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nightmare garden
まさかのミステリーBL!
先が気になって気になって…最後までイッキ読みしてしまった。
読み始めからなんだか変だなと思ったら、まさかこんなストーリーだったとは。
そして、雪路さんのイラストが更にこの本の雰囲気を妖しげにしていたのがよかった。
ミステリーもBLもあって、久々に変わった物が読めて満足。
ただひとつ、最初のいたしているシーンは淫靡な感じでとても良かったのだけれど、最後の方のいたしているシーンはもっとサラッとやり過ごすか、思い切って無しの方がよかった。
1回目は結末が知りたくて一気に読んでしまったけれど、次はもっと丁寧に読んでみたいと思う。
作家様の『優しい芥子の花』を読んだきり、攻めの印象が良かったな〜とそのまんまで。タイトルと雪路凹子先生のカバーイラストにそそられて本作を手にとり、イラストがドンピシャすぎて笑いました。ストーリーもなんちゃって執事ものと見せかけて実はすごく怖い話。最後まで目が離せなかったです。
舞台は医療法人頌栄会を運営する名家、冬島家の別荘。昔、冬島家が所有する小さな孤島に伝染病患者の隔離病棟があり、何代目かの当主がそこにルネッサンス様式の豪奢な館を建て直して、現在は当代の娘・春陽(はるひ)が療養生活を送っている。
別荘で春陽お嬢様にお仕えする美貌の執事、黒由利が冒頭からいきなり登場します。黒・由利ではなく、黒由利(苗字)。彼がストーリーテラー、かつ主人公のようですが、雪路凹子先生のあのイラスト効果もあって、最初っから現実味がないというか、なんか怪しくはあるんです笑
そこに、春陽の婚約者である白絹霜太様がお招きされて来島します。正確にいうと、霜太様を演じてもらう代役、が。もう、怪しさ確定です。霜太様役の桜庭は、造園会社に勤務していた植物好きの優しい大男。超庶民的な彼を教養のある紳士的な霜太様に近づけるべく、黒由利が教育していくわけです。
黒由利の他にメイドの紫苑、使用人の松里、尾本が館の管理をしています。必要なものは定期船によって運ばれ、通信手段は衛星電話。桜庭は職業病から中庭の奥にある花園が気になって仕方がないけれど、そこは立ち入り禁止。怪しい要素百点満点!
春陽と霜太様が文通していた手紙や、歴代使用人たちによって残された業務日誌を頼りに、真面目な桜庭は「霜太様」の勉強に励みます。もう一つ、霜太様には黒由利からほどこされる夜のお仕事がありまして。そのシーンは桜庭のキャラが好みだったので、存分に楽しませてもらいました。ハァ〜
執事としてなのか、黒由利としてなのか曖昧なまま旦那様と致すシーンの方が萌えたなァ。事態が終息した後、桜庭があらためて気持ちを告白するシーンがあるのですが、二人の気持ちが通じ合った後のエッチの方が、さらに萌えが上回ってくれたらもっとよかったのに。
黒由利が頻繁に見る悪夢は一体?
使用人が体調を崩しやすい本当の理由とは?
お嬢様命!なメイドの紫苑。霜太様が気に入らないと、遠ざけようとする。
もしかして…百合?
それまで何人霜太の代役がいたのかわからないけれど、春陽は桜庭を気に入り、黒由利としてはちょっとジェラシー。でもそのおかげで孤島で生まれた狂気は終焉を迎えることになるのです。
読みやすくて最高のプロットでした。けど、最後はもう少し粘って欲しかった。冬島家、現当主視点のSS「冬の廃園」が巻末にありますが、それによって本編に入れ込んで欲しかった情報がなんとか補足されているのかなと思います。SSって二人の甘々後日譚のイメージが強いので、そこに!?みたいな。
こういうサスペンス映画みたいなお話をBLで読めると嬉しくてたまりません。雰囲気重視なので楽しめたらOK派だけど、好みすぎたからこそ、あちこちもどかしさが残った点、正直に申し添えます。
ストーリーに見え隠れする作者の優しさに弱い読者ですが、情け容赦なくバッサリ斬りつけて欲しいMな欲求もあるんですよね。BLのエンディングってホント難しい。新作が待たれます!
雪路凹子さんの挿絵の影響か
非常に耽美でクラシカルな雰囲気漂う本作品。
ストーリー的にも、ホラーなのかミステリーなのか
中盤まで判断がつかない謎めいた展開が面白く
BLとしてはなかなか珍しい作品かと思います。
とある資産家が島に所有する、古い別荘。
そこの代理当主となった元会社員・錠太(攻め)は
美しい執事・黒由利(受け)に
亡き「旦那様」のように振る舞うよう指導される。
日々の生活や立ち居振舞いは勿論のこと
「慣習」であった夜のお相手まで……
氷のような美貌の執事のいきなりの夜這い&乱れっぷりにはなかなかそそられるものがありました。
錠太が黒由利に惚れ、情事に積極的になるにつれ
黒由利のデレが増えていくのも良かったです。
ここで終わったらただの主従BLですが
勿論それだけではなく。
この黒由利、長年屋敷で働いている(と自分で思い込んでいる)ようですが、過去の記憶は非常に曖昧。
錠太に恋したことで、忘れていた自我を少しずつ取り戻し、恐るべき真実を知ってしまう…というスリリングな展開です。
年をとらない屋敷の人々、
屋敷に残る「旦那様」の気配、
「旦那様」の婚約者らしき病弱な少女など
ゴシックホラーのような設定の数々が魅力的。
黒幕のキャラ設定がややファンタジー過ぎる点と
物語の決着が当事者同士の対決に終止し
社会的な決着についてはぼかされている点に
少し物足りなさを感じましたが
実験的で面白い作品でした。
ネタバレになるのであまり詳しく書けないのがもどかしいところですが、バーネット「秘密の花園」やダフネ・デュ・モーリア「レベッカ」のような世界観がお好きな方にはオススメしたい一冊です。