女郎蜘蛛の牙

jorougumo no kiba

女郎蜘蛛の牙
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神8
  • 萌×24
  • 萌3
  • 中立1
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
6
得点
66
評価数
16
平均
4.2 / 5
神率
50%
著者
水原とほる 

作家さんの新作発表
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イラスト
高緒拾 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
価格
¥600(税抜)  
ISBN
9784199007750

あらすじ

紳士のような容貌ながら変人だと言われる警視庁の刑事・五十嵐。
単独でヤクザの岩田組の事務所を訪れ、組長代行を名乗る美貌の男・奥泉と対峙する。
女性的な艶かしさを漂わせつつも、冷ややかな瞳で警察に一歩も引かない度量を見せる奥泉に、五十嵐は惹かれていく。そんな折、岩田組組長が何者かに暗殺! 容疑者は、奥泉――!?
逃亡する奥泉を、捜索する五十嵐だが!?
誘い込んで身も心も喰らい尽くす蜘蛛のような執着愛――変わり者の刑事×美貌のヤクザのスリリングLOVE! !

表題作女郎蜘蛛の牙

組織犯罪対策本部の刑事,37歳
ヤクザ組長代行,31歳

その他の収録作品

  • オナガグモの爪
  • 襲名
  • あとがき

レビュー投稿数6

病的ではないパラフィリア

この作家さんの別の「職業」モノは読んだ事があり、その本で描かれた正義感にとても惹かれました。
そして、この本を手にとって読んでみたのですが、見事に騙されましたね。

刑事×極道という、BL小説ではよくある組み合わせですが、珍しいカップリングですね。
最初に二人が出会った時から、全てが始まっていたとは。
蜘蛛と蜘蛛が互いを共食いするような、そんな話でした。
最後の「事の発端」を知った時は、作家さんの名前を確認しなおした位に驚きました。
読み終わった後に思った言葉は「悪徳」でした。
悪徳といえば、マルキ・ド・サドを思い返す人もいるかもしれません。私はそうでした。
内容に共通点はないのですが、サディズムな表現も含まれているので、そういった所では共通するのかなとも思ったり。
BLでは本当に珍しい話の流れで、とても面白かったです。

そして奥泉視点のオナガグモ~では、蓮見のサディズムが、まったくの逆に見えた事にも驚きでした。
視点が違うだけで、こうも人間性が違って見えるのかと。
キャラクターが別のキャラクターになった訳ではありません。蓮見は蓮見、奥泉は奥泉、そこは変りないのです。けれども、真逆の存在に見えた事で、この奥泉視点の話はこの本には必要であり、蓮見の抱える想いを「理解」するのにも必要なんだな、と思いました。

このドラマ性と、二人の男の関係の描き方は本当に見事ですね。
他のレビュアーさんも書いていらっしゃいますが、この後の話も読んでみたいと思いました。

4

悪党同士の組み合せ でも魅力的なキャラです

最初から、重いです。
薄暗いです。
悪党同士の組み合わせ、でも憎めずに魅かれてしまう。
蓮見さん 刑事なのに 悪党です。
「おぞましくて、美しいものが好き」
ヤクザと刑事。敵対関係にありながら、
お互い魅かれていた。
奥泉の危機に、さっそうと助けにはいり
刑事としては、許されなくても、奥泉の秘密を共有する。

奥泉くんは、頭脳派の悪党君。
向上心はあまりなさそうなのに、ほしいもののために
策略をめぐらす。
自分からはあまり動かず、相手を奈落に誘導する。

二人とも、決して「良い子」ではないのに、
キャラが魅力的なのです。
あと、謎の多いガンマニアの住谷くんキャラも気になります。

ついに 奥泉くんは 襲名してしまいましたが
これからどうなるか
とても気になります。

3

ジョロウグモvsオナガグモ

殆どの人が気持ち悪がる蜘蛛の生態に擬えた小説。
 
・女郎蜘蛛
JSTX-3 神経毒を持つ毒蜘蛛。 雌の腹部上面は金色と水色の縞模様。
主食はハエや蚊、蛾などの虫 畜肉や魚肉の小片 交尾時に雌が雄を捕食

・尾長蜘蛛
細長い腹部を持つ、クモを食うクモ。網らしい網は張らない、クモに見えない蜘蛛

女郎蜘蛛は、刑事の蓮見視点 女郎蜘蛛は蓮見のペット。
尾長蜘蛛は、組長代行で経済ヤクザ 奥泉視点。
・・・何方も普通ではない人格の持ち主。
蜘蛛の生態を知れば、物語の概要もなんとなく透けて見える。

凝った構成の、病んだ二人の共依存愛。

2

刑事×ヤクザ

あ、これは対決とかの意味の×でなくBL界の記号通り右が受けという意味です。受けは組長の元情人(イロ)で武闘派でなく頭脳派の美しきヤクザ、魔性の男です。BL界によくいらっしゃる大好きなパターンです。水原先生のスリリング物久しぶりに読みましたがやはり面白い。でもこれももう8年前の作品なのですね。

この話はヤクザより攻めの刑事・蓮見の方がヤバい奴です。危ない奴というか。刑事なのに奥泉に惹かれすぎて色々とおかしな事になってる。クモをペットにしてたり最後はヤクザのボディガードみたいになってたり変な奴。相棒の住谷も蓮見とは別の意味で変わり者でバディなのに全然仲良くない所が面白かったです。

囚われたのは結局どちらなのか?というよりお互い様という感じの悪党カップルのお話でした。

3

まさに曖昧で奇妙な関係

この小説の『女郎蜘蛛の牙』は攻め・蓮見視点で、『オナガグモの爪』では受け・奥泉視点となっている。
ヤクザ間の血生臭い抗争の場面もあるが、二作とも動より静な印象だった。

刑事としては異端な内面を持つ蓮見が興味を示した美貌の組長代行・奥泉。
岩田組組長襲撃の容疑が掛かった奥泉を匿う中で、〈オナガグモ〉なる謎の男の正体も注目点となっているが…。

蓮見が奥泉に対してSっぽい一面を垣間見せるシーンもあって、水原さんの小説で10年以上前に読んで衝撃を受けた『夏陰』『箍冬』のような痛い系のインパクトを覚悟していたものの、そこまで構える必要はなくあっさりとしたものだった。

個人的には『女郎蜘蛛の牙』よりも奥泉の半生を掘り下げた『オナガグモの爪』のほうが興味深く読めた。
奥泉の過去を読むとヤクザに固執していない乾いた気持ちでいて、いつかは故郷に戻るという己の人生を見つめ直す部分には牙も爪もない。

変に近付くと共食いしかねない危うさよりも、相手に寄せる双方の想いのバランスが合っていないのに離れられない、まさに『曖昧な奇妙な関係』と言ったほうがしっくりくる二人だった。
多分これからもベタ惚れの蓮見と、平気で蓮見に毒付いている奥泉で、つかず離れずの共存関係が続いていくのだろう。

4

曲者同士の恋

一匹狼の刑事・五十嵐(攻め)は
ある日乗り込んだヤクザ事務所で
組長代理の奥泉(受け)と出会う。
数日後、組長が何者かに殺害され
組員に疑いをかけられた奥泉は逃亡。
五十嵐は自宅で奥泉を匿い……。


自宅でジョロウグモを飼う五十嵐。
禍々しいものを飼い慣らしたいという支配欲と、その生き物にいつか自分が喰われるのではないかという恐怖(フィア)を快感としている、少しアブノーマルな嗜好の人物です。

そんな五十嵐が、並外れた美貌と頭脳を持つヤクザ・奥泉に惚れ込み、自分のものにしたいと動く。
奥泉も上品ぶっているのは最初だけで、逃亡してからは口が悪く傲慢な素の性格が出てくるため、なかなかガチンコな対決を見ることができます。

特に最初の絡み、
縛ってスパンキングするプレイは激しく、
悪態をつきながらも感じている奥泉がエロく、
なかなか読み応えがありました。

前半は五十嵐視点、後半は奥泉視点で
話が進むにつれ一途執着攻め×ツンデレ受けの様相を呈してくるのが萌ポイントかと思います。


ヤクザモノ/事件モノとしては
組長殺しの真相や
謎の情報屋「オオナガグモ」の正体明かしが
伏線不足で、ご都合主義な感は否めません。

五十嵐が、会って間もない奥泉のことをなぜそこまで深く理解できるのかも不明で、色々と説明不足にも思えます。

しかし、最近の水原さんの新刊比ではドラマ性があり面白く、
SなようでMな五十嵐の人物像も魅力的でした。
ペットに爬虫類や両生類を飼う人の心理ってこんな感じなのかなと興味深くもあり。
星三つ、萌評価とさせていただきます。

3

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