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climbdown
萌と萌x2で迷ったんだけど…
というのは、途中で結末が見えちゃう。
見えても構わない作品ももちろんあるけど、この作品の場合は多少のミステリー要素もあると思うので、本当に翻弄するような、最後まで迷うような、そんな感じがもっと強い方がより面白かったかな、と感じました。
「最後まで迷う」と書いたのは、この物語の攻めが「性格が正反対の瓜二つの双子」だから。
そんな2人の間で、静かで優しい受けが悩み、揺れる姿に萌えを感じるわけですが、本作は双子が受けを「取り合う」話ではないのです。
受けの弦(ゆずる)の恋人は、ひとつ年下の大手商社勤務の小田切恭一。
華やかでそれでいて親しげに見える彼の本性は、とんでもない「暴君」。
でも傷ついている弦も、裕福だが冷たい家庭で愛に飢えて育ち、恭一の強引さを一種の愛と感じて「恭一しかいない」という感情に囚われて別れられない。
一方、恭一には性格が正反対の双子の弟・一哉がいて、弦は優しい一哉なら…と心では感じている。
そんな緊張関係の中、恭一と一哉が登山に行き、遭難。…そして片方が亡くなり…
という展開。
どちらが還ってきたのか?弦との関係は?という部分はかなりすぐにわかってしまいます。
私はこの物語はもっとハッピーな結末でも良かったのでは?と感じるのですが、どうもトーンが薄暗い。
(以下ネタバレ強めで)
一哉が恭一として戻ってきて、確かに誠実な一哉は良心の呵責で…という気持ちはわかります。
でも結局弦と思いも通じて障壁も無い。喫茶店店主として弦と結ばれてやっていけるはずなのに。
なんでこのラストは心中すら匂わせるような暗さなんだろうか。
「堕ちていく恋」
一哉視点の17才の時のエピソード。
兄・恭一の恋人である弦に惹かれている一哉は、恭一にデートをすっぽかされている弦の元に恭一の振りをして会いに行く。
切なくも楽しい擬似デート。でも弦にはとっくに一哉とばれていて。
優しい弦にますます惹かれる一哉。そして、もしも恭一に何かあったら…恭一と自分の区別がつかなくても弦を愛したい…そう予感し、夢想する。
一哉も得られない愛情に長年執着していた、というオチといっていいのかな、でも子供の頃から恭一に虐げられても「復讐」という話にはならず切ないストーリーになっているところは好きです。
主人公二人にしたらラストは幸せな展開なのかも知れないが読み手の多くは
これはハッピー展開ではないだろうと思う話でしたね。
双子の兄恭一と弟一哉、それに恭一の恋人である弦との三角関係未満の内容もあり、
全体的にはシリアスで暗く、読み終わった後は何とも言えない蟠りが心に残る。
それでも、最近病みBLが流行っているようなので、それ系が好きな人には
どっぷりハマって病み具合が堪らないと思える話なのかも知れないが私はダメダメ。
ハッピーエンドにこだわっていなくても、登場人物が皆心に闇を抱えているような
内容はなかなか好きになれませんね。
そもそものカップル恭一と弦、この二人の関係がそもそもDV系みたいだし、
弦の実父との関係が弦の心に深く闇を作り、人に従う依存する、力に抑え込まれることを
拒みながらも隷属してしまう。
恭一はエリートだけど、世渡り上手だけど、性格が実は破たんしている感じで、
外面が良くなければ完璧パーソナリティ障害なんじゃと思えるくらい酷い感じです。
そして、双子の弟の一哉も、そんな兄にコンプレックスを子供の時から抱えてるし、
さらに恭一の恋人である弦に長い間片思いしていて、双子揃って山で遭難したとき
弦への執着めいた思いが偽りの生存者になってしまうという悲しい流れです。
恋愛云々の前に主役たちの育ってきた家庭環境が大きく作用されているような話で
メンタルクリニックのカウンセラーであるはずの弦が、患者で恋人だった相手の
心をひらく事も癒す事も出来なかったのも切ないです。
そして極め付けが、たとえ双子でも恋人なら抱き合えば直ぐに解りそうなものなのに
全然わからないって言うのは不自然な気がして、ひょっとして双子はエロまで
同じ段取りだったり・・・なんてバカなことまで考えてしまいました。
個人的には双子萌えも感じないし、執着的な要素でも萌えを探せない作品でした。
登山中の事故で、双子のうち一人が生還するというミステリ風の話。
といっても「死んだのはどっち?」はそんな重要なテーマではなく、
身近な人の死をきっかけに明らかになる、
生きている人間の意外な心の闇に焦点が当てられた作品でした。
メンタルクリニックのカウンセラーをする弦は
一つ年下の商社マン・恭一と学生時代から付き合っている。
傲慢で身勝手で、結婚しても弦との関係を続けるつもりの恭一。
苦しみ疲れた弦は、恭一の双子の弟で、寡黙で優しい一哉に惹かれている。
ある日、登山に出かけた兄弟は悪天候のため遭難してしまう。
二人の無事を願う恭一だが、生還したのはたった一人で…。
【※以下ネタバレ※】
↓
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戻ってきたのは恭一の方で、一哉は怪我で亡くなったという。
罪悪感とPTSDに苦しむ恭一は、人が変わったように優しくなる。
弦は、兄弟が戻ったら恭一と別れ一哉へ想いを告げるつもりだったが
優しい恭一に惹かれ、そのまま関係を続けます。
本当に生き残ったのは…というのは予想がつくオチですが、
弦が真実に気付くきっかけとなる一哉の日記は、
恭一へのコンプレックスと心の闇全開で、なかなか迫力あります。
外面がよく誰からも好かれる恭一は事故で死に、
無口で誰からも必要とされない自分だけが生き残ってしまった。
恭一のフリをしてでも、弦に愛されたい――
子どものころ愛されなかったトラウマと、弦への歪んだ執着心が
”自分を殺す”という異常かつ哀しい選択に一哉を導いたのでした。
弦も、一哉と同じく孤独で歪んでいます。
父によるDVの影響で暴力や支配=愛情と刷り込まれており
自分で考えず他人から支配されることを望む依存体質です。
しかし、優しくなった恭一(=一哉)との時間は心地よく、
一哉が死んだ恭一のフリをしていたと知ったことで
恭一ではなく一哉を好きだと自覚し、自分の意志で一哉を求めます。
晴れて結ばれる二人ですが、果たしてハピエンなのか…?
弦は、仕事も捨て、一哉に閉じ込められることを受け入れます。
結局、他人の支配を望む依存体質が抜けていないのではないか。
本当に欲しかったのは穏やかな愛情ではなく、より強い支配だったように思えます。
その願望は、生還した恭一(一哉)との行為や、一哉とのラストの絡みで
嬲られることを強く望む姿からも窺えます。
トラウマを乗り越え前進するのではなく、依存し合いひたすら堕ちていきそうなラストは
個人的には幸せに思えませんが、根深いトラウマ持ち同士の結末としては納得できるし、ダークな方向性自体は好みでした(なにも失踪しなくても…とは思いましたがw)。