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お前を喰っていいのは、俺だけだ
youma na oresama to shimobe na boku
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
せめて毎年1冊ペースで読みたいと思っているロングランシリーズの9作目、
8作目から2年弱、忘れた頃に続巻が出るので前作を読み返したくなるのです。
前作でも陽炎と一戦して、司野と正路は司野の千年前の主であった辰冬さんの
龍笛に助けられ難を逃れ、陽炎の本当の主の命日に決戦が起きると心に刻む展開でした。
今回はそんな命日を1か月後に控えた時期で、正路が夏風邪でダウンして
司野が正路を連れて山間の宿で避暑をするところから始まります。
妖魔で人間の気持ちなど解らないであろう司野がこの千年の間で辰冬さんや
正路と言う人間と共にいることで妖魔には感じられない気持ちが生まれている、
それをまさに実感できる新刊になっていたように思います。
愛だの恋だのは理解出来なくても、正路への執着は相変わらずで下僕といいながらも
不器用すぎると言うか、弱さや甘さを見せない態度のせいで、正路は自分の不甲斐なさを
夏風邪で体力的にダウンしていることで余計お荷物になっていると落ち込むのです。
そんな風に感じていた時に、神器が盗まれたニュースを見て、陽炎となにか関係が
あるのではと気がつき、そして命日に使う為に陽炎が持ち出したと確信。
神器が陽炎の手にあることで、ただでさえ陽炎と司野の力の差があるのに
これでは太刀打ちできないところまで追い詰められた二人。
しかし、司野が取った行動は正路を切り捨て一人で行き先も告げず行動すること。
その結果正路は切り捨てられたと思い込み、それでも主で心の底から好きな相手に
会いたい一心で模索する。
不器用な妖魔の精一杯の下僕への思いやりなのですが、正路には伝わらない。
そして今回もキーパーソンのように辰冬さんが正路の前に現れ道を示してくれる。
妖魔でありながら、その妖魔の本能を抑え理知、理性的で人間の心を理解出来た時、
正路の思いを受け、そして己の思いを正しく見極めた時に正路と共に陽炎に打ち勝つ
そんな展開を期待しつつ続編を再び待ちたい。