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oriental beauty
以前出ていた作品の続きが気になって、気になって、探し回った記憶が有ります。そして、どうやら完結して無いらしい?と、気が付くまで大分かかりました。今ならチャラっと解るんですけど。
美麗なサエキはどうなったの?!器の大きい、いい人のアレクセイは??
待っててよかった!そして、このラストを迎えるには時を経て、今で良かったと思います。あの歴史的感動が蘇り…背筋がぞくぞくしました。
時代に翻弄された…それがあるからこそ、出会い強く結ばれた、二人の幸せな時が長く続いて欲しいです。
舞台は西ベルリン。論文でも軍事記録でもなく、小説という作品で当時の東西冷戦の時代背景を描いた表現は十分すぎるほどで、執筆に至るまでのかわい先生の事前準備は相当なものだったとお察しいたします。私とかわい先生はおそらく同年代と思いますが、一応平和な日本に住まいながら、冷戦当時は漠然とした不安を感じており、しかし、当時想像していたよりは早くベルリンの壁が崩壊し、冷戦終結となったわけで、その激動の数年は私の人生の中で未だに最大の出来事です。半世紀生きてきて、ベルリンの壁崩壊のニュースは、希望を伝えるニュースで唯一私が震えたニュースで、未だにそれを超すものはないです。当時国家に翻弄されいとも簡単に存在を消された諜報員も数え切れなかっただろう時代、終盤に明かされる「α(アルファ)」の教え、そこでこの作品の主人公たちが自分の生きる正しい道を選んだこと、二巻途中からは涙が止まりませんでした。
ちなみに初めて知った事実。ベルリンの壁って、地理的にそこにあったの!?東西の国境にあったもんだとばかり思ってたーーーー!!!
上巻に相当する「東方美人」では、
設定やキャラの把握に、なけなしの注意力を使い果たし
BLではちょっと見ないような固い内容にも若干疲れましたが
下巻に相当するこちらでは、新たな登場人物も少なくて
純粋にお話を楽しめました。
今作では、父親に連れられて無理矢理ソ連に亡命させられたという
サエキの過去が明らかになったり、
『本国から下されたある指令』に関する顛末で
サエキのアレクセイへの想いの強さを感じさせられたり…と
登場人物に、より感情移入しやすくなっています。
後半で二人は、
ソ連が侵攻しているアフガニスタンの前線に派遣されるのですが
女性読者がメインのBLで紛争地って……。(-"-;)
でも、乾いた空気と砂埃、崩れた建物が目に浮かぶような、鮮やかな筆致に
違和感はすぐに吹き飛び、緊迫した状況に釣込まれるように読み進めました。
そして、アレクセイを絶体絶命の危機が襲います。
そこから最後のハピエンまでは、まさに怒濤の展開。
上巻から繰り返されていた、謎の人物
(体制反覆を狙うサエキの教師で同志)の言葉
『強くあろうと思うならば、けして、守るべき者を持ってはいけない。』
この続きが明らかになります。
『だが、君にもし、守りたい者ができたなら…。』
『その時は迷わず信義などよりもその相手を取りなさい。
その方が、君の人生は豊かで恵まれたものとなる。』
さすが、サエキが父親代わりと慕うだけのことはある…。
何て良い事言うんだ〜 (/_<。)
そして、常にクールだったサエキが取った思いもかけぬ行動。
二人の固い絆を感じさせるクライマックスでした。
本編は、ベルリンの壁崩壊という歴史的な事件を見つめる二人で幕を閉じます。
この後、東西冷戦は集結し、
長い間サエキを苦しめてきたソビエト連邦が消滅するんですよね…。
なんともスケールの大きな話でした。