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utakata no koi ni obore
初めての杉原朱紀先生作品でした。
デキる弁護士高倉✕20歳(?)の大学入学予定の夕希。
ひとまわり以上の年の差あり、です。
夕希の年齢に?がつくのは、事故により幼少時の記憶がないからです。
自分が何者なのかわからないまま、養父母に引き取られ、愛情深く育てられます。
大学入学を控えた春、海外へ行ってしまう養父母から、夕希と同居し留守を任されるのが、知人の友人である高倉です。
最初の頃は、無愛想でイヤなヤツなんです、この高倉は。
なぜか、イライラつんつんしているし。
というか、夕希は同居開始前に、暴漢に襲われたことがあるんです。不安だと思うんですよ。
なのに、仕事で帰りが遅かったりしてあまり顔を合わさない、とか、食事も互いに好き勝手にすれば良い、とか。
無責任な男だな、と思ってしまいました。
ただ、夕希は直向きに歩み寄ろうとします。
だからこそ、記憶が無いことでトラウマがある夕希の不安定さと、それには見合わない芯の強さとのギャップに惹かれ、徐々に甘やかし始める高倉の姿にはニマニマしますよ~。
そして、夕希の喪われた記憶と近寄る不審者の存在を絡めて進むお話は、思っていたよりもサスペンス色が強かったです。
過去の記憶が戻ったときに、記憶が無い間のことを忘れてしまうかもしれない、という怖さ。
優しくて温かな両親を忘れてしまうかも、高倉の存在も、彼への恋心も忘れてしまうかも…。
自分の存在意義を確認するために、写真を撮り続ける夕希の想いが切なかったです。
夕希の消えた過去は。
夕希を襲う犯人の正体は。
謎が解けた時に、高倉への想いはどうなってしまうのか。
終盤の事件発生、解決までがアッサリとまとまりすぎていることと、高倉が私としては甘さ控えめだったことに物足りなさを感じましたが、最後まで楽しく読めました。
注意)
夕希の過去にほんの少しですが、小児性愛描写があります。本当に少しだけですが、ちょっぴりもダメなのよー!って方は、お気をつけください。