落花流水の如く 諸行無常というけれど (2)

rakkaryuusi no gotoku

落花流水の如く 諸行無常というけれど (2)
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神4
  • 萌×21
  • 萌5
  • 中立2
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
3
得点
41
評価数
12
平均
3.6 / 5
神率
33.3%
著者
谷崎泉 

作家さんの新作発表
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イラスト
金ひかる 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
シリーズ
諸行無常というけれど
発売日
価格
¥590(税抜)  
ISBN
9784199007194

あらすじ

一ノ瀬の仇敵の登場で、三角関係勃発! 窓際外交官×旅行会社のトラブル処理係、世界をまたに駆けた人気シリーズ第二弾!

表題作落花流水の如く 諸行無常というけれど (2)

高校の同級生で外務省職員、33歳
PJT国際化欧米係長、33歳

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数3

朽木さんの災難は続くよ何処までも

人の言う事をてんで聞かない外務省職員の一ノ瀬に人探しを強要され、
あられもない姿を写真に撮られ脅迫されて、更には海外でトラブルに巻き込まれ
朽木が望まない関係に追い込まれていて、災難は続くよ何処までも~

それでも続編でもしかしてあのワインを飲みながら朽木さんにとっては災難のような
関係が改善され恋人になるかと思っていたら・・・そんな簡単にはもちろんいかない。
人の話をまったく聞かない究極のセレブ男の一ノ瀬は既に朽木と付き合っている、
そんな風に思い込んでいるし、独占欲と嫉妬も凄まじい。
高校時代に仲の良かった友人東、接点はそれだけだったのに執着されまくりで
ノンケでバツイチで、セレブとは無縁の朽木には男に言い寄られるだけで災難。

それに、何の因果なのか、会社の仕事で行く先に一ノ瀬もいたりと迷惑な縁がある。
さらにその仕事先で出向いたカリブには一ノ瀬が探す東もいて、訳の解らない三角関係。
そして1作目でも失敗したアルコールが今回も朽木の首を絞めることになります。
それと同時に一ノ瀬に対しての自身の知りたくなかった気持ちまで自覚。
一ノ瀬の今後の出世のことまで気になり出して、グルグル気味の朽木。
それでも、嫌だ嫌だと思いながらも今回は二人が一応くっ付きます。
タイトル通り気持ちが通じ合ったハッピーと言っていい内容でした。

2

災い転じて福となす

『諸行無常というけれど』の続編になります。
前作においての朽木と一之瀬との再会、そしてある国での内乱に巻き込まれてのストックホルム効果での身体の関係の成立。
帰ったら一緒にワインを飲もうと、まだはっきりと恋愛と呼ぶには不確実な関係のまま終わった前作の2か月後から始まります。

今回は、朽木に沸いた専務の娘とのお見合い話。
課長代理で会議に出かけたカルディラという国で、投資詐欺で指名手配されている高校時代の親友だった(前作でもキーマンとなる)東との再会。
偶然にも一之瀬も職務でこの国に来ており、東と朽木があっているのを見てみせる激しい嫉妬。
朽木も東から口説かれたり、一之瀬が女性とキスしているところを目撃したりして、かなり心がゆさぶられる展開。
気持ちの揺らぎと嫉妬とすれ違いから、やっと「恋人?」かもしれない関係へ発展するお話。

朽木が割と淡々とした人で、ほんとうは動揺したりショックを受けたり、感情を乱される事があっても発散したり、一人であたふたするわけではないので、かなり冷静な感じをうけますが、
ところがどっこい、かなり悩んでますw
東に再会しても、親友だった頃の記憶が邪魔をして本当に犯罪者なのか?と彼に確認するほど。
東に口説かれて、キスをされて不快感を覚える時点で明らかに一之瀬と違うとわかっているのに決断できないのは、どうやら一之瀬に原因があるような気がします(笑)
確かに一之瀬は朽木に執着を見せ、激情から押し倒してしまったり、キスしてしまったりはするのですが、「付き合ってくれ」とは言っても「好き」って言ってないんですよ。
結構コレ肝心だと思うんだなぁ~
朽木は元来がノンケの人だから、身体で流されてしまって迷いが浮かぶと思うのですよ。
確かに一之瀬にされることは嫌じゃないけど、きっと「好き」という感情はくみ取ってはいるとは思うのだけど、言葉で言われるとそうでないのとではやっぱり違うと思うんだよな~
東はちゃんと朽木に好きって言ってるんですよ。
本当に一之瀬、自分で独占欲が強いとか執着を散々見せるわりに、言葉にしてやらない傲慢な奴・・・って思っちゃうw
でも、このエンドを見るかぎり、それでいいのかな?

甘さ控えめビタースイート。
ラムと一緒にいかがですか?みたいなそんな感じの今作でした。

なお、朽木の部下たち相変わらず情けなかったですw
そして、朽木の見合いの相手の女性・・・思いっきり苦笑してしまったですよ!

1

絶食系受け

谷崎作品の受けって、なぜか恋愛小説の主人公にしてはお世辞にも恋愛体質とはいえない人が多い。仕事をさせればとても真面目で優秀、家族や仲間、友人なんかもそれなりに大切にしてて、別に薄情というわけでもない。でもその人生において、恋愛の優先順位はとても低い。仕事面で遺憾なく発揮されるすぐれた頭脳も色恋沙汰には切れ味鈍く、他人が自分に向けてくる好意に疎いし、自分自身の相手に対する感情もいまひとつつかめてない。

 運悪くこういう人に本気で恋をしてしまったら、まず相手任せじゃ何事も進展しない。嫌われたら困るとか、その気になるまでじっくり待つとか悠長なことをほざいてたら、一生待ちぼうけに終わる可能性が高い。なので必然的に谷崎作品の攻めは大抵強引で、ガツガツ攻めてくるタイプにならざるを得ない。極端な形で表れたのが、初期のころの「最後のテロリスト」とか「真音」のようにいきなりレイプから入る攻めでしょうか。

 本作の一之瀬も、結構押せ押せでいってます。前作ではかなり阿漕な策も弄して接近し、ふたり遠い異国で巻き込まれた政変騒動までちゃっかり利用して、力業で身体の関係にまでこぎ着けました。アルコールが入ると拍車のかかる朽木の流され体質につけ込んだのはもちろんですが。
 でも前作では、とりあえずまとまった感が強く、最後までLOVEの気配は希薄なままだったので、そのあたり続編の本作で増量されていることを期待したのですが・・・

 結論からいうと、やっぱり朽木は正統派の谷崎作品の受けでした。恋に狂って自分を見失ったりすることはなく、最後の最後まで平熱を保った感じ。一之瀬が早目に察知して手を打たなかったら、あのトンデモない縁談だって、流されついでに受け入れちゃってたかもしんない。ゴーマン俺様で常に余裕かましてるような一之瀬ですが、実は水面下では彼なりに苦心惨憺してるのかもしれません。朽木を自分のものにしておくために。ああいう自覚がなくて、なのにフェロモンだけダダ漏れな朽木のようなタイプって本当に罪つくり。きっと母校の中・高にも、東や一之瀬だけじゃなく、もっと犠牲者はいたように思われます。まあ朽木が「愛こそすべて」とか言い出したら、それはもうくちきじゃなくなるんでしょうし。
 BLに甘さやパッションを求める向きには物足りないかもしれませんが、そういう人は初めっから谷崎作品を手に取ってないか。でもこの淡白さはイマドキの若者のスタンダードでもあるのかな(草食系からさらに進化して絶食系とかいわれてるし)。

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