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kokoro
近代日本文学の父と言っても良いような方がこんなBLっぽいニュアンスを含む作品を書かれたなんて!端正で美しい文章で綴られる物語は悲しい結末だけど神としか言いようがない。名作なので様々な考察文献がネット上にもあり、色々見入ってしまいました。私個人的な意見だとBLではない、しかし限りなく匂っているという印象です。
巷で言われる「先生」と「K」には私はあまりBL臭は感じないんです。愛憎渦巻く複雑な友情、生涯忘れられない存在…とか書くとそれっぽくもありますが。前半部分の「先生」と「私」の方に、より匂いを感じます。先生妻帯者ですが。
まず夏の鎌倉の海で雑踏の中から運命的に先生を見つけ出した「私」。声をかけるきっかけを探して何日間も同じ場所に通いつめやっと年の離れた友人のような関係になれる。イメージ的には私(20歳)×先生(32歳)の年下ワンコ攻め。「私」はアンニュイで大人の雰囲気を持つ先生に夢中になり家にも通いつめます。先生の奥さんもいるのでもちろんプラトニック。でも精神的には同じ帝国大学卒という事もあり深く繋がっている。
「…しかし君、恋は罪悪ですよ。」は名言ですね。先生は「私」の気持をお見通し、みたいな。その後の2人のやりとりも何だか高尚な恋の駆け引きみたいでドキドキしました。
後半のKと先生の過去編は悲しい結末です。2人の死の理由は色々考察されてますが、Kの場合は失恋が、先生の場合は乃木大将の死のニュースがトリガーになったとは言え、死の理由は複雑でたくさんあって一言では言い表せないと思います。しかし2人共繊細すぎる。
「私」は先生の影響を強く受けていますが、高等遊民にはならず、負の連鎖に巻き込まれないでいてほしいです。私は文藝春秋文庫で読んだので最後に夏目漱石伝もついていました。8人兄弟の末っ子で幼い頃養子に出されて苦労したけど兄弟の誰よりもエリートになり後世に名を残しているって運命とは皮肉だなと思いました。
追記… 文藝春秋文庫版に同時収録されてた「坊ちゃん」も読みました(海王社版のページなのに紛らわしくて申し訳ありません)。真っ直ぐな坊ちゃんのピュアさに萌え。「こころ」に比べたら痛快で明るい話だけど大人になってから読むとちょっと違う感想が。正義と言いつつ当事者達の問題に首突っ込み過ぎとかうらなりは大人だなとか。清(ばあや)は坊ちゃんガチ勢。相思相愛ってほど大事に思われて良かったね。