月が空のどこにいても

月が空のどこにいても
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神0
  • 萌×21
  • 萌0
  • 中立1
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
2
得点
5
評価数
3
平均
2.3 / 5
神率
0%
著者
松前侑里 

作家さんの新作発表
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イラスト
碧也ぴんく 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
価格
¥560(税抜)  
ISBN
9784403520327

あらすじ

「本気で人を好きになるってどういうことか、僕に教えてほしいんだ」親友の司と母親の両方から恋人を紹介したいと言われ、逃げ出した葵。
幼い頃から司に想いを寄せていた彼は衝動的に自殺を図り、ある男に命を救われた。
司しか好きじゃないと泣く葵に、一見能天気そうなその男貴之は、一年限りの恋人になる契約を持ちかける。
「神さまのお告げ」だなんて、ふざけたことを言いながら…。
書き下ろしピュアストーリー。

表題作月が空のどこにいても

研修医
高校生

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数2

少年の成長

とても好きな作品です。

葵(受)は、確かにちょっと幼い部分はありますが、年齢からして当然だと思うから気になりませんでした。これで悟りきった可愛くない子だったら、年の差の楽しみがないですし。それに、葵がストーリーを追うごとに見違えるほどに成長して行く様子が、本当にうまく表現されてましたから。

それより私は、貴之(攻)の、キャラクターはまあいいんですが、葵に対する姿勢(というより、『婚約者との結婚』と『葵と期限付きで付き合うこと』について、かな)がちょっとな~と思ってしまいました。
最初に飛び降りようとしていた葵を発見した時、あと1年しか生きられない(親の決めた婚約者と結婚しなければならないので、ゲイである自分としては、という意味だったんですが)から、と『いらない命なら、1年間の期限付きで付き合おう』と言うのは、まだ勢いというか軽い気持ちで言ったんだとしても、付き合うにつれてそうじゃなくなっていったのはわかってたはずですからね。

『期限』が近づくにつれて、苦しんでるのは葵だけで、結局貴之はどれだけ葵に本気になってたとしても『期限』を破る気はないんですよね。でもたとえ自分の中の結論は決まってたとしても、貴之にも『期限』に対する葛藤がもっとあれば、と思いました(ないわけじゃないんですが、葵とは比べ物にもならないんですよ。最初から諦めきってる感がアリアリなんですね)。
最初から『期限が来たら別れる』って決めてるんなら、相手を必要以上にのめりこませないように(ただでさえずっと年下の子なんですから)セーブすべきなんじゃないの、と思ったんです。そこが一番気になりました。

貴之が事故に合い、意識不明状態の間に『期限』が来てしまいます。(ざっくり割愛しますが)貴之が奇跡的に意識を取り戻し、それを確かめて『眠っている間に期限が切れたから』と葵が両親と渡米した後。
葵が貴之に、会いたいから帰国してほしいと頼まれて会いに行った時の貴之の態度が・・・いやわかるんですよ!よくわかるんですが、ここでそう出るくらいならなぜもっと早くに!と私のほうが苛立ってしまいましたよ。でも最初の頃とは逆に、葵のほうがずっと大人で(大人になったんですよね)、そのまま別れを告げるんです。

ラストはまぁ、これはこれでもいいんですが、せめて第三者だけじゃなくて貴之も企みに噛んでたら、もっとスッキリしたんじゃないかと思いました。つくづく情けない男だな、貴之、って感じですね。だからって嫌いじゃないんですけどね。とにかく、この作品は葵ですよ!

1

山あり谷ありの展開

医者×高校生の歳の差ものです。
来年結婚が決まっている医者の貴之は、飛び降り自殺しようとしていた高校生の葵に死ぬくらいなら一年間自分に付き合ってくれないかと契約を持ちかけます。葵は半分なげやりな気持ちでそれに答え、期間限定のお付き合いが始まる、というストーリーです。

葵が死を考えていたのは、好きだった幼なじみに彼女が出来たことと、母親がいきなり再婚すると言い出したからなのですが、普段から不憫な受けが好きでそういうBLを読んでいるともっと過酷な運命に翻弄されても頑張る子供、というのがたくさん出てくるため、不幸な境遇に生まれたというわけでもないのに簡単に「死にたい」とか「死んでやるっ」とか、何度も口にする葵は、私にはあまりにも子供すぎると思えました。
実際子供ですが、この子はかなりあまのじゃくでわがままですので、受けとしてこのこに好感が持てるかどうかで印象はだいぶ変わりそう。
しかし、後半はこの子の頑張りに胸を打たれる箇所が何度もあります。

わりとボリュームのある本だと思うのですが、だんだん本気で貴之に惹かれていく葵が、終わりが見えている関係に本気になりたくないと自分の気持ちを押さえようとする展開になっていきせつない内容でした。
ただ、それだけだと予想できてしまう内容だと思います。そのあとすごく意外な展開が待っていて、そのためにこんなにボリュームがあったのかと納得。後半の展開はかなりせつないです。

わがままな子供だと思っていた葵が、自分の進路や、絵を描きたいという夢を全部ひっくり返してまで貴之のために出した結論がとても感動的で、こんなせつない、お話があるのか…とひしひし感じました。
子供だから頑張れるピュアさが、胸にずっしり響きます。
この後半の展開はかなり良かったと思ったのですが、中立をつけた理由が、困難を乗り越えたあとの本当のオチがどうしても納得出来なかったからなのですが…(以下は最後までネタバレしています)

結局、二人の契約は切れ、貴之は婚約者と結婚式を挙げてしまうのですが、その結婚式に貴之の親友が現れ、花嫁が好きだといって彼女をさらっていってしまいます。
私はこの展開にぽかん・・・。

残された貴之と、つらい気持ちを抑えて結婚式に来ていた葵はその場で再びよりを戻すのですが…どうにも複雑なというか、これでいいの??という気分に。ハッピーエンドですが、あまりにもたなぼたハッピーな気が…^^;
親友が来なければあのまま結婚してたとはっきり貴之が言うのがどうも…これは感動的なの?という感じでした。葵が貴之をさらいに来るとか、結婚しないでと懇願しに結婚式に押しかけるというならともかく、結局頑張ったのは親友で、貴之と葵の愛の深さって、この花嫁と親友ほどではないんじゃないでしょうか??

このエンディングさえもう少し貴之が自ら頑張ってくれるものだったら感動できたのに…と思わずにはいられませんでした。

0

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