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shiroi bara wo
昼は女性社員にモテモテのリーマン、
夜は男性向け会員制バーの常連で、
ステージ上で男たちに美しい緊縛姿を披露する幸彦(受け)。
ある夜、容姿端麗な青年・裕(ひろむ・攻め)と運命的に出会い恋に落ちるが……
あとがきの言葉を借りると「マトモに見えて変態」、所謂シリアスな笑いを誘う耽美系変態小説です。
幸彦は、男たちの視線を浴びて興奮する変態。
彼と恋に落ちる裕もまた、一見好青年ですが実は変態です。
この二人、冒頭の出会いのシーンからすでに飛ばしています。
出会い頭に白バラの茎を先端に(!)挿し込まれて恋に落ちるなんて、思わず青海信濃さんの『夜来香、燃ゆ。』のワンシーンを思い出してしまいましたw
後日再会し逢瀬を重ねる中で、裕の性癖が明らかに。
フラワーデザイナーの彼は、幸彦の裸体に花(今回はマーガレット)を挿し、その可憐な姿にうっとりする(芸術肌の)変態でした。
それに対して一歩も引かず、むしろ熱い視線に興奮している幸彦も流石変態。
互いに褒め合う二人の会話は一昔前の少女漫画か何かのように大仰で、二人とも生まれてくる時代を間違ったんじゃないかと思えてきます。
しかし、なかなか抱いてくれない裕に、幸彦は愛されていないと勘違い。
君にとって俺は花瓶でしかないのか、と嘆き悲しみ別れを告げます(シリアスなシーンなのに台詞のせいでどうしても笑ってしまう…w)。
それに対する裕の弁明が意外と普通だったのはちょっとマイナスかも。
よくあるすれ違いではなく、せっかくなので変態同士ならではの収拾のつけ方が見てみたかった気がします。
しかしその後の初合体シーンは、相変わらず仰々しい台詞のオンパレードで面白かったです。
挿絵は香坂あきほさん。
悪くはないですが、幸彦が普通のリーマンにしか見えないのがかなり残念。
彫刻や絵画に喩えられるような美貌は伝わってきませんでした。
こういう作品こそ雪路さんや笠井さんの挿絵で見てみたかった気がします。