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mashiro no hatsukoi kogitsune yome ni iku
甘々を求めて天社(あまと)村もふもふシリーズに挑戦。
1冊目のモフは真っ白な小狐、雪降る季節に産まれた由来で”真白”という名前を授かった可愛い男の子だ。
村の医師・葛城は友人の近衛をしばらく村に招き、真白が彼の身の周りの世話を請け負う事となった。
真白が甲斐甲斐しくおもて成しをする様子が健気で愛らしいのに、近衛ってばつっけんどんな態度しか見せないなんて可哀想じゃないの…
と思っていたのも束の間、そんな近衛も速攻で真白の可愛さに落ちていたのだった(笑)
欲を言えば、近衛が真白の健気さにほだされていく過程も味わいたかったけれど、正体ばれを極端に恐れた真白が逃げ回ってバタバタしていたのでそれどころではなかったっぽい?
その代わりに、近衛の真白に対する溺愛ぶりは半端なく甘い。
ちなみに、天社村には眷属に命名する事で結びつきが生まれるという風習がある。
既に過疎化が進んでいる村内は、長年暮らしている老人が残っているだけらしく、年若い眷属はこの村では白狐の真白と狼の葛城だけのようだ。
眷属と人が名付けによって繋がりを持つって、何だかオメガバースの”運命の番”設定に似ている。
(もしかしたらこちらの設定のほうが受け入れられ易い気がするけれど、どうだろう?)
近衛は中学生の頃に同級生だった葛城に頼まれて、産まれたての子狐に名付けをした経緯から今の真白と番として結び付いただけあって、お互い引き寄せられるように惹かれていったのに違和感はなかったのだ。
一旦は両想いなのにすれ違ったりしてしまったものの、最後まで真白の可愛さ・健気さは胸キュンものだった。
無事に二人は新婚生活?を送るようになったらしいが、村を出ての都会暮らしってのはちょっと残念。
作家として有名人になりすぎだからって理由で葛城に説得されての事らしいが、近衛は料理・DIYも器用にこなすし、元々人間不信だった彼にとっては真白と一緒に村での自給自足の生活のほうがいいと思うのだけどなぁ…
秋山先生のケモ耳ですね、好きな作家さんのケモ耳だから楽しみにしていました。
そして読んだ感想はと言えば、普通に面白かったですね。
ただ、欲を言えばもう少し子狐真白ちゃんとお相手の近衛さんとの心の交流が
濃密だったらもっと嬉しかったかもと感じます。
両親亡き後の親戚や様々な人間に対してある種の猜疑心がトラウマのようにある近衛、
信じていた人に裏切られることがかなり根強く心に巣食っているみたいで、
中学時代に同級生に誘われるままに、過疎の進んだ村に人との付き合いでストレスが
溜まっていた近衛がやって来て、その面倒を見ることになるのが真白ちゃん。
近衛の中学時代からの友人で村の出身で医師でもある葛城が弟のように面倒を見ている
真白ちゃんは、葛城に頼まれ近衛のお世話をするのですが、人間きらいのある近衛は
真白ちゃんへの態度が初対面からかなり冷たいと言うか無関心。
でも真白ちゃんは始めて会った時から何故かドキドキ。
近衛と真白ちゃんは次第に心を通わせるようになるけれど、真白ちゃんの本当の姿を
近衛に秘密にしていることが真白には辛いのです。
でもそれは葛城に秘密にしろと厳命されているので言いたくても言えない。
結果的に最悪の形でバレて、ふたりの気持ちがすれ違う。
真白ちゃんは純粋でピュアだけれど、この村の秘密を守ってきた葛城も
やはり、近衛とは違う意味で人を心から信用できなくて、そんな大人に真白ちゃんが
振り回されて悲しい思いをしてしまう。
命懸けで近衛を救うことですれ違いは解消されるけれど、既に時遅しで
真白ちゃんは命を助けるために妖力を使いすぎて子狐ちゃんになって人型になれない。
もちろん最後はハッピーエンド展開ですが、真白ちゃんと言うより近衛と葛城の
関係に巻き込まれてしまった感が大きかったように感じました。
でもやっぱりケモ耳、それも発情期みたいになってエグエグ泣いている姿は萌です。
という以上に言うことないんですが・・・
もともと『ファンタジー・人外』が堪らなく好きなのと、秋山さんの(特に甘い王道)ファンタジーは時々個人的当たりがあるので、結構期待していました。
それにしても、確かに私は『王道』は大好きですが、あまりにも『王道』過ぎませんか!?
なんというか、本体(本性)が人外で人間に変化できるという設定でありがちな要素を思いつく限り詰め込んだかのようなストーリーでした。
まあ、とりあえず可愛い『ケモ耳』受ですね、としか言いようがありません。
キャラクターも、いかにも秋山さんらしいと思ってしまう。 特に真白(受)が、必要以上に従順で健気なピュアっ子です。
ただ、近衛(攻)が(秋山さんの攻キャラクターによくいる)私の大キライな『話を聞かない俺様』じゃなかったけどね。だからって魅力も感じませんが。
個人的好みからは、特に真白は決してキライなタイプじゃないんだけど・・・何故か乗れなかったんです。
エピソードのひとつひとつまでがあまりにもお約束で型通り過ぎたから?
スト-リーとしては、まあ『名付け親(命名者)』に関わる部分だけはちょっと別だとしても、それ以外の『繁殖期(発情期)』『番になれば・・・』あたりは、正直読みながら『あ~、ハイハイ(やっぱりそう来るんですね)』という感じでした。
何よりも、肝心のラブへの流れが安易過ぎる。というより、これは本当にラブですか?なし崩しHにしか思えないんですが。
個人的に、ケモ耳よりもH描写よりも『ラブ(心情等)』がいちばん大事だと思ってるので、そこがしっかりしてないと入り込めません。
と言いますか、そこさえ押さえてあれば他はもうお決まり展開の連続でもいいんだけどな~(私はね)。なんだかんだ言って『王道』大好きなので。
このところ(結果的に読んでるものに)何故かそのテが多かったので余計かもしれませんが、もう『またかよ!』が真っ先に出てきてしまう。
ただ、逆にそういうのがお好みならピッタリ嵌まるんじゃないでしょうか。
『可愛いケモ耳・もふもふ』成分だけは間違いなくたっぷり盛り込まれてますから。
ホントに、そこまで悪くはないんですよ。
見事なくらいに『王道』のパターンを外さないので、逆に安心して楽しめるとも言えるかな。
それこそ『ケモ耳・もふもふH』特化として、何も考えずに気軽にサラ~っと楽しむには最適かもしれません。
あとがきで『プロットは3年前に考えたが~』とあり当時はお蔵入りになったようですが、今となってはまさしく『二番(どころじゃないか)煎じ』としか。ある意味お気の毒な気さえしました。←3年前に出てればまた違ったんじゃって意味で。
そして、続編・シリーズ化構想があるようですが、こちらを読んだ限りではどうなんだろう・・・と懐疑的になってしまう。少なくとも私はどーでもいいです。
もちろん、実際に読んでみないとなんとも言えませんが、そもそも読みたいとは・・・
秋山さんの『甘い王道』は基本的に好きなんですが、こちらは↑にも書いたようにラブ面が物足りない(Hは十分だけど)のとキャラクターがあまり好みじゃなかったので、どうもいまひとつでした。
おそらく『何を求めて読むか』で評価が大きく変わる作品だと思います。
でも、高星さんのイラストはとても綺麗でした。