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処女と娼婦、おまえはどっちなんだ
youjinbou ni kiss no ame wo
高月さんのシリーズ『仁義なき嫁』で、攻めが若頭補佐を務める大滝組がこちらで少し登場しております。
名前が出ているのは若頭の岡崎だけですが、チラッと出たのは周平(仁義〜の攻め)の舎弟の岡村なのかな?
既読の方にはニヤリとさせられますね。
文体ですが、高月さんは一様に軽くはありません。
わたしは『仁義〜』で慣れていて好きなのですが、それでも作品によっては読み辛く感じる部分もあります。
視点は受けだったり攻めだったりしますが(今作は受け)、そのキャラ視点に高月さんの視点がすごく導入されているというか、こういうことを言いたいのよ!という辺りが透けてくるのです。
その辺りがとっつきにくさを感じる方もいらっしゃるかなと思います。
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受けは中華街でひっそり営むカフェ店主、暁明。
裏では情報屋をしている麗人で、26歳。
異父兄は表向き輸入商のチャイニーズマフィアで、暁明の想い人。
攻めの志賀は、暁明が橋渡しをしている笠間組から送り込まれた用心棒。
自衛隊上がりと言いますが、実は外人部隊(大仰過ぎでしょ、設定)出身。
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わたしの読み込みが足りないのかもしれませんが、ざっと読むと序盤に語られる設定の部分がよく理解できません。
志賀が暁明に張りついている意味など。
何度か行きつ戻りつしてしまいました(苦笑
大まかな内容もまとめづらいです。
この序盤の読みづらさがずっと続いたならば、評価を中立にしていたと思います。
大滝組がチラチラ登場し、志賀が暁明へ危険を忠告し始めた頃からぐんと面白くなりました。
志賀の暁明を賛辞する言葉が後から後から出てくるのですが、志賀のキャラが仕事の割りにマジメなので笑えます。
どんな顔で言ってるんだと。
途中から急にふたりの間がスピードアップして、甘い雰囲気にちょい萌えましたー。
料理をする志賀の腰に後ろから手を回して抱きついている暁明とか(照
高月さんはこういうちょっとした萌えポイントを下さいますね!
パオズは暁明の仕事のパートナー兼ボディーガードで、わざとらしい中国訛りと表されているように、胡散臭ーい日本語を操っています。(009のメンバーを思い出しました)
主人公ふたり以外ではメインはこのパオズなのですが、あまりに胡散臭いので本当に味方なのかと不安になりながら読みましたよ。
高月さんは電子書籍で活躍されていて紙媒体にはあまりならない作家さんなのですが、せっかく紙媒体で発行されても『仁義なき嫁シリーズ』以外はなにやらパッとしないというのが個人的感想です。
シリーズ化していない単発の物はイマイチ感がある気がするので、本当は電子のように(電子は長いシリーズものがいくつかあります)シリーズものを紙でも出せれば違うのだろうなあと思います。
仁義なき~の男っぽい関係が好きでこちらの作品も手に取りました。
こちらは中国系マフィアもの。美人の情報やとその警護に入ったヤクザの下っ端のカプ。美人童貞受け(ツンはいってる)と一途攻めの構図でした。
ベタ甘な展開にならないのがこの作家さんのいいところです。が、受け攻めどちらもキャラが安定しなかった印象です。
受けの方は、純粋な恋の初心者ながらすれっからしを装い、しかしその実マフィアの中で高い身分だが実力はなく周囲に守られている、という設定。
一方、攻めは冷徹な用心棒ながら、クールなオレ様攻めかというとそうでもなく、一途な気持ちを隠しきれない純情攻め。
ちょっとつかみづらく、どちらにも萌えられなかった。
また、冒頭にその傾向が強いのですが、文章が独りよがりになっていて、かなり読みづらいですね。説明調にならずに説明がされているのいいのですが、色々省略されていて、すっと展開が頭に入ってこない。誰のセリフかも追いにくい。
他作品もなかなか当たり外れが大きくて、なぜあのように濃密な仁義シリーズが生まれたのかしら、と思うことも。
それでも、この作品だけ見れば、最後まで楽しめたので悪くはなかったな、という読後感でした。