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hanagasumi no yoru wa akeru
美麗な表紙。桜が印象的な作品です。
サイコサスペンス風な作品でした。攻めの柏木は会社の後輩。会社では心を閉ざしているようにみえる柏木。けれど、夜の公園で会う彼はなぜか穏やかで心を開いているようで。
ふたりが次第に距離を縮めて行くのはよいのですが、過去の因縁と絡めて種明かしの部分、それから、受けの篠宮の決断などが、なにかすっと入ってこない展開でのりきれませんでした。
公園の桜が非常に印象的で、映像が見えるようです。もう1つ、ストーリーか二人の関係に何かが欲しかった感じ。
表紙買いしたいBL 2015年12月の記事で見たロッキー先生の表紙に惹かれて購入。
記事では「ストール巻いてる方の男性、縛られてる♪ 縄がチラっと見えちゃってます。しれっとスゴいことしてる二人の物語、早く読みたいです」とあったので、サラリーマンカップルの陵辱モノ??と思っていましたが、全然違いましたね(笑)最初は表紙詐欺なのかと思いましたが、篠宮の腕が後手にまわって縄が見えているのは、幼い頃のトラウマを表していたのですね…。
あらすじ:
会社員の篠宮(受け)はある夜、一つ年下の無愛想な後輩・柏木(攻め)と偶然出会う。
プライベートでは別人のように親しみやすい彼と打ち解け、度々会うようになるが……
普通の社会人ものかと思いきや、過去の事件やそのトラウマといったサスペンス要素が二人の恋に絡んでくる展開。
事件自体より、事件被害者の心の傷や再生をメインに描かれた優しい物語でした。
篠宮はどこにでもいるような会社員ですが、実は20年前連続殺人犯に誘拐された過去あり。
当時の記憶は曖昧ですが、暗くて狭いところを怖がる等のトラウマを抱えています。
柏木は、「秋斗」と「アキ」という二つの顔を持つ二重人格者。
無愛想な本体「秋斗」は、篠宮が「アキ」と会っていることを知りません。
しかし篠宮がアキと仲良くなるにつれ、会社での秋斗との距離も不思議と縮まっていき…
柏木が二重人格者となった理由が本書の核心部分の一つであり、その過去が明らかになるクライマックスのシーンはなかなか衝撃的です。
直接の被害者でなくとも、事件に関わったことで一生残るトラウマを負ってしまった柏木。
そのトラウマを、事件被害者でいまや立派な大人になった篠宮が癒やしていくという展開が感動的でした。
ただ、ラブ部分の展開がやや弱い気も。
二人が互いの正体を知らないうちから惹かれ合う部分にもっと説得力があれば、更に読み応えある作品になったのではないかと思います。
それ以外は文章も読みやすく、霞がかった桜が徐々に姿を現していくような幻想的なストーリー展開にも引き込まれました。
作家さんの次回作も楽しみです。