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okubyou na Jewel
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
きたざわさんには珍しく(あとがきで『初めてかも?』と言われてました)、CP違いの中編2編(&SS1編)の構成です。
きたざわさんは、脇キャラクターをメインにスピンオフ展開されるのが基本パターンですので。
まずは表題作。
湊都(受)は、専門学校を卒業して入社したばかりの会社が計画倒産して失業してしまいます。
さらに、高校の同級生でひとり暮らしのアパートの隣人でもある恋人はもうずっと浮気を繰り返していて、その癖別れたがらず湊都は彼から完全に心が離れてしまっている状態なんです。
そんな中、高校時代(途中で転校しているので、恋人とは別の高校)の先輩で、ずっと湊都を気にかけてくれて恋人が覚えてもいない誕生日にも毎年お祝いメールをくれる達祐(攻)に、会社が倒産したことと恋人の行状も打ち明けるんです。
それにしても、揉めるのが面倒だからずるずるとそのまま(しかも相手は浮気三昧で、体の関係もなく家事させられてるだけ?)って、達祐じゃなくても『投げやり過ぎるだろ・・・』という感じですよ。
結局、湊都は達祐の申し出通りに恋人と別れて、アパートも引き払って達祐が下宿している、達祐の叔父の家に住むことに。
湊都は、引っ越して来たその日に達祐に『ずっと好きだった』と告白され、恋愛感情はないからと断ろうとしますが、達祐に見抜かれて『いまは返事はするな』と言われます。『返事は俺を好きになるまでするな』って・・・それを本人に言っちゃうのか。
仕事も、達祐の叔父が投資顧問会社とともにオーナーを務めるなんでも屋で働くことになったんです。
ちなみに、達祐は大学院生兼業のなんでも屋の社員です。
湊都の初仕事は、達祐と組んでの浮気調査。
既婚者の教授と男性助手の浮気を疑った教授の妻の依頼なんですが、この調査を通じて湊都の気持ちも傾いて(あるいは固まって・気づいて)行くんですね。
湊都の失業・転職に、浮気性の元彼との別れと、彼との日々で自分に自信が持てないこと等々、軽くはない枝葉がいろいろあるわりには2人のラブは特に問題なくスムーズに成就します。
キャラクターは、湊都はちょっと情緒未発達気味というかいろんな面で温度が低い感じがしました。
達祐は溺愛・甘やかし系統かな。
私は、きたざわさんの『俺様・傲慢』『大人げない』攻(話を聞かない確率高し)がものすごく苦手というかキライなので、そうじゃないだけでもいいんだけど。
個人的には、どちらも20代前半と若いだけでもよかったんですけどね。
なんというか『どういう作品か』と訊かれたらどう答えればいいのかと思うくらいに平坦なイメージなんですが、それでも結構好きです。
すごく面白かった!というのとはちょっと違うんですが、あっさりほのぼのと読みやすい。何より個人的な苦手要素がない。
ただ、物足りない(詳しくは後述)。
そして、脇キャラクターとしてなんでも屋の上司とオーナーの息子(つまり達祐の従兄)が出て来るんですが、この2人が2編目でメインになっています。
2編目『我儘なクラウン』
達祐の上司である宇城(攻)と、達祐の従兄の聖也(受)のCP。
聖也は宇城に10年片想いしていて、10年前に告白して断られているんですが、その時に『10年後にまだ好きなら考える』と言われたんですね。
宇城は10年後の現在もやっぱり無理だと言うんですが、その理由がちょっと想定外でした(聖也も私も)。
宇城は、聖也はすごく好みだけど、真剣過ぎて重い(遊び相手にはなれない)。
でも、何よりも異常な執着・独占欲を持っていた自分を信用できないと言います。←だから、本気になるのは不安なんでしょう。
宇城は、過去に一方的に『自分のもの』だと思っていた従姉に縁談が持ち上がったとき、彼女を拉致・監禁する事件を起こしたと打ち明け・・・
せっかく表題作でそれなりにいい気分になったのに、あっという間もなく急降下。
とにかく、宇城がダメでした。
きたざわさんテンプレートの(私の)苦手なパターンとはまた違うんですが、もともと病んでる執着がものすご~く苦手なので、どちらにしても許容外です。
最後にSS『健気なオブジェ』
一応、2CP合同(2編目CPメインかな)の後日談です。あまあまというかなんというか・・・
いくら2CPしかいない場であっても、職場でプライベート駄々漏れ&上司が公私混同ってのもどうなんだ。
う~ん、これいつも通り(雑誌掲載作+書き下ろしで)表題作CPだけで1冊まるごとの方がよかったな。まあ、その場合スピンオフは間違いないでしょうけどね。
もともと『1作で2CP(特に2編構成)』は、尺が足りなくて何かと物足りないと感じてしまうことが多いんですが、こちらはそれ以前に片方がまったく好みじゃなかったので、余計に惜しかったです。
しかも、短い中に(主に)なんでも屋の仕事描写が多く入るので、ラブがよりあっさりに感じました。イヤ、仕事とラブは関連してるんですけどね。
2CPともに、わざわざ『過去のトラウマ』的なものを盛り込んでるから、あまりにもそのあたりがあっさり過ぎると拍子抜けです。
まあ正直、この2編目については(スピンオフで)1冊まるごと読まされるよりは『足りない・薄い』方がまだマシかもしれません。
それでも、表題作の方は言いたいことはあってもここ最近のきたざわさんでは(個人的好みで)ホントにいい方なので、こちらで1冊書いて欲しかったよ。
評価は、表題作は(ちょっと迷って)『萌×2』、2編目は『中立以下』で、トータルではもう『萌』で。
あとはイラスト。
陵さんは苦手・キライというほどではないんですが(作品によって、いいと思うこともあればダメなこともある)、少なくともこちらはまったくイメージに合いませんでした。
特に受2人が『(整っていて)可愛い』『綺麗』とは感じられなかったな~。
美貌とは別次元での『可愛らしい』がいいところですね。。
表題は高校時代の先輩後輩のカプのお話で、受けになる後輩の湊都に長年片思いしてる
先輩の達祐の気持ちが通じて恋人になるまでを溺愛気味に甘く描いてます。
湊都には高校時代の同級生で一応恋人がいるのですが、同じアパートの隣人同士で
恋人とは名ばかりで浮気をされまくっている湊都。
既に恋愛にレの字もない惰性的な関係ながらも、浮気をされ怒るよりも面倒だと
いう思いで過ごしていた時に、入社したばかりの会社が倒産して、高校時代から
可愛がってくれた達祐に相談して、あれよというまに達祐の紹介で仕事を見つけ
住まいも達祐のところに居候させてもらうことになり、そこで初めて達祐が自分を
学生時代から好きで下心アリで面倒を見てくれたと知る。
気の合う大好きな先輩から、恋愛感情を意識するようになるまでをテンポよく描いていて
あっさりしている気もするけれど、後味最高な作品です。
その他に達祐の3歳上の従兄弟の聖也と湊都や達祐が働く会社の上司である宇城カプの
やはり従兄弟同士ですね、同じく聖也は10年も宇城に片思いしてる話です。
こちらもかなり執着気味の内容ですが片思いしてる方と言うよりされてる方が
実はと言うやはり甘いお話でした。
ラストにはこのふたカップルががっちり登場しての嫉妬ありの執着ありの
バカップル話も楽しめる1冊になっていました。