大学に通い始めた徹と怜のその後のお話。
怜の家族に紹介され、よくしてもらい、徹はバイトを始めて生活が変わり始めます。
でもここで徹のトラウマを揺さぶる出来事が置き、さらに怜との交際を家族から疎まれ、徹のストレスは限界になり…展開としてはわりと欝でした。
本人たちというより、徹と怜の交際を否定する徹の姉や怜の母親の嫌がりようがヒステリックで病的で怖かったです。
徹の取り乱し方もどんどん病的になっていくというか…ものすごく叫んでいて、もしこの場に実際いたら耐えられない気がします。
反対に、ここまで取り乱すというのは何故かとちょっと作り物感を感じてしまったのも確かです。
この後半の病んだ感じが受け入れられるかどうかで評価が変わりそうな…
前半は徹の一人称が子供っぽすぎて軽く感じてしまうし、後半は重い、重すぎる…というちょっとどちらもなじめない感じがしまして、でもカップルの組みあわせとしては好きなので萌え評価で。
大人と子供の恋愛、不幸な生い立ちの受けに萌えを感じる方にはおすすめです。