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kimi kou
作家さんの新作発表
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異世界に飛ばされた高校生の千里と昴燿帝との執着じみた鬼ごっこも
次第にクライマックスに近づいてきたと感じる今作。
帝と共に現代に戻って来た千里、相変わらずの意固地なくらい意地っ張り。
それも、異世界に飛ばされるまでは苛められっこだった事がかなり尾を引いている
そんな風に思えるのですが、現代に戻った千里を待っていたのは、
蔵の中で異世界に飛ばされてから時間が進んでいない現代でした。
帝と共に帰って来てしまったことで、少しパニック気味の千里ですが、
怪訝していた方向とはかけ離れた事態にびっくりと安堵が入り混じる。
祖母は帝がいることを不思議がるでもなく、受け止めているのですが、
それが、この作品の謎めいた部分の答えに繋がっているのかもと思えます。
もしかしたら、祖母もまた過去に異世界へ旅立ったことがあるのかもと想像が尽きない。
そして千里の現代でのトラブルの元であろう、いじめっ子の同級生も参戦。
これは、子様特有の好きだから苛めるパターンの王道少年。
思春期でもあり、大人と子供の中間みたいに相手が同性だからとか、
素直に気持ちを表す事が出来なかった事が同級生と帝の完全なる違い。
この長きに渡る鬼ごっこも、千里が現代でのトラブルにケリを付け、
自身の心を冷静に見つめ素直になることで帝との関係をあらためて考えながら
最後は成長した千里の姿を見る事が出来る様な展開になればいいと思いながら
次回作を楽しみに待っていたいと思う作品でした。
祖母の家の倉の長持ちの中に落ちて平安のような時代へタイムスリップし、帝の后にされてしまった高校生のお話も、いよいよクライマックス。
あと1冊を残し最後になります。
現代へ戻る術がわかり池に飛び込んだ時、一緒に帝も戻ってきてしまったのです。
帝のいる世と違い文明のあるこの世で、ひょっとして展開的には、俺様な帝が千里の立場に立った事で彼の気持ちを知り近づいていくのかな?
なんて予想は見事にはずれてしまいました!
帝はやはり帝。
どんなにこの天界と呼ぶ現代が便利であろうと、自分の住む世、統べるべき勤めのある世が彼にとっては帰る場所なのです。
そしてそれに千里は側にいてほしい存在。
揺るぎがありません。
せっかく現代に戻ってきたのに、千里は帝の世に居た時とあまり変わりません。
不安定でおどおどして、自信がない態度のまま。
あの世ですでに1カ月は過ごしたはずなのに、現代に戻っても時間は数時間しか経っておらず、しかも祖母は帝を見ても「ようこそ」と歓迎し驚きもしない。
ただ、目が悪かったはずの千里はメガネなしで見えるようになっていました。
この時期は夏休み。
突然、千里を苛めていた、千里が苦手で顔も見たくない彼のせいで学校へ行きたくないとさえ思っていたトラウマの元凶・和泉が千里の家にやってきます。
帝は、和泉がどういう存在か察知して、和泉が眠っていないのをしっていてわざと千里を襲ってキスマークを付けたりけん制するのです。
和泉も千里もわかってないのです。
和泉が千里を好きで苛めていたということに。
祖母がどうやらキーパーソンのようです♪
彼女が言います。「千里は自分とむきあってない。逃げてばかりいる」
それは多分帝も感じていることでしょう。
読者的にもそれは明らかです。
帝の世界へ帰れるのか、ということより、多分次の最後では色々な謎が明らかになると共に千里が大きな成長を遂げて、はっきりと自己主張のできる強い男子に変われることを期待していたいと思います。
ちょっとキャラ萌えとかシチュ萌えとは遠いお話となってしまっていますが(自分的に)少年の成長物語部分を楽しみにしています。