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今まで「神」評価をつけた作品を読み返しています。
本作も、随分前に読んだまま、放置していたもの。
内容も思い出せないまま再読。
やっぱりね、涙が止まりませんでした。
何度読んでも感動は薄れません。
評価を見ると全員が神評価。
それも納得。
といっても、本編は、それほどでもなく、番外編のみの評価です。
この3巻のみだけでも大丈夫なので是非、手に取って欲しい。
まぁ、恐らくその後の子どもたちが気になるので、全巻読んでしまうことになるのでしょうが。
番外編「最後から一番目の恋」
・・・・読了後、本当に高遠先生が憎いと思いました。
こんな作品を読まされたら、これだけ心を揺さぶられたら、
今後どの本を読んでも物足りなく、空虚な気持ちを抱えてしまうかも。
「世界の果てで待っていて」を読み終わった際も暫く他の本が読めなかったけれど、これはそれ以上かも。
もういっそ暴力的なぐらいの勢いで自分の中に入り込んできて、ぽっかり穴を空けて過ぎ去ってしまうような作品。
だけど、何故か温かく感じるのは、色々な人の優しさが詰まっているからだろうか。こんな作品を読めて良かったと思う反面、何てものを読ませてくれたんだとも憎んでしまう。
落ち着いて読み返すと、設定はBLとしては結構有りうるものかもしれない。
でも、作品の雰囲気が、繊細な人物描写が、とてつもなく強く心に刺さってきて、最後は本当に読むのが苦しかった。
「生涯愛し続ける」
この言葉の重みを、一生考えさせられそうです。
恋人同士になってすぐの七瀬と匡一。夏休み、七瀬は匡一を誘って里帰りすることに成功する。
賑やかな七瀬家に困惑気味の匡一だったが……
匡一の父親、俊哉の物語も収録したシリーズ第3巻。
七瀬と匡一の里帰り編と、匡一の父親の俊哉の話と。
前半の騒がしい七瀬家の様子とそれにとまどいながらもなじもうとする匡一はほほえましくてかわいい。
一方の重くて深い俊哉編はボリュームもさることながら七瀬たちの話がふっとぶほどのインパクトでした。
正直七瀬たちの話がオマケでこっちが本編な気もします。
匡一の父親、俊哉の若い頃のたった一度きりの恋のお話。
前者はBLだけど後者は完全にJUNEだよね。
匡一も不器用だったけれど、それに輪をかけて不器用でそれでも全身全霊で匡紀を愛そうとする俊哉。
この結末はつらいけど、おもしろかった。
前の巻からイラストが変わっちゃったのがちょっと残念かもしれません。
番外編の神っぷりに精神力のすべてを持っていかれました。
泣いて泣いて泣きじゃくって、文章読めなくなって、嗚咽しながら読み終えました。
なんだこの作品は。
なんだこの作品は。
このシリーズは、高遠琉加(春加)さんにしたら、どちらかというとポップで可愛い感じの小説だったから、この番外編にはやられました。予測不可能な場所からアッパーカットされてノックダウンです。
番外編は、本編の主役の一人である匡一の父親の物語です。
本編でもさくっと語られたエピソードなんですが、そのときはまったく心動かされませんでした。
けど、その父親を主役において改めて語りなおされるその過去は、息子匡一の苦悩なんて軽く凌駕するほどの壮絶に切ないものでした。
近親相姦ネタですが、キスもセックスもないから、苦手な人でも読めると思います。
好きになってはいけない相手に惚れてしまった男の、10年以上にも渡る葛藤と苦悩。犯してしまった罪、後悔、贖罪、喪失。
なんていうか――圧倒的な物語でした。
シリーズの最終巻ですが。
300ページほどの単行本で、なんと匡一と出の話が86ページ。
残りの200ページほどのお話しは、匡一の父親の話(番外編)です!
今回の本は番外編が本編と言ってもいいのではないでしょうか……?
『打ち上げ花火、一人で見るか?二人で見るか?』
夏休み。
七瀬が匡一を連れて、実家へ帰省するお話です。
二人が気持ちいいほどラブラブで、読んでいて頬が緩みます。
「ゆかたを脱がせると帯が結べない」
花火の下、浴衣で盛り上がってしまうシチュエーションが、
色っぽくてツボでした。
『最後から一番目の恋』
こちらが幅をきかせている番外編。
匡一の父・俊哉とその異母兄弟・匡紀のお話しです。
近親ものですが、エロはありません。
しかしとても痛くて切なくて、哀しい愛の物語でした。
こうした切ない人間ドラマの中で産まれたのが匡一なのかと思うと、
七瀬と幸せになれて本当に良かったと思います。
この番外編を読んで、1巻からまた読み直したくなりました。