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tsuioku no ame
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
攻めのエルナンにとっても執着されて溺愛される内容ですが、それを受けるレインも
気がつけばエルナンに負けず劣らず執着溺愛していることが分かる激甘作品。
既刊「秘匿の花」のスピンオフ作で、世界観は同じ普通の人間としての生を終えた後
不老の種族バル・ナシュに変化するファンタジー。
ファンタジーですが、単に死んで甦る、能力的には普通の人間に暗示をかけたりする
能力はありますが、それ以外に特筆するべきいわゆる不思議ファンタジー感は薄い。
前作の方がファンタジー色は濃かった気がします。
今回は既にバル・ナシュに変化しているレインが主役で、そのレインが5歳から12歳まで
面倒を見ていたエルナンがバル・ナシュの兆しを見せて再会する話です。
レインの普通の人間時代はかなり重くて苦しい背景ですが、たった一つの希望で
心の拠り所だったのが小さかったエルナン。
エルナンを守り救うために命を落してバル・ナシュに変化したレイン。
そんな人間だった時の大事で特別な存在だったエルナンが同族になることで
喜びと戸惑い不安様々な思いが交錯するのです。
そしてエルナンと再会した時に大きく成長してフェロモンが出ている色男になった
かつての養い子を見て、過去の出来事から男に言い寄られたり傍に寄られるだけでも
嫌悪対象になったのに何故か再会し、出会いがしらに熱い抱擁とキスをされても
拒む事も嫌悪も湧かない、それが全てのような内容です。
エルナンはレインが死んでからもレインを忘れず探しても見つからなかった亡骸を
求めて警官になるほど執着していて、それが再び生きて再会出来た事で
会えなかった15年間を埋めるように愛を告白しながら片時もそばを離れないワンコ化。
レインは過去の自分が汚れていて嫌悪していた事や、性的な事を恐れていて、
エルナンが特別だと思ってもそれは養い子だったからと思い込もうとする。
恋もした事が無かったレインはある意味無垢で天然さんでもありました。
エルナンの求愛に応えてからはどっちもどっちだと思えるような執着溺愛コンビです。
『秘匿の花』の続編というかスピンオフですね。
前作の約30年後で、こちらのメインキャラクターは前作にはまったく出て来ませんので単独でも大丈夫、と言えばまあそうですが、基本設定がちょっと特殊なのでいきなりこちらだけ読むと何が何だかかもしれません。
ただ、こう言ってしまっては何ですが、別にバル・ナシュがどうのこうのという『特殊設定』抜きでも(あえて無視しても)、ラブやストーリーにはたいして支障ない気もする。『いったん死んで、不老他何かと特性のある(という程度の理解でいいんじゃないかと・・・)新種族に生まれ変わる』というのだけ頭に置いておいたらOKってくらいで。
まあ、前作よりはまだしも設定の意味はあると感じましたが。
う~ん、キャラクターがあまり好みじゃないんですよ。
レイン(受)の過去がかなり重くて痛々しいんですが、この作品のトーンにそこまでのものはいらなかったなあ。
過去そのものがストーリー展開上無意味だとは思いませんが、何度もしつこく繰り返されるのがね~。
いっそのこと、レインの『自分の過去に関する自虐』からくる切なさをメインに据えて描くなら、同じ表現でも感じ方はまた違ったとは思います(そうして欲しかったというわけではない)。
でも、ストーリー全般としては結局のところ『切なさ』より『ベタ甘』が前面に出てるから、なんか噛み合わないような気がしたんですよね。
エルナン(攻)は、個人的にはちょっと苦手なタイプなんですが、ギリギリ踏みとどまって病んでる執着まで行ってない(いや、やっぱり行ってるか!?)ので何とか・・・
でも、過去のホントに少年の頃ならともかく、26歳の男にしては幼過ぎな気はしました。
正直、脇で出てる前作CP(カイル×英里)のほうがまだよかったな。
前作は作品としては(ハッキリ言って)好みじゃなかったんだけど、キャラクターのタイプだけなら。←それに、あくまでも脇だからサラ~っと流せるからかもしれない。
それでも、前作が今一つ(以下)だったので、もう読まなくていいかなとも思ったんですが、きたざわさん作家買いなので結局は読みました。
結果、思ったほどは悪くなかったんですが、まったく期待してなかったというのは大きいと思う。こちら単体で再読したいとは思いません。
しかし、きたざわさん最近どうしたんですか!?と言いたくなるくらい、立て続けに『ファンタジー(風味)』の作品ばっかりですね。
イヤ、もともとそういう系統も多い作家さんではあるんですが、それにしても続き過ぎじゃないの?
