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教育係の甘い鞭にウサギ王子が啼かされて?
kuro rabbit ouji secret love lesson
表紙の絵が好みだったのと、西洋の王国っぽい雰囲気に惹かれて読んだ作品です。
挿絵を描いていらっしゃるJIN-Iさんの絵は初めて拝見したのですが、とても綺麗でそして華麗さもあって、この作品の雰囲気にぴったりだと思いました。
お話の舞台は魔女がまだ存在するどこかの王国で、衣装や建物の雰囲気はヨーロッパを思わせます。
その国の第七王子であるシオンとシオンが子供の時に拾ったキリヤがメインキャラクターです。
魔女の存在を認められているだけあって、この国の王家にも魔法に関わる言い伝えがあるのですが、それがファンタジーでお伽噺のようです。
主人公2人は王子と拾われた付き人という主従関係なのですが、大人になるにつれキリヤがシオンとの距離を置くようになり、シオンは不満に思っています。
キリヤを独り占めしたいと思っているシオンはもうすぐ20才になるのですが、行動にキリア大好きというのが現れていて可愛いです。
一方のキリアはつれなくて、美貌と才能を持ち合わせているのですが、まさにクーデレという印象でした。
特に大きな事件が起こるというストーリーではないので少し物足りなさを感じましたが、2人のお互いへの信頼が篤く絆は強いと感じられるのが良かったです。
タイトルの『黒兎』ですが、獣耳モノでも兎はそれ程見たことないのですが、キリアに撫でられて気持ちよさそうに眠っているシオンの絵は可愛かったです。
うさぎ萌しちゃいそうなやんちゃで意地っ張りな兎に変化する受けになる王子と
その教育係でS気質がある攻めが出てくる幼馴染&主従関係のラブ。
大昔の先祖王が魔女と契約を交わし力を得た代わりに代々その身に獣を宿す国が舞台で
平和になった今ではその力も獣を宿す王族も出てこない時代に先祖返りみたいに
王子であるシオンの成人の儀式が近づいた頃に突然シオンが兎に変化してしまう。
真っ黒で小さくて可愛いロップイヤー風のうさぎちゃんになるのですが可愛いのです。
シオンは喜怒哀楽が直ぐに顔に出るようなやんちゃで素直な王子様で、
感情が高ぶると兎になってしまうのですが、そのきっかけが幼馴染で教育係のキリヤへの
恋心ありの欲情なのです。
キリヤは魔女が住むという森の近くでシオンに8歳の時に拾われてそのまま王宮で暮らし
年の近いシオンの遊び相手から現在の立場になったのです。
シオンは綺麗なキリヤが大好きで自分のものだという執着が激しくてでも最近では
いつもそばにいたキリヤから距離を置かれているのが寂しくて仕方ない。
なんでも顔に出てしまうシオン、感情を全て内に隠しているS属性のキリヤ、
主従関係もあるのでキリヤの本心が見えなくてシオンがジタバタしてしまう話なんです。
好きになった相手をどこまで信じきれるか、魔女の森でシオンは魔女に試されるが
一途にキリヤを信じ、たとえ騙されていたとしても構わない発言が男前でしたね。
シオンは兎に変化すると同時に癒しの力も手に入れているのですが、
その辺を使ったエピソードがもっとドラマチックにあればうるうる出来たかなと
軽く読み終えてしまえるのがケモミミ萌なだけに残念な気もします。
真崎さんの初めてのB-PRINCE文庫での作品ですね。
タイトルや表紙イラストからの印象のまま、ライトであまあまでラブラブなファンタジーです。
『魔女の呪いで獣に変わる王族が時折現れる』という王家の末の王子であるシオン(受)と、シオンの遊び相手から今は教育係で、さらに成人後の守護役として望まれているキリヤ(攻)。
2人は、約15年前に異国人らしい風貌の8歳のキリヤが5歳のシオンに拾われて以来の付き合いの幼馴染みになります。
満月の夜、キリヤを想って自慰をしたあとで、黒兎になってしまったシオン。
朝には元に戻っていたものの、様子がおかしいのをキリヤに悟られ、黒兎に変わったことも知られてしまいます。
獣化には『感情の昂り』が関係するそうです。
獣化を制御するには魔女の鉱石が必要らしいのですが、手に入れるのが困難なためとりあえず感情のコントロールができるように『理性を鍛える』特訓をすることになるんですね~。
それが、まあセオリー通り『ベッドの中でのシークレットレッスン』だというわけです。
『もふもふ』としては、完全に『獣(黒兎)化』する以外にも、途中経過で人型に兎の耳(ロップイヤー種の垂れ耳です)や尻尾が出るのもお約束です。←しかし、普通『ケモ耳』って頭の上だと思うんですが(まあ、よく考えたらそのほうが変だよね)、こちらはホントに『人間の耳の位置』からウサ耳がだら~んと・・・
ただ、この『獣に変わる』というのが最初から『あり得ること』という設定なので、それ自体は結構軽~く流されてます。
一応、クライマックスになるんだろう(魔女関係の)エピソードもあっさりさっぱりですが、まあここだけ深刻になるよりもストーリーの雰囲気としてはこれでいいんでしょう、きっと。
SS『黒兎愛玩』はキリヤ視点です。
シオンに拾われることになった成り行き(身の上)から、出逢って以来ずっとシオンを見守ってきたキリヤの心情。
レーベルからもタイトルやあらすじ・表紙イラストからも、いかにも『お手軽に読めるコミカルなケモ耳ファンタジー』って感じで、そういうものと承知の上なら甘くて可愛くて読みやすいストーリーです。
個人的に、キャラクターに特に魅力を感じない(好みのタイプじゃないからかも。でも別にダメではない)ので、すごく好き!とまでは行きませんけどね。
もともと『S気質攻』も所謂『(主にH系統の)レッスン』も大キライなので、あらすじの『ドSの教育係』の時点でほとんど期待せずに読んだんですが、レーベル的なものもあるのか『・・・これのどこがドSなんですか?』と思ってしまいました。Sッ気はあるんですが。←言い換えれば大変にヌルいので『ドS』を求めて読んだら肩透かしじゃないかと。もう単なる『あまあま』でいいんじゃないのか、これは。
ラブ面は、もう最初からお互いに想い合っているのはわかりきってて、特に葛藤というほどのものもないですし(イヤ、キャラクター本人にはもちろんあるんだけど)、ストーリーの山も谷もさほどないので何も考えずにさら~っと読めます。
ひとことで言えば、いかにも『B-PRINCE文庫のなんちゃってファンタジー』って感じでした。決して悪い意味だけではなく。
繰り返しになりますが 『こういうもの!』とはじめから納得していれば、お見事にお約束の王道を外さないので安心して楽しめます。
まあ、浅いと言えばこの上なく浅いんだけどね。
でも、確かに『すごく好きか・面白いか』と訊かれたら困るんですが、少なくとも『読まなきゃよかった』とは思ってません。面白かったんです。
実は、真崎さんの他レーベルの『もふもふ』シリーズは(現時点では1作を除いて)まったく好みじゃないのでこれもどうかな~とちょっと迷ったんですが、私はこちらの方が好きですね。
そして、イラストは(ちょっとぎこちないと感じる部分はありましたが)綺麗でキャラクターやストーリーのイメージには合っていました。特に『完全黒兎化』のシーンはコミカルな雰囲気が出てて可愛かった。
JIN-Iさん、B-PRINCE文庫の新人大賞受賞された方ですよね。結構好きな絵柄です。