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纯情罗曼史
大昔に読んだBL再読プロジェクト第3弾。
前に読んだ時は新書だったので、文庫で再販ということはかなり人気があったということなんですね。
エロは薄め。
全250Pの中でHシーンは170Pになってから。
その後Hシーンはしばらくなく、後半数十ページでいわゆるやりまくりの状態になるのだが、表現が淡泊なのでインパクトはそれほどなし。
以下ネタバレです。
まず、受けと攻めの人物設定と描写が本当に良くできている。
BLでしかもコミカルという二重のハードルがあるのに、終盤のほのほと弟の口論と和解のシーンでは不覚にも本気で感動してしまった。
最近めったなことでは創作物で感動などしなくなってるというのに。
天然を通り越して、人間なら普通に持っているであろう感覚がスポーンと抜けているほのほ。
まあそういうものがないからあの境遇にも(実の父親にジジイ相手に身体を売らされる!)ショックを受けないでいられるのだが、反面夕子や茶々丸といったほのほにまっとうな愛情を注ぐ人々には気が気でないわけで。
達彦への恋が初恋だと言い切ってしまうほのほ。
夕子さん立場ねえー!と思うけど、ただそれが情なしだということは、作者もほのほ自身も重々わかっている。
夕子の人となりの描写は、序盤ほのほ目線と夕子死後の地の文と茶々丸の語りしかないけど、それで夕子の内面というものがはっきりわかってしまう。
「美人で派手好みなのに決して水商売には手を出さず、地味できつい仕事ばかりしていた」というのはかなりの泣かせポイント。
だからほのほも、恋愛感情はもてなくても、夕子はかけがえのない人という思いを持っていた。
ほのほ「あなたには命をかけて守りたいと思う人がいますか?私にはいます。茶々丸と達彦さんです」
ありふれた台詞ではあるんだけどその台詞に至るまでのほのほの内面の動きがよくわかるから、血が通って聞こえる。
やっぱり、夕子の必死の献身がほのほの心を何かしら動かしてたんだ。
それがなければ、たとえ茶々丸や達彦への愛情や恋情をもってもどこか空虚なものになってたんじゃないだろうか…
BLとしては、ノンケの達彦がほのほを愛するようになるまでの過程が一筋縄でいかず山あり谷ありなのがよくできてる。
ただ…終盤はどうなってんのこれ?
もともと氷堂家に帰ってからの描写自体がかなり冗長で、それでも弟との口論と和解のシーンはハイライトなのだが、それをすぎたらもうほのほが夜這い→達彦うんざりしながら応じるの繰り返し。
達彦が経営者として再起するかどうかさえ書かれず、ほのほへの真の愛が芽生える描写もなしのまま、ほのほが庭で「夕子さんありがとう」と感慨にふけるシーンでラスト。
うーん、落ちになってない。
BL&恋愛物で一番肝心な主役カップルの愛の成就をこんな形にするとは、悪い意味で斬新すぎる。
それでも私自身はこの話は好きだし、BLの大海にこういう作品があっても良いと思うけど、文庫再販されるほどの支持を集めたとは…BL読者の懐の深さを感じた一冊でした。
誰かに愛して欲しい受(28)、しっかり者の受の息子(7)、その2人を仕方なく同居させるノンケの攻(31)のお話です。
表紙の絵を見て、男前な攻と美人な受、そんな印象でした。
読み終わった時には少し変わってしまいましたが。
作品情報に《アホアホ・ギャグ》とあったけれど、これは《せつない&シリアス》なのでは?
と思いながら読み進めていくうちに《アホアホ・ギャグ》だ、と納得しました。
それと攻の達彦は年上です。(情報違ってます)
氷堂ほのほは育ちの良いお坊ちゃんなのですが、ある日使用人達の話を盗み聞きしてしまいます。
それは、実の息子ではないのでは?という噂です。
ほのほは父の態度に不自然なことが多いと薄々気づいていました。
この家にはいられないと思っていた時、たまたま弟の不知火に捨てられた女、夕子に誘われ一緒に家を出て行きます。
その後7年の歳月を経て、ほのほは息子の茶々丸と2人北海道を放浪していました。
生活力の無いほのほに代わり、夕子は寝る間を惜しんで働き過労で亡くなっていました。
わずかな蓄えも底をつき所持金はあと7円。
そこで考えたのが、近くに停車中のベンツが動き出す瞬間にぶつかってお金を貰うこと。
攻の達彦はこの親子の迷惑な事情に巻き込まれ、自宅に連れ帰り同居生活がスタートするのです。
ベンツに当たりに行くシーンはとにかく笑えました。
世間知らずで何もできず、なぜか不幸をもたらすほのほ
実は・・・な設定なのですが、それで達彦は幸か不幸かどっちなんだろう。