きみは藍色の夜に生まれた

kimi wa aiiro no yoru ni umareta

きみは藍色の夜に生まれた
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神2
  • 萌×22
  • 萌4
  • 中立1
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
3
得点
31
評価数
11
平均
3.1 / 5
神率
18.2%
著者
さとむら緑 

作家さんの新作発表
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イラスト
サマミヤアカザ 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
価格
¥657(税抜)  
ISBN
9784778114947

あらすじ

平凡なサラリーマン・神宮司智久がアパートに戻ると、突然王子様のような美形が天井を突き破って降ってきた。男は二階に住む桐生青衣。老朽化した床が彼の蔵書の重さに耐え切れずに抜けたのだ。修理が終わるまで空き部屋で同居する羽目になった二人だが、青衣は人懐っこいが常識のない男で、部屋にセフレを連れ込む。怒った智久は青衣を追い出そうとするが、青衣は謎の事情から金も行く当てもないらしく――。

表題作きみは藍色の夜に生まれた

2階の住人でフリーター
大家の孫で商社の会社員、26歳

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数3

作品全体に青

さとむらさんの作品では、一番好きです。

受けの智久はノンケのリーマン。
祖母が持っている古ーいアパートの一階に住んでいる。
ごくごく一般的なノンケ代表といった男。
子供の頃に買って貰ったイルカのぬいぐるみに特別な思い出を秘めていたが、元彼女に気持ち悪がられ捨ててしまった。

攻めの青衣はいつもお金がなく、ロシアを研究する部屋が本だらけのフリーター。
異常に人懐こく、男だろうが女だろうがとにかく側に誰かしら一緒に寝ていないとダメ。
外国の血が混じっているだろう容姿端麗で施設育ちの捨て子のため、自分の詳しい出生を知らずアイデンティティを確立できていない。

出会いは智久の部屋へ、二階の青衣の部屋の床が本の重さで抜け彼と荷物が降ってきたこと。
大家の祖母に部屋の改修まで空き部屋への同居を命じられ、智久は渋々嫌々、青衣はウキウキでスタートする。

青衣には智久が当たり前と思っているような一般常識が欠如しており、部屋へ人を連れ込んで寝ることをなんとも思っていない。
その度に智久の怒りを買い、シュンとする姿は子供のよう。青衣には何が『一般的に悪い』かなんてことがわからないから…
ただ、智久に(他人に)嫌われたくないという根っこがあるだけ。

ネタバレなしで書きますので詳しいことは省きますが、ノンケである智久が最初青衣に対して嫌悪感を