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Ulvang no tsuki
目次
「ウルバンの月」
「死者の肖像」
★復刊の電子版にはあとがきが無い。・・・著者、ご存命なんだろうか??
理玖の両親、引き取られた叔母の娘は、死んでいる。
沢木理玖には、若干霊感がある。 ホラー系BL。
理玖は叔母の長男の仁に肉体関係を強要されていた。
だが、高校を卒業する日に突然その関係を断ち切られる
・・・いきなり放置。
どうやって生きていけばいいのか分からなくなる理玖。
冒頭だけで、そのあとちっともエロくない。ホドホドのホラー。ホドホドのエロス。
生きている人じゃなく、死者と向き合う主人公。
花郎さんの伏線仕込み、凄く上手。
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【ウルバン - 盂蘭盆】
ウルバンとは、サンスクリットavalambanaの転訛したullambanaの音写,倒懸(さかさづり)の意
盂蘭盆の原語は、イラン語系の死者の霊魂を意味するurvanであり,霊魂の祭祀と同時に収穫祭でもあったウルバンという祭祀が、イラン系ソグド人の中国進出とともに中国に伝えられ,畑作農業地帯の収穫祭として中元と結合
--世界大百科事典より
ただいま独り花郎さん祭りです。
『恐怖の男たち 1』を読み、続きを待つ間こちらを読みました。
これは実はちょっとオカルト(霊関係)。
と言っても、怖いとかそういうことではありません。
ただ、その件に関しては本編のラストちょっと驚かされました(苦笑
その辺りも後半の書き下ろしで解決されていて、モヤモヤ感もなく纏められています。
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受けは両親と従兄妹の涼子を同時に亡くし、それを機に母の実家である叔母の家へ引き取られた理玖、22歳。
現在はフリーのシルバーアクセサリーデザイナーで、霊感体質。
攻めの仁は理玖の同い年の従兄弟で涼子の兄。
ラグビーを続ける大柄な大学生で、高校卒業後一度も実家へ戻らず、仕送りも断り、独立した生活をしています。
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理玖が16歳、その年の親族一同の旅行。
どうにも悪寒がし、家族旅行を拒否した理玖。
そんな自分の代わりに両親の車へ同乗した涼子は、両親と共に自動車事故にあってしまいます。
まるで理玖の身代わりに。
それを理玖は己のせいだと悔やみ、叔母夫婦の老後の面倒は自分が見ると決めているような生真面目なところがあります。
そんな理玖のお相手は従兄弟の仁なわけですが、彼は亡くなった妹の葬式で理玖が涼子の姿(霊)を見たと打ち明けても動じず、引き取り手の一人として手を挙げていた自分の実家へ来いと強く手を引きました。
理玖は丸ごとの自分を受け入れてくれた仁を信頼していましたが、それは17歳の時に無理矢理仁を受け入れさせられ粉々になります。
わたし、表紙を見た時は理玖はもう少し弱々しいタイプだと思っていたのですが、外見とは反対に中身は男前というか、かなり竹を割ったようなハッキリとした性格でした。
高校在学中、仁からずっと無理矢理関係を持たされていたわけで、仁とはかなりの体格差があり逃れることが出来なかったのですが、心は渡さなかったひじょうに強い精神の持ち主です。
そんな関係も高校卒業時、もうお前の目の前には現れないと仁が告げたことで終わりを得ます。
それを守る仁と顔を合わせなくなって四年。
それだけの年月が経ってなお、映像であろうとも仁の顔を見たくないと理玖は未だに仁を嫌悪しています。
ただ、まあ、この嫌悪というのも、この竹を割ったような理玖の性格ゆえの原因もあるのですが…
なんと言いますか、久々にきちんと男らしい受けキャラでした。
確かに若い頃の行動は目に余る無理矢理な暴走のようなものでしたが、仁の潔さには惹かれます。
四年経った今でも理玖が毎年父親の生家へ顔を出す日を覚えていたり、理玖を涼子の身代わりにするのはやめろと母を諌めたり、決して自分から理玖へ近寄らなかったり。
彼の行動はすべて最終的には理玖へと繋がっているわけですよね。
理玖は自分だけが17歳の夜から先に進めずにいるのに、変わっていく(彼女を作ったり留学をしようとしていたり)仁を受け入れられずにいますが、それもすべて理玖へと還っていくだけなんだけどなあと感じましたねえ。
そう感じるのは、わたしはたいていの場合攻め贔屓で、どうしても攻めの心情へ沿ってしまうからかもしれませんが。
このお話本編はけっこう短くて、理玖の憤りと仁の本音がぶつかりあえるとあっという間に解決いたします。
というのは、やはり理玖がかなりしっかり男だからだと思いますねえ。
理玖の霊感に関しては書き下ろしの方でかなり扱われていて、これは書き下ろしなしで雑誌の読み切りだけで読まれた方(かなり前でしょうが)にはちょっと消化不良だったでしょう。
わたしはかなり楽しめました。
もう少しの間、花郎さん祭り続行です。
電子書籍版を購入。
表題作の「ウルバンの月」、その4ヶ月後(?)を描いた「死者の肖像」が収録されています。
あらすじから受けた印象とはちょっと違いました。
もっと、攻めと受けの関係が物語の中心の、ドロドロとした陵辱ものかと思ったので。
あらすじで思わせ振りなことを書いているわりには二人の関係はあっさり落ち着いてしまって、肩透かしな印象。
(なんせ、ドロドロ好きなもんで……)。
そして、あらすじからは予想できない、オカルト展開……
いや、私は、知ってて購入したんですけどね。
知らずに手にとってしまうと、戸惑うかな。
本編で取りこぼした伏線も、「死者の肖像」の方でちゃんと回収されています。
その後の世界が気になるので、続編書いてもらいたいな。
初読みの作家さんだったんですが、めちゃくちゃ面白かったです。
しっかりした文体と押さえた筆致で描かれる物語世界。プチホラーです。
BLとして考えるとラブ要素もエロ要素が薄くて、一般的なBL読者には物足りないかも知れないと思いましたが、私はこういうのかなり好きです。
冒頭の家系図を見たときに、この婚姻関係がストーリーに深く絡んでくるのかしらと思ってちょっとひるんだんだけど、ひるむ必要はなかったです。
主人公は、高校時代に自分をずっと犯していたイトコに囚われてます。
二度と会わないと言われ、ずっと離ればなれなんだけど、忘れられないでいる。愛よりも憎しみを胸に潜ませている。
激情というよりも静かな炎で、この静かさがタマランです。
攻めは鈍感バカですね。愛すべきバカ。
あと家族がイイ。オバサンもオジサンも、本当に素敵でした。人間味のある素敵さ。
で、数馬も。
これはまったくラブとは関係ないんだけど、ラストに鳥肌がたちました。そうきたかー!と思って。この結末、まったくの予想外でした。切ない。
続編はゲロがちょっと気持ち悪かったけど、すっきり素敵なエンディングでした。