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amai yubisaki
作家さんの新作発表
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「アンジュ」は幅広く飲食店を経営するオーナーの息子、甲斐泰彦に任されているケーキ専門店で、甲斐とパティシエの大塚透はいわばビジネスパートナーの関係にあった。近々新設予定のホテル関係者に腕を買われて引き抜きにあった透がアンジュを辞める心積もりでいた頃、あるトラブルに見舞われる。
高校生の弟が歩行中、何者かに突き飛ばされて大怪我を負った事件を追及していた雑誌記者の喬木。一枚の名刺が手掛かりとなり、犯人候補として透にたどり着く。一方、全く身に覚えのない透は、突然自宅マンションに押しかけてきた喬木からの詰問に戸惑い、激しく反発するのだが…
読んでいた時はあんまり違和感を覚えなかった展開だったんだけど、なんでゴーカンの流れになったんだろ?一応、これも身体の相性から互いに惚れちゃうパターンといっていいのかな。
少し残念に感じたのは、お話にラブ要素とエロスが第一に求められていたんだろうな、っていう点ですね。本作は喬木と透の恋愛関係がメインだと思うんですが、彼らを盛り上げてくれるのは甲斐の存在で、二人よりも甲斐が抱える闇の深さこそわたしがもっと読んでみたかった部分だったのです。というのも、甲斐の苦悩は映画「リプリー」(「太陽がいっぱい」のリメイク作品)で描かれたものにまるっきり重なるんですよね。
甲斐が透に見せる執着は「君になりたい」症候群。透は甲斐自身がそうありたいと願う存在そのものなんです。ですが、甲斐は絶対に彼にはなれないし、彼の心を手に入れることは叶わない。いつしかその苛立ちは殺意すら孕み…。
北川先生の作品は当て馬と登場人物の相関関係が魅力的です。あとがきによると、甲斐に一番感情移入して執筆されていたそう。また、彼を嫌わないで!とも(笑)
タイトルにある、「指先」への口付けが萌えポイントの一つ(指フェチ?)。サスペンス要素もあるし、反目し合っていた者同士が一転、甘い恋人同士になったりなど、お話としてはギュッとコンパクトに楽しめました。逆に色々テンコ盛り過ぎなくらい。。
関係性に萌えるわたしとしては、透への羨望がやがて憎しみに変わり、さらに執着なのか恋情なのかわからなくなるくらいイっちゃってる甲斐の背景にじっくりと焦点を当てて欲しかったです。
作品情報のあらすじを改めて読んでみると、なんか笑えますね。裏表紙を確認したら、ちゃんとそのとおりだったんで、なおさら笑えてしまったというw