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hatsukoi
主人公の若月崇史の働いている市立図書館の仕事の描写から、作者の大槻さんも司書資格があるか、図書館勤務の経験者ではないのかなと思いました。利用者の佐藤基が気になり、登録情報から住所を盗み見る場面がありますが、本来ならばやってはいけないことだと、きちんと書かれてました。フィクションでこのように指摘している例は珍しいです。
BLを読み始めたばかりの初心者や、選書の際の基礎知識としてBL小説を読んでおきたい図書館関係者にも、お勧めしたい本です。
淡くて優しい感じの恋物語でした。図書館で働くは崇史は真面目な公務員なのですが、誰かに恋をしたことがなく、初めて気になった人は図書館に熱心に通う男子高校生の基。
男だし高校生だしそんなわけない…と否定します。
図書館と利用者って、恋に至るのには結構素敵なシチュエーションだとは思うのですが、基がやはり子供だし、男だし、何故恋したのかの表現はちょっとさらりとし過ぎていてわかりにくい気もしました。
三編入っているのですが、最初の話は思いを伝えあうまで。
基の側に女の子がいるだけでもやもやしたり…と恋愛もののセオリーをふんでいるのですが、付き合うまでにそこまで大きな障害がなく、二人とも本好きな大人しくいい子な印象であんまりストーリーとしての抑揚がないなあと感じました。終わってしまって、物足りないというか…結構あっさりしていたなあと。
でもその分後半のお話がよかったです。
付き合ってみたものの、男同士の恋愛と、高校生の基の未来を潰してしまうかもしれないという恐怖から崇史の態度はおかしなものになっていきます。
このお話は28歳で初恋の、攻めの視点だからいいんだと思う。
難をいうと基が子供で真っすぐで恐れを知らないというか、ピュアすぎるというか…。
なので受けとして基側のお話もあったらよかったかもしれません。
後半の方が人間臭い悩みやドロドロした感情が伝わってきて、キャラに好感が持てました。
もとは投稿作品だったらしく、ソフトなお話だと思います。
BLを読みはじめたばかりの方や、あまり重くなく爽やかな恋愛が読みたい時にオススメしたい作品でした。