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初めてのレビューです。
なので今まで読んだ中で一番印象に残っているのは何だろう?と考えてこの作品にしました。
BL・・・といえるかどうか微妙なところかもしれませんが、山藍さんの作品を読み始めたきっかけでもあるこの作品にしてみます。
本屋さん(BL書棚付近)にて目をしたときに、こういうイラストのBLって珍しいなぁと思って手に取りました。そして少し冒頭を読んで買うことを決心。
舞台は決してファンタジーではないのですが、表紙の絵の影響でしょうか?何か幻想的な雰囲気がするお話です。
殺人をしてしまった美貌の科学者イリス。彼は殺人が重罪とされるなか秘密裁判の結果、無罪となり、後見人のクラーク・ダリ伯爵の下異例の措置で科学研究都市ツインテールに左遷となる。しかし、それは予算の倍増、優秀な研究員のついた研究室への移動だった。イリスは部下の研究員たちに軽蔑され侮られながら、彼らと距離をもち、孤独にいた。しかし、後見人のクラーク・ダリは何かにつけてイリスにかまおうとする。実はイリスには人には言えない秘密を抱えていたのだ。その秘密とイリスの起こした殺人事件の真相を後見人のクラーク・ダリは知っていた。
そしてイリスを必要に自身の領地があるメララクにくるようにと誘っていたのだ。メララクには生物研究所があり彼はそこの所長でもあり科学者でもあったのだった。
ある日、イリスの起こした殺人事件の被害者の兄が現れる。彼もまたイリスの秘密を知る人物だったのだ。そしてある事件が起こり・・・。
という具合に話は進みます。
今まで囚人の恐怖の中で暮らしてきたイリスは決して精神的に強いタイプではありません。むしろどこまでも弱弱しく、守ってあげたいようなタイプです。しかし、彼は甘え方や人との接し方がわからないのか高慢な態度や突き放した接し方しか出来ないのです。
そして自分に向けられる人の感情、特に好意に関してはまったくといっていいほどわからない。そんなイリスがどのようにして変わるのか、とても楽しめる作品だと思います。
BLではない、まさにJUNE的な作品。
人を信用できない故に高慢でいて弱々しい彼が変化、成長していく様がよかった。
幻想的な佳嶋さんの絵が気に入ったこともあり即購入。おすすめです。
どこまでも美しく、両性という秘密を持ったガラスのようなひと
イリスの物語、
他の方がレビューしている通り、成長物語、
人として、ぬくもり愛情を覚えるロマンティックなハーレクイン的な世界。
ダリ伯爵もまた、なにもかも思い通りになる怠惰な生活から
抱擁と責任をイリスとの愛から学ぶ彼の成長物語でもあるな、と思いました。
あまりにも、世間知らずで傷付きやすいイリスに時にはイラっとしながらも
か弱い彼を『がんばって、幸せになって』と応援する気持ちが終始止まりませんでした。
何もかも美しく未来的な、しかし19世紀末のような
デカダンを感じさせる世界観は
二人の設定にピッタリでした。
JUNE世界のおとぎ話、二人が永遠に幸福であることを願います。
こんな幸福は、きっと物語の中にしか存在しないでしょうね。
ガラスに彫刻されたシンデレラの世界のようでした。
「教えてねーさん」でご推奨頂いた耽美小説、中古本をAmazonで買いました。
讀みやすかった。山藍紫姫子さんは、推理小説も書く小説家だったんですね。文章も構成もしっかりしていて、安心して読めます。
両性具有は実在します。
この本はBLというより、捉え方を変えると、両性具有への理解を社会に呼びかける一冊になるんじゃないかと思いました。再版してほしい。
イリスは、両性具有を隠している研究者。イリスのように、優秀でも、肩身の狭い思いをして生きている人は、少なくなさそうです。
「山藍紫姫子の世界 両性具有」という絶版本を買おうかと思って、Amazonのレビューを読むと、BLを嫌う人の嫌味臭い書き込みが入っていました。「両性具有」と書いているんですから、ダメな人は読まない、買わない・・を貫けばいいのに。勝手に覗いて文句を書いています。ジェンダーレスの壁は、厚い・・・読むだけでも、BLは革命。
実際に、イリスのように悩んで苦しんで、恋愛に尻込みしている人が、多分 いる・・
自分の偏った主張を押し付けて、こういう自称「良識ある普通の人」は、実社会でも誰かを傷つけているんでしょう。
小説の内容が、凌辱的に偏っていたとしても、性別に悩みを持つ人が居るということは知った方が良いと思います。
キメラの研究が進んで、性別は二種類ではない、男女の性別が変化する可能性もあると言いだしていますし、両性具有の人達の率は「2000人に1人の割合で存在している」そうです。
文芸の世界から壁を崩して、偏見を取り除けたらいいのにと思うのですけれど。まだ時間が必要なのかもしれませんね。
----両性具有について調べました。
▼両性具有
男女両性を兼ね備えた存在の事を指し、ギリシャ語よりandrogynos(アンドロギュノス/アンドロギュヌス)とも称する。
▼絶滅回避の決め手になる性かもしれないのに、現在は「異常 性分化疾患」。
https://kirari-media.net/posts/17
「染色体の異常が調べられたり、4Dエコーなどで赤ちゃんを詳しく調べる事が可能になってきました。その為両性具有の赤ちゃんが生まれる割合は昔より減った」←中絶されて、生まれていない。
★話題によく挙がるのは、国際スポーツ大会でのセックス・チェック。第三の性を認めるべきじゃないかと思います。
「両性具有の女子スポーツ・金メダリスト」
https://www.anti-ageing.jp/news/d200909171001/
山藍紫姫子の世界 http://www.yamaai.com/
山藍先生の作品の中で、「両性具有」ないしは「両性具有的」はしばしば現れる題材。
美貌の天才研究者・イリスは両性具有ということにはなっておりますが、
描写がかすみがかっていて、はっきりとアンドロギュヌスだとは意識しづらい。
しかし、この「イリス」のイメージはのちの山藍先生の真骨頂とも言うべき作品の原型!
ほぼ時を同じくして書かれた「アレキサンドライト」はより一層、両性具有というのを
鮮烈に描いていますし、「スタンレー・ホーク」のアリスター・ロスフィールドしかり、
「タリオ」の桜庭那臣しかり、人間との接触恐怖や男女を超越した完璧な美という
キャラクターの原点はここにあるのではないかと思えます。
マンディアルグやパゾリーニを思わせる華麗なグロさは薄いので、
両性具有さえ気にならなければ、山藍作品の初歩としてもよろしいかと。
たとえば「幾千の河もやがてひとつの海になる」や「堕天使の島」、
「とりかえばや」といったグロテスク描写を含む作品が好きな方には
少々物足りないかもしれないが、山藍文学の原型としては興味深いことと思います。