本来、私は『ファンタジーBL 』自体は大好きなんですが、失礼ながらきたざわさんはあくまでも『なんちゃって・風味』程度のほうがいいんじゃないかな~と思いながら読んでました。←『本格ファンタジー』というには物足りないわりに、ヘンに設定が大仰だから余計にアンバランスに感じたんですよ。ゴメンナサイ。
あとは、前作に引き続きですが、イラストが苦手で読むのが苦痛でした。
不老の種族パル・ナシュという設定の元の2作目だそうです。
前作『秘匿の花』の主人公カイルと英里も登場しますが、前作に全く登場していない登場人物の話しですと、後書きにかいてありました。
再会と執着愛、過去のこだわりがこの話の総てのようで、自分にとって3度ほど読みかえしてみてもどうしても”ヤマなし、オチなし”なストーリーに、色々拾えばアレコレありそうなのに、徹底的に主人公二人の関係だけをクローズアップして描かれているような感じだったので、ひゅるるるる~と尻すぼみに、え?これだけ。。。と、何を堪能すればいいのか分からなかったのが、作品に対する敗因でした。
エル・ナシュという種族については、一度死ぬと身体の細胞が生まれ変わって(?)その年齢のまま500年近く生きる身体になるとか、その種族は皆美形で男しかいないとか、
生まれ変わる時に、同じ種族のサポートがあって過去を上手い具合に再生に向けて段取りをしてその人に関わる周囲に暗示をかけて、その存在を上手く消すとか、
話しの中に解説が盛り込まれています。
今回の主人公は、種族の集まる島にいるレインという男と、彼が過去一緒に暮らして大事にしていた養い子のエルナンです。
レインに届いた晴天の霹靂のような連絡は、そのエルナンがパル・ナシュになるという事。
かくして、再会したエルナンはレインがいなくなってからずっと探し続けていたと激しい執着を見せ、レインに親しくする周囲を威嚇します。
レインもエルナンを昔可愛がって大事に思い、守ってきた事もあり、彼を慕う気持ちはあるようなのですが、自分が過去、売られて薬を盛られて玩具にされて淫乱だったということにこだわりがあって、セックスに対して恐怖を抱いているのと、自分が汚いという引け目があってエルナンに応えることができない。
しかし、エルナンの情熱によって彼を受け入れることが出来てめでたく伴侶となるという話だとは思うのだが・・・
エルナンが激しい執着をレインに示すことが、このパル・ナシュの種族では異端で危険とか?
エルナンの前職が連邦捜査官だったとか、
後半で、レインの姪と思われる女優が出現してレインが死んだ事件が掘り返されたとか、
要素としては、何か波瀾をもたらしそうなものがムクムクとわき上がっては霧散してしまうのです。
種族の新人類(?)とか異端であるなら、それを。
連邦捜査官という職業からエルナンの死について何か捜査が入って危機に陥るとか
レインの姪の話しがでるようであったら、彼が生きていたことがバレてしまったとか
そういうモノを使って、もう少し恋愛面を盛り上げることもできたのにとそれが残念で仕方ないのです。
それらの出来事は全て彼等の事情の解説でしかなかったという点が。
恋愛もただレインが引け目を感じているだけのもので、こだわりがセックスに関するトラウマと卑下だけ。
キャラクターの魅力もハテナなら、恋愛もハテナで、設定も生かされてなくて。
残念でした。