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onikoi
まずこの表紙に心を射抜かれました、右のお耽美で色っぽい鬼!見つめただけで妊娠させそうなエロスです。左側のうつろな目をした美少年。17歳だけどいつまでも愛らしい為、エロ坊主の稚児として毎晩いやらしいことをされてます。
次のお話はさらなるエロ設定で受けが村人中から性のはけ口として生贄のような存在にされています。最初の二つの話に共通しているのは、鬼より人間たちの方が残酷で、可哀想な目にあってる受けを鬼が救い出すという展開です。
3つ目の話だけその法則と違って、桃太郎を題材にした人間対鬼の戦いから始まっています。このお話だけ最後が可哀想な展開ですが、エピローグで少しだけ救いのあるように終わっていると思います。
三話共中編ですがよくまとまっている面白いお話で挿し絵も美しいです。淫靡なエロ日本昔話みたいな設定が好きな方はとても楽しめる作品集だと思います。
3種のオムニバス小説。
タイトルからすると鬼の“恋”のお話。もしくは、鬼に恋するお話。
何れも、一緒になるという点では遠からずではあるのですが、恋ってどんなもんか?と考えてしまう1冊でした。
あらすじに書かれている“愛”の方が近しい気がします。
先のレビューでも述べられているように、幸せ色は多くありません。グロテスクでカナシイ終焉もありますし。
鬼のイメージからすると、そんなものかもなぁ、なんて思ったりはするのですが。
やはり、昔話や着物が似合いますね。
文章もどことなく、漢字多めや、難しい単語などが似合っているような。(言う程難しい文面ではありません。)
個人的には、かわい恋氏の「片角の暴鬼」が気に入りました。
人外の作品は、設定が自分の好みに合うかそうでないか、で評価がだいぶ変わってくると思います。
鬼は、角の位置や形状、角数、能力などで好みが分かれるのではないでしょうか?!
さて、ここからはちょっとネタバレあります。
かわい恋氏の鬼は、擬態出来たり、淫魔要素があったり、、、最後には化けます。
対する人は、村の慰み者。そのため、鬼がその精力に心酔して行きます。
3話の中で、比較的“恋”要素が多いように思います。それが例え勘違いから始まったものだとしても。
桑原水菜氏の「オニガシマ」は、人として生きる鬼×人の様相した鬼のお話で、掟と禁忌と愛と憎が描かれています。
食人を含むグロテスクな設定が、3話の中で一番です。
それ以外には、強靭な肉体、妖刀といった描写が出てきます。
馴染みのある童話を基にしている点が、面白いです。
夢乃咲実氏の「叡山夜話」は、リアル名称が出てきて、史実風です。
この鬼は、一番妖怪に近い印象を受けました。スッと現れたり消えたりします。未来を視る力を持っています。
対する人は、高僧の稚児。妬み嫉み、権力など、欲に塗れた人間から解放されたいと願う、そんなお話です。
恋要素はほぼなく、怨みで鬼と契ったように感じます。
人×鬼がなかったのが残念ですね。
とは言うものの、なかなか設定が思いつきませんが。
ちるちるさんのNEWSで取り上げられているのを見て、私がBLを読むきっかけになった桑原水菜先生の作品に期待して、購入!
鬼×人の恋をテーマにした3人の先生のアンソロジーだったのですが、どれも受けが不憫で、痛切ない作品でした。
読み終わって思わず深い溜息。。
鬼が人を食らうといった表現も出てくるので苦手な方はご注意を。
桑原先生の作品は、桃太郎のお話を鬼目線から解釈した面白い切り口の作品でした。
ただ、とにかく終わり方が痛々しい。。
もっと幸せに終わってほしかった。。
短い頁数だったので、やや性急な部分や説明が多かったですが、1冊でじっくり書けたら、また違う結果もあったのかもと願ってしまいます。
個人的には、夢乃咲実さんの作品が一番良くまとまっていたような気がします。
鬼と人が交わす言葉は少ないものの、人間の業や悲哀が感じられました。
後書きでご自身も書かれていましたが、夢乃さんは可愛らしい作品を書く方かと思っていましたが、こんなダークシリアスも書かれるのですね。
かわい恋さんは、受けが惨め過ぎたのと、最後の方に若干ご都合主義的になってしまったのが、気になりました。
萌えというよりは、昔話の世界観にどっぷり浸かれるような作品です。