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組の若頭×奇人作曲家の危うい接点
yubisaki ga boku wo toriko ni suru
音楽クリエーター基とやくざの清瀬のお話です。虫取り網を手にしていた基の元に、基が全く知らない男、清瀬が現れ、清瀬はいきなり家捜ししていくのです。
清瀬は基の親友であるジャーナリストの桜庭が送った「鍵」を探しに来たのですが、基もそんなに簡単に鍵を渡すほどお人好しではありません。
基はしっかりしているより、だらしのない人のほうが好みなのだそうですが、清瀬は結構しっかりしていそうな感じがしました。しかも、体のことはとっても手慣れた様子でした。
親友の桜庭、基、そして清瀬は、かつて同じピアノ教室に通っていたそうですが、大人になって、人生の明暗がくっきり分かれたというのがちょっとだけ切なかったです。基が思っていた桜庭と周りが思っていた桜庭は違っていて、時の流れを強く感じたお話でした。
掴みどころがないような不思議系の受けが出てくる話でヤクザのトラブルに
巻き込まれ、子供の頃からの友人に騙されたように危険な目に合いながらも
やっぱり嫌えないなんて思うくらいピュアな心根を持ったまま大人になったような
基と同じく幼なじみと言うには縁が薄いけれど、ヤクザの若頭で子供の頃に
同じピアノ教室で一緒になったこともある清瀬との再会ものでもあります。
でもこの作品、かなり危ないことがあるのに熱量を感じさせない淡々とした
雰囲気があるんですよね。
そしてタイトルからも感じられるように、手フェチ気味な内容でもありますが、
やっぱりピアノを弾く人にとっては気になる場所なのでしょうと思うけれど、
今一そのフェチぶりも淡泊で、推理的な要素も含まれていたりと色々あるのに
全てが熱量が不足気味な印象の作品でした。
作曲家の主人公が、小学校以来の友人が送りつけてきた謎の荷物をめぐりヤクザの抗争に巻き込まれ、実は過去に面識のあるヤクザ若頭に強引なアプローチを受け…という話。
荷物の中身は、連弾用の楽譜と手紙と、どこかの倉庫の鍵。
基(作曲家)は、押しかけてきたヤクザには偽の鍵を渡し、ゲイで変わり者の自分にとって数少ない友人の桜庭の力になろうとする。
一方、清瀬(ヤクザ若頭)は、ジャーナリストの桜庭が知る下部組織の鷲見谷組組長を撃った人物と証拠を探している。
清瀬はなぜ基から鍵を強引に奪わないのか?というと
鍵や暗証番号がなくても施錠は可能だから。
どうやら目的は鍵ではなく、昔ピアノ教室で片思いしていた基を、下部組織の追っ手から守ることにあり…。
一連の騒動は、基の知らないところで動き、解決しており
清瀬や桜庭の手のひらで転がされ続けた主人公はちょっと不憫かも。
何も知らない主人公視点なため、事件の輪郭がボンヤリしたままの進行がややタルイ、最後のネタ晴らしもそう意外でもないため、サスペンスを期待すると少し肩透かしです。
基の性格もよくわからなくて、
変人かと思えば、ヤクザの清瀬の前ではイマイチ普通の人だし
桜庭のために動いていながら、清瀬にコロッと惚れてたり
ヤクザ相手に機転を効かす頭はあるのに、暗号には気付かない間抜けだったり
一体どういう人なのか???
基の元々のキャラが曖昧なせいか、
たぶんテーマであろう「基の内面の成長」にもピンときませんでした。
少し芸術家肌なだけで、”ハリネズミ”と言われるほど弱い人とも思えないので。
積極的に迫ってくる清瀬に惹かれた理由は、
手フェチで、潜在的Mで、セックスの相性抜群で、中学時代ピアノ教室に通っていた頃から当時小学生の清瀬の演奏に惹かれていて…と揃ってて納得はできますが、
友人や自分が危ない状況でヤクザにクラッときてる場合なのか?
この緊張感のなさがサスペンスとしての面白味を殺してるし、
主人公視点で共感しながら読むということも難しくさせている気がします。
再会した幼馴染との恋、ヤクザの抗争、主人公のゲイとして音楽家としての苦しみ…。
どのテーマもそれほど障害なくサラっと流れていくので、複数のテーマが不協和音になって化学反応を起こすでもなく「無音」という感じ。
んー…萌えもないが、趣味じゃないというほど強烈な印象も残らず…すみませんが中立とさせて頂きます;