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ryuuhou no kangan
長い間、待ち望んでいた歴史とBL要素の一致、私の心のなかの的、そのど真ん中を射当ててしまった作品です。Amazonのただごとならぬレビューに引き寄せられて買って、一章を読み終えてすぐ「あぁ私が望んでいた場所にたどり着いた」そう思いました。
時代は前漢。高名な項羽と劉邦の戦い、煮えたぎった男達のドラマが終わった長安が舞台です。
劉邦、夏侯嬰、張良、そして女傑呂雉。たそがれの英雄達のかたわらで静かに育まれる通貞と呼ばれる、美少女と見まがうような美少年宦官小青胡・張釈の恋。
二人の蜜月時代がありし日の華やかな宮殿の様子とともに本当に夢のように描かれていて、そこばかり見返してしまうこともあります。
でも、時代の流れは否応なく彼等のささやかな恋心を押し流し、小青胡は二代目皇帝恵帝のもとへ、そして張釈はその母呂雉のもとに。
この立場の違いがじょじょに二人のなかを引き裂いていきます。金髪碧眼の小青胡が恵帝の健やかさに惹かれながら、どんどん悪に墜ちていく張釈にもまた気持ちを残すのが卑怯だなと思いつつも、でもよく分かったりして何だかとても切なかった。
終盤の有名な事件を典拠にした展開も、小青胡の見た夢も、そして誰もが鳥肌のたつであろうオチも、何もかもが素晴らしかった。読み終えたあと、ありとあらゆる感情が怒濤のように胸のうちに流れ込んできて、最後秦の滅んだあとの廃墟にポツンと残されたようなそんな気持ちになりました。
確かにBLなんだけど、でもそんな枠に収まりきらない。ただただ涙したいとき、この本を開いて欲しい。そんな作品です。
「宦官に美人が居ない」という説があるそうですが、それは間違いだと思う。
老化が早かったので、美しい時期が短かっただけと考えた方が良いと思う。
歴史の陰に居るのは、美しくて賢いコワイ人。
宦官は短命で老化が早かっただけで、美しい人はいた筈。傾国の麗人=宦官は、西洋にも居たらしいです。
https://rekijin.com/?p=20517 で著者の本の書評を読み、この本を見つけました。
面白かったです。
★小青胡と張釈
小青胡:漢方薬の名称で、今も残っています。
張釈:前漢の官僚。生没年不明。字は季。南陽の堵陽(しやよう)(河南省方城県)の人。
史記 樊 噲(ハンカイ)伝
武帝に人質として献上され、即座に去勢された楼蘭の王子についての記事が元。
★「なぜ闘う男は少年が好きなのか」に記述あり。
「劉邦に膝枕をしていた宦官。籍孺」
https://cakes.mu/posts/11466 / https://cakes.mu/series/3553 の https://cakes.mu/posts/11403 と https://cakes.mu/posts/11466
積む事数年、やっと読んだ…
読み応え超重量級でした。
内容は、今は老いたかつての宦官が、司馬遷が史記を編むのに際して自らの生い立ちから見たこと体験したことを語り尽くす…という体裁です。
いにしえの中国、かの有名な劉邦はすでに皇帝で栄華を極めている時代。
1人の少年・小青胡が貧困と借金から父を救うために自ら宦官に志願する…
と言っても10才にもならない子供ですよ。
その貧困の話とか、女官や年上の宦官に慰み者にされたりとか、非常に悲惨な境遇描写が続きます。
その過程で出会う同い年くらいの宦官・張釈との淡い淡い、でも切実な求め合い。
現実が酷いから、小さな子供が2人寄り添って夢を語るんです。
そして2人して劉邦の正夫人・太后に召し抱えられ、ひとときの安心な時間を得るんだけど…
劉邦と太后の間の子・恵帝に遣わされた小青胡と、そのまま太后に仕える張釈は結局後継者争いに巻き込まれて運命が変わってしまう…
大きく言えばそんな歴史物語なわけなんだけど。
非BLとはいえ、小青胡と張釈の念友関係、また恵帝に体の関係込みで仕える小青胡の姿はBLとしても十分読めます。
中国/宦官に興味のある方、1人の少年が辿る数奇な運命を垣間見たい方、夏休みに読んでみてはいかがでしょうか。