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kimi wo daku manazashi
帯『おまえがいるから、発情する』
なかなか刺激的な帯コピーですがエロ描写はたけうちさん作品にしては多めだけど、標準からすると多分薄いんじゃないかな。
ただ根っからガテン系の司馬[攻]と線の細い美人クール系の一之瀬[受]との駆け引きはなかなか色っぽくて良いです。
一之瀬は元々奇麗な顔立ちの上に斜視なので、視線が無自覚に色気があってそこが男好きな男性の心を擽るというなかなかのフェロモン美人。
対して司馬は兄貴ーー!!って感じの頼れるトンネル工事作業員、若くして作業員達をまとめる立場な漢気溢れた男女問わずのバイ。
一之瀬は工事が行われている海底の遺跡調査にやってくるのでトンネル工事側としては邪魔者で、そこにこのトンネル完成を押し通そうとする政治家で司馬の友人でもある堂島が絡んで来ます。
堂島と司馬とは好みが似ており、かつて司馬が惚れた男を堂島が奪ったという過去もあるのですが友人関係は崩れる事なくやってきた仲。
司馬が一之瀬に魅かれるのと同じく堂島も一之瀬に興味を持って半ば無理矢理関係を持ったり、司馬の弟分も一之瀬に惚れたりとまさにフェロモン一之瀬。
一之瀬が女々しくなくしっかりした性格なのが良し!!
たけうちさんのこれ凄ェええええ!!凄いよ!!っていう感じは今作は無かったんですが、それでも充分楽しめました。
最初のほうは話がどこへ向かうのか、果たして面白くなるのか、まったく予測がつかなくてダラダラと読んでたんですが、途中からハラハラドキドキイライラワクワク、めちゃくちゃ面白くなりました。
主役は美貌の大学院生(受け)。フェロモンを撒き散らし、周りの男を視線だけで惑わす魔性ですが、本人は根性の座った前向きな性格です。立て続けにツラい目に合うのがもうフビンでフビンで。
攻めはトンネル掘り野郎どものリーダーです。頼りがいのある真っ直ぐなタイプ。
あるトンネル工事を巡って二人は対立するんですが、どちら側にも正義があるというのが良かったですねぇ。たけうちりうとさんの持つ価値観のバランスの良さを感じました。
さらにバランスの良さを感じたのが堂島の存在です。完全に悪役を割り振られてる食えない官僚で、やってることは無茶苦茶だしムカつくんだけど、憎みきれないんですよ。ダークな男の魅力と存在感が素晴らしいと思いました。
ラストに、もう少しスカッとする展開があれば萌え×2にしただろうなと思いました。
オトシマエのつけ方に若干の物足りなさを感じたんですが、これはこれでキレイなハッピーエンドだなァとも思いました。
メインキャラに三者三様の魅力があり、脇役たちもそれぞれに個性的で、面白かったです。
大好きな作家さんですが、私の中で当たりハズレが多かったりもします。
この作品も、お話は面白く、恋愛ものというよりはストーリー自体にドキドキしてこの先どうなるのかな?という魅力がありました。
でも主人公の一之瀬があまりにも不憫なメに遭いすぎて、途中から見ていて可哀相で可哀相でたまらなくなりました^^;
舞台は沖縄の小さな島。海中にある遺跡の調査のため大学院からやってきた一之瀬は、そこでトンネルを建築する作業員らと対立します。
遺跡が発掘されると、トンネル工事は中止になるからなのですが…
お相手はそこで若くして現場監督を務める北斗。豪快で頼りになる兄貴分のような存在です。
対立する立場として出会った2人は、互いに惹かれるものがありながら、特に北斗のほうは、1人で寝る場所も無い一之瀬を内心では面倒を見てあげたいけれど立場もあってぐっと我慢します。
この一之瀬ですが…作業員らに冷たくされ、それをまとめる堂島から陵辱され、調査の妨害をされ借りていた空家を壊され船や資材を海に流され…最後に手元に残ったのはビデオカメラだけ。
何もかも上手くいかないのに気丈でへこたれないところを見てぐっときてしまった。
どうも腑に落ちなかったのは、互いの言い分はわかるけど「遺跡がある場所に建築はご法度」ということを互いにわかっている時点で建築側が折れるのが節理ではないか??と疑問に思ったからです^^;
なのに何で一之瀬はこんな辛いめに逢わされてるんだろともやもやしました。
お話は展開が速くて文章も面白かったのですが、最後がなんだかあいまいで、決着のついてないまま終わった部分があるように感じました。
トンネル工事の黒幕(?)であり官僚である堂島が会ったばかりの一之瀬に執着して陵辱して、絶対ものにするみたいなことを言っているのに何も無いまま、あれ?もうでてこないのかな?と思いました。
一之瀬に惚れて北斗を殺しかけた宇留野とか…結局どうなったのかな?という感じで、ページ数が足りていない感じもしました。
堂島と北斗の友情もちょっとわかりにくかったです。
なにより北斗の存在が勿体無い。
カッコイイ、男が惚れる男!みたいなキャラですが、実際は何かぐっとくる箇所がなかったように思います。
一之瀬が凌辱されたとき、船が流され岸までたどり着けなかったとき、屋根が飛んだとき、北斗がどれか1つでも助けに来てくれたらよかったんでしょうが、最後はトンネルに閉じ込められた北斗を一之瀬が助けにくるという展開で、攻めとしての役割が薄い気がしました。
もう少し一之瀬を守ってくれるようなところがあれば違ったのかなぁと思います。
恋愛要素を除いて、遺跡調査員VSトンネル工事員というお話として読んだら面白かったと思います。