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人気能楽師×能面師見習いの淫靡な取引
hishite hana saku
新刊チェックで粗筋を読み、「能面師」という初めて目にする職業に非常に興味を持ち、
特典が付くということで、いつもの書店で予約して購入しました。
受けの聖くんは、能面に対する思いが強く、面打ちに対して真剣な姿勢に、
また、恋愛のの噂の絶えない攻めの桑折さんに対する想いを自覚してからは、
自分の想いを必死に抑えようとする姿に好感を持ちました。
桑折さんとの体の関係は、交換条件だと思っていたりするなど、
少し天然の入ったところに微笑ましく感じ、好感を持ちました。
ただ、能面に対する熱い思いは十分に伝わってきましたが、
実際に面打ちしているところの描写が無かったので、
それが少し残念に思いました。
聖くんが実際に面打ちしているところを見てみたかったです。
攻めの桑折さんは、第一印象が悪かったです。
今回は受け視点で物語が展開するので、
どうしても受けと同じ印象を持ってしまいますが、
立場の違いを盾に交換条件を出して、強引に関係を結んだと思って、
桑折さんのことは好きになれないのではないかと思っていました。
しかし、桑折さんの能楽に対する原点や熱い思い、
古くても良いものは残して現代の新しいものを取り入れて
融合させながら常に変化のある生きた能楽を創りたいという展望など、
桑折さんを知るたびに好感を持ちました。
また、桑折さんの名字が初めて登場した時、とても珍しい名字だなと思いました。
それにしても、能楽とロック音楽を融合するというのは、とても斬新だと思いました。
作中では実現されていましたが、現実の世界でも実現すると良いなと思いました。
昔から能楽には興味がありますが、観に行く機会がなかなか無く、
実際に実現されたら、とても興味深く、ぜひ観に行きたいと思いました。
このようなアイディアを思いついた先生に感服しました。
あとがきで先生が女性の面打ち師さんにお話を伺ったということが書かれていますが、
その面打ち師さんが23年も修行していて、それでもまだヒヨッコだと言っていたそうで、
そのことに驚き、面打ち師という職業をもっと知りたいと思いました。
今回の評価は、あまり迷うことなく「萌×2」です。
物語の内容や展開、人物設定は「萌」評価で、
挿絵は「萌×2」評価です。
能面師という職業を主人公に取り上げている作品は
恐らく初めてではないかと思いました。
普段、注目されない特殊な職業を取り上げるという点では、能面師の設定、
また、能楽とロック音楽の融合というアイディアは「神」評価です。
しかし、せっかく素晴らしい設定も、能面師の仕事ぶりの描写が
殆ど無かったため、それが少し残念に思いました。
今回は作品自体は「萌」評価ですが、作品を通して、
能面にも奥深さがあることを実感し、
能面師という職業が広く認識されると良いなと思い、
能面師を扱う作品が増えてほしいという願いを込めて
最終的に評価を一つ上げました。
日本の伝統芸「能」の世界のお話ですが、
敷居が高いことは何もなく
描かれていることはとてもシンプル。
能楽師と面打ち師。
二人がそれぞれの芸事に打ち込む互いの姿に惚れ込み
両想い状態になるが、ちょっとした誤解ですれ違う。
傲慢だが優しい大人×真面目な美人
という組み合わせなど、オーソドックスな感じが良かった。
能の舞台シーンもなかなか艶っぽい魅力がありました。
主人公は、駆け出しの面打ち師・聖(25)。
ある日、若手人気能楽師・禎臣から
新作面を打って欲しいという千載一遇の依頼を受ける。
しかし、ディナーに誘われホテルのバーで飲んだ後、
目覚めたらベッドの上で。
「いいだろ?」と肉体関係を誘われたことで、
面の依頼は、身体との交換条件だったのだと悟り…。
聖(受)は、職人の常かどちらかと言えば無口な美人。
この依頼を逃すわけにはいかない…と身体関係を受け入れるのはオイオイって思いましたがw、厳しい世界で突如与えられたチャンスを絶対モノにしてやる!という強い意志の表れだと思えば、まぁ納得もできます。
そんな野心や、
禎臣を惚れさせるほどの面打ち師としての仕事ぶりなど
大人しいだけではないアグレッシブさが魅力かと思います。
禎臣(攻)は、
イケメンで恋多き男なので
ウブな聖に対してはやや傲慢にも思える態度なのですが
聖の仕事に対する理解や、
幼少から打ち込んできた能へのストイックな姿勢など
基本的には懐の深い優しい人物です。
でも。
会って間もない相手に「いいだろ?」はどうかなーー?
モテ男にあるまじき無粋さだと思うのですが…w
まあ聖も何も言わなかったから、誤解しても仕方ないのか?
