ホン書き旅館で恋をしよう

honkaki ryokan de koi wo shiyou

ホン書き旅館で恋をしよう
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神0
  • 萌×20
  • 萌2
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
2
得点
6
評価数
2
平均
3 / 5
神率
0%
著者
如月静 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
宝井さき 
媒体
小説
出版社
大誠社
レーベル
LiLik文庫
発売日
価格
¥581(税抜)  
ISBN
9784865180022

あらすじ

ホン書き旅館「若水」で働く勇人。理想と現実の狭間で悩み多き毎日を送っていたが、憧れの人、相馬が宿泊客としてやってきて……?

表題作ホン書き旅館で恋をしよう

30歳,人気俳優
18歳,ホン書き旅館「若水」の従業員

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数2

ラブはちょっと薄いです

誠実で丁寧な作風が好きな作家さんですが、やっと発売になりました!
今作品も実に丁寧で、どちらかというと青年の成長物語であり、舞台となる旅館の物語でもあるという、そちら方面が前面出しになっていましたので、恋愛的萌えという面はちょっと薄め。
しかし読み終わった後の読後感は爽やかで気持ちがよいものでした。

祖母が女将をしている「ホン書き旅館・若水」が大好きで、高校を卒業後親の反対を押し切って2年という期限付きで若水で働いている主人公・勇人。
常連の映画監督から使い物を頼まれ、ファンである俳優が出演のドラマ撮影現場に行ったのがきっかけで、ドラマスタッフはじめその俳優・相馬が若水にやってきて、撮影の間中人は入れ替わるけど常泊するようになり、それまで閑古鳥だった旅館がにわかに忙しくなる。
そうしたスタッフとの触れ合い、相馬との接近を通して恋と、何より旅館の存続に関わる家族の反対の問題の解決や勇人の新たな決意が固まる様子が描かれていきます。

ホン書き旅館…作家さんなどが泊りこんでいわゆる缶詰とかになったりする旅館ですね。
部屋数も大変に少なく、今ではそんな客も減って経営的には大変そうです。
でも勇人は、小さい頃の宿泊客との楽しい思い出があって、そんな触れ合いのあるこの旅館をなんとしても存続させたいと考えているのです。
母親は女将を継ぐ気は全くなく、父親は猛反対。
でも彼等も勇人の将来を思って、そして祖母の事をおもってのことなのです。

勇人がファンの俳優・相馬は30歳。
実を言うと彼が勇人と絡むシーンは恋愛を描く本としてはかなり少ないです。
一体どうやって、恋の部分を進展させるの?と思うほどに。
勇人の真っ直ぐで頑張り屋の場面が沢山出てきます。
そんな姿と素直な言葉がスタッフも他の俳優ももちろん、相馬を引きつけたということでしょう。
勇人の特別感は相馬一人だけのものではないが、勇人が相馬のファンだったのと実物を見て話してもっと好きになるということで、特別が進展するというかなり攻めの存在感が薄い恋愛構成。
なので、相馬と勇人の関係って確固たる「恋人」という印象はちょっと薄いのですよね。
話しのラストシーンも、初エッチでラブラブで終わるどころか、勇人が旅館をもっと盛り立てて行く未来を描く様子で終わってますので、恋愛要素は青年の成長物語の一部分でしかないような気がしてしまう元でもありました。

でも、こうした青年の生き方の中の一部分に恋があるという話展開もたまには悪くないと思うのです。

3

様々な思いやりを感じます

BL的にはラブ要素が控えめで、読み始めは受けになる勇人と誰が相手役になるのか
解らなかったくらいにあからさまな展開では無かったですね。
タイトルにもなっているホン書き旅館、今では当たり前のようにPCで原稿や脚本を
書いている時代ですが、原稿用紙に直筆で書きこむ事が当たり前の時代には
低価格で長逗留出来る様な旅館が多かったかも知れないとノスタルジーを感じながら
読み始めた作品は、ホン書きとはちょっとかけ離れた様子。

昔なじみの客に祖母で女将のいなりずしをTV局に差し入れしたいと連絡が入り、
勇人はそれが大人気な映画になり連ドラになった作品の関係者へだと知り
初めて生で芸能人に会えたことで興奮するのですが、その中でも人気俳優の
相馬がTVで見るより気さくで優しげでますますファンになってしまう。

差し入れの時にさり気なく旅館の宣伝をして帰って来た勇人だが、
そのうちお世話になるかもと言う言葉に期待しながらも社交辞令だと思っていて、
それが現実のものとなり、その日からそのドラマスタッフが日に何人も泊まって
貸し切り状態にしてくれる。

実は勇人は両親の反対を押し切って祖母の旅館で働きいずれは跡を継ぎたいと思い
修業中で、小さな旅館で何日も客が来ない日が続いていて、将来の仕事にするには
先が見えないと特に父親に反対されていて、旅館を辞めて欲しいと父親は望んでいる。
これも、親を思う息子の優しさ、子を思う親の不器用な接し方なのですが、
まだ子供の勇人には伝わらない思いやりなんですよね。

この作品はホン書き旅館を中心に勇人の家族や連ドラの俳優やスタッフとの話で
恋愛だけに留まらない話が沢山詰め込まれているみたいでした。
そして主人公である勇人の心の成長を描いているところもあり、人とのふれあいで
思いやりが滲み出ているようなラストでほのぼのした愛を感じました。

2

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