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ケダモノ写真家×けなげな学生のケモ耳ラブ
hakugin no ookami to amayakasareta emono
獣耳フェアの水島忍先生バージョンは、プラチナブロンドの外国人攻めが出てくる話で
受けの大学生はピチピチ18才でみろくことこ先生の可愛らしいイラストだけで
萌え萌えしちゃうような感じ、でも残念ながら獣耳が付いているのは攻めになる
ディーンなので、可愛い感じと言うより素敵感があるイラストですね。
この作品のケモ耳は再会もので、受けになる颯はディーンを全然覚えていない。
妻を亡くし世捨て人のような山奥で暮らしていた父親と共に6歳まで文明社会と
隔絶された生活をしていた颯はその山で一昼夜行方不明になり、
その事が原因で、父親は山暮らしを辞めた経緯があります。
でも颯はその時のことをあまり覚えておらず、ただ暖かで安心出来るぬくもりに
包まれていた事をぼんやり覚えているだけ。
読んでると早い時点でディーンの正体やら颯の神隠しやらは直ぐに繋がるし、
再会ものだと言う事も解るのですが、それをどんな形で思い出すのか、
はたまたディーンが打ち明けるのか、そしてディーンの正体が解った後に
ディーンが告げた自分のものや獲物発言ですれ違うことになります。
この辺りが獣と人間の相違な感じでしょうね、相愛だけれどちょっとしたことで
すれ違う、それでもいざ相手が目の前から消えてしまうのではと言う不安と恐怖
愛されていないと誤解してしまう気持ちは互いにあってたった一つの言葉で
やっと相愛になる展開です。
でも、今回のフェア、攻めが全て獣耳だったのですが、みろく先生の作品は
是非受け獣耳でお目にかかりたかったと可愛いもの好きの心が動きましたね。
大学生の颯(受け)は友人の失恋ドライブの途中、海辺で著名な写真家のディーン(攻め)に出会います。友人が彼ののファンだったようで写真のモデルを頼まれ、しぶしぶ了承します。できた写真を見においでと言われますが、ディーンから目が離せない自分がよくわからなくて会わないようにしなければと思うのです。が、なぜかディーンは颯の家を知っており、マンションまで写真を持って訪ねてきます。二人だけのときはスキンシップも激しく、すぐに触ったり軽いキスをしたりしてくるのですが、恋愛経験の皆無の颯にはそれが普通なのかどうかもわかりません。甘いお菓子につられ、ディーンの家を訪ねることになった時も、なし崩し的に抱かれてしまうのです。快楽に弱いと自分でも認識しており、ディーンに見つめられると抵抗できなくなってしまうので、会うのはやめようとするのですが、
友人の余計なおせっかいによりそれもかなわず、快楽に負けてしまいます。
颯は、自分とは年も離れているし、著名な写真家でもあり、容姿もとびぬけて良いディーンは自分とは釣り合わないから、いつか飽きられて捨てられる時がくると予想して苦しみます。「可愛くて仕方ない」とは言われても好きだという直接的なことは何も言って貰えないからです。
昔、山で遭難したときに狼に助けられたことがあるのですが、その時の記憶がないため、ディーンの銀髪や琥珀色の瞳を見るたびに既視感があります。早い段階でこの狼が、ディーンだっただろうとわかるのですが、半分以上過ぎても正体を明かさないので、じりじりしました。
そのときに婚姻の契りをしたのですが、その言葉が「おまえは私の獲物だ」。伴侶のことを獲物って、普通誤解しますよね。普段は都会に住んでいて、人間として生活しているのに何故この言葉選びになったのでしょうか。狼人間にとっての獲物と人間にとっての獲物という言葉の意味の違いをを知らないわけでもないでしょうに。きっとこの言葉さえなければもう少し早く誤解はとけたんじゃないかと思います。そして、ディーンはちゃんと態度だけでなく言葉でも言ってあげるべきだったんですよね。颯はお子様なんだから。
お互い愛し合っているのに、言葉にしないせいで相手を疑い、片方はこれ以上傷つかないように何度も逃げようとし、片方は逃げられそうになったことで怒り、拘束しようとして、悪循環に陥っていたので、終盤までとても切ないです。
ほぼ全編にわたっていちゃいちゃしてるのに、終盤まですれ違っているのでどうも不完全燃焼でした。
分かり合ってからの二人をもっと読んでみたかったです。
ディーンは12年も一途に颯が成長するのを見守っているくらいの執着ぶりなんですから、二人がきちんと相思相愛になってからは、さぞかし寂しがりやの颯を甘やかしてくれることでしょう。