見かけによらず思い込みが激しいというか、
ちょっと抜けたところが可愛いとも言えるかもv
キャラに対してすごく萌え!ってことは無かったのですが
二人とも基本的に落ち着いた大人で
恋人になってからの話【まことの花】の分量も多めで(約50ページ!)、ラブラブ後日談スキーとしては嬉しかったですv
伝統芸能と伝統職人技との共演と言うお話でしょうか。
能楽師と面打ち師との勘違いと誤解から始まる受けにしたら切ない恋、
攻めにしたら嬉しくて舞い上がる恋が同時に始まったようなものです。
能楽師として若手で人気も実力もある禎臣は能楽師でありながらもメディアでの
露出度が高く、プライベートな恋愛でも浮き名を流す有名人。
そんな禎臣にたまたま師匠について行った能楽の稽古場で聖は突然声をかけられ、
聖が打った面を見たいと言われ、そこから禎臣主催の若手だけの能楽舞台に
新しく聖に面を作って欲しいと、駆け出しの面打ち師としてはチャンスをもらう。
二人で面の打ち合わせをした時に禎臣にベットに誘われ、聖はそれが面を作らせて
もらえる条件なのだと屈辱を受け入れて抱かれる。
噂どうりの遊びで誰かまわず寝る人なのだと思いながらも能に対する真摯で
勤勉に情熱を持って向かう姿や、聖が面を打つ戸惑いや迷いを受け止め、
聖のために時間を作って参考になる面を見せてくれたりと次第に惹かれていく。
禎臣のために作った面が出来上がり、その面を付けた禎臣の圧倒する技量や熱に
隣にいることすら身の程知らずだとネガティブに感じ相手が禎臣に抱いた恋心を
諦めようと禎臣との約束を無視した形で逃げてしまう。
才能と才能が相愛になる話ですが、聖の噂話を本気にしていたことで、
端から自分が単なる遊び相手だと思い込んだための勘違い一人切なさみたいです。
始めは禎臣の一目惚れと片思いかも知れないですが、禎臣の本質を見たときに
聖は惚れてしまうので、早い段階で相愛ものなのに、聖本人が気がつかないという
お気の毒な勘違いものです。
それでも何があろうと禎臣簡単に諦める気持ちではないと思っているからこそ、
ハッピーエンドの展開になる甘いお話でした。
作者さんの初単行本。
能楽師と面打ちの伝統芸能を舞台にしたその小説は、大変にシンプルで解りやすくなおかつ丁寧な作品という印象を与えました。
能面に魅せられて弟子入りして七年、師匠について能の稽古場で聖が出会ったのは、イケメンで次々と相手を変えるという節操のない噂もある人気若手能楽師の桑折。
彼に声をかけられ提案されたのは、彼ら若手が計画している舞台で使用する面の作成。
打ち合わせの後飲んだ席で記憶が飛び、気が付くと桑折にホテルの部屋で身体を触られていた。
きっと面を打たせる代わりの身体の代償なのだと思い込んだ聖は、桑折に不本意に思いながら彼に抱かれるのです。
この聖の思い込みが最初でわかってしまうのがちょっと残念でもあるのですが、
浮いた噂ばかりの桑折の、能にかける熱い情熱はどうして?と聖が想うよりダイレクトに彼の心を動かして、良い仕事に繋がります。
聖が他の楽士にも言われていましたが美人であるとかタイプだとか、そういったのもある伏線だったのかな?と。
しかし、やはりそんな外見だけではないそれに自分の仕事への熱い情熱が何かをよびさまさないと気持ちは動くはずはないという、まっとうで前向きな流れは、伝統芸能にふさわしい設定だったと思います。
ひょっとして、と古典芸能だけにドロドロした何かを期待した身にはちょっと意外ではあったのですが、却ってそれが新鮮でした。
桑折のキャラクターにギャップというのをさほど感じませんでしたが、彼の強気な態度が一度聖と寝てから強引ながらもワンコ風味をかもし、とてもかいがいしく聖にあたってくるのは、何だか微笑ましかったです(好意ダダもれだよね♪)
なのに、最初の思い込みがあるから聖は気が付かないという、ちょっとニブチンさん(仕方ないかw)
同時掲載の後日談【まことの花】
もちろんラブラブですが、聖の仕事を認めて桑折の叔父である大家にも仕事を依頼されるという希望ある未来が更に確実になるであろう話しの影に、メロメロな桑折の姿があって、ぞっこんなんだな、って再確認です☆
平凡といってしまうと味がない言い方ですが、正統派なお話は好感度もあります。
次作がどんな作品なのか、それによってこの作者さんの力が更にみえてくるのかと思います。期待したいですねv