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ryakudatsusha no junjou
舞台背景として、近年取り沙汰されているブラック企業や産地偽装問題、企業に飼い殺しにされる社畜。
そんなものを持ってきて、大雑把に言ってしまうとVs.ヤクザな物語。
ただそのヤクザは洗脳によって無意識に自ら社畜となってしまっている恋心を抱いていた元同級生を自分のモノとするため、結果として彼を救う形になっているという、恋愛や結末としては、健気な純愛がそこにあり、方法はちょっぴりヤクザらしく鬼畜だという。
意外にも勧善懲悪モノとなったシリアス展開でした。
家が貧乏で、飲食チェーンの会社”食楽園”の奨学金を受けて育ってきた響生は、学校を卒業してそのままそこへ就職し、現在社長秘書として働いている。
彼にとって恩人である会社と社長は心から心酔して信頼して尊敬する対象。
どんなに仕事がきつくて、休みがなかろうと会社の為と苦痛にも思わない。
たまたま、ここの会社の社長・宮川に汚い仕事を依頼されたヤクザ組長の息子で若頭の荒賀が、10年ぶりに再会した響生を手に入れるために、その仕事は断るつもりだったのだが、引き受けることにする。
人身御供として差し出された事も知らず、荒賀の元に出向く響生は荒賀に体を蹂躙され激しく憤るのだが、その辺りから会社の店舗で使用する食材の産地偽装問題、社員の過労死、会社のTOB問題などが噴出してその背景に荒賀がいることを響生は知るのです。
そして、社長の命令で会社をクビになったことになり、社長が必要とする書類を手に入れる為に荒賀に接近するのですが・・・
サスペンスタッチ展開でありますが、食楽園がブラック企業であることは明白の事実。
荒賀の思惑がなんであれ、結果として響生を助けることとなるのです。
響生は長きに渡って洗脳状態にあるのですが、荒賀の元に行き、客観的に会社の評判や判明した諸事実を知ることで、自分が騙されていた事を知るのですから。
響生は貧乏で学校でいじめられていました。
荒賀はヤクザの息子でしたが、他に流されない強さを持っており、べったりではないものの慕っていた過去があり、ヤクザの跡を継いでほしくないとおもっていたのですが、高校卒業時にその決められた道は変えられない事をしり絶交して交流を断絶していたから、荒賀と響生の間には恋愛の素地はあったのです。
なので恋愛面としては、荒賀が結構手荒な自分のモノとする手段をとって「オラオラ」と俺様攻めをしておりますが、根底は健気な純情だったのですよね♪
ヤクザがブラック企業をばっさりとあぶり出して、そして再生する。
小気味良い展開でありました。
働く事が出来る働く場所がある、働かせてもらっている、そんなまるで時代錯誤な
会社命みたいな健気な受けの響生、こんな社員がいたら経営者もウハウハかもと
不届きな事を思いつつ、本当にこんな風な男がいたら、
ましてそれが欲情まで覚えた相手の幼なじみなら、
言って聞かせてダメなら、荒賀みたいな手を使ってもお前が信頼する社長は
腐った人間だと知らしめてやりたくもなるかもと思うような仕事に健気な響生でした。
もっともただ健気では無くて、たとえ元友人でもヤクザ相手にやんちゃさを
覗かせるような強気ぶりは、可愛いとも思えるのです。
実家が極道でその跡継ぎでもある攻めの荒賀もそんな響生相手だから
バカみたいに社長を信頼し会社に命を懸けているような響生に執着し、
キチクな態度に出てしまう、一種の可愛さ余っての世界かも知れませんね。
でも鬼畜だと思った荒賀ですが、とんだ甘ちゃん鬼畜でしたね。
ブラック企業で命を削るように働く頑固で意固地でブラック企業の社長に心酔して
洗脳状態になっている相手の目を覚まさせる為に徹底して響生の会社をつぶしにかかる。
自社の社長をとことん信用している響生に読みながら呆れてしまうのです。
そして、社長が最低のヤツだと教えたくても、頑なにヤクザは悪だと思い込んでいる
響生の頑固さも、人間は汗水たらして働いて~の母の教えの賜物なのですが、
ここまで来ると流石にもっと冷静に物事判断しましょうよと言いたくなる響生です。
逆にヤクザだけれど、相手に知られないように尽くしている荒賀の方が健気過ぎて
ギャップを感じる内容でもありましたね。
再会もので誤解と擦れ違い、バカが付くほど生真面目だから洗脳状態で利用される。
そんな相手を手に入れる為にはかなり強引にいかないとダメだと言う話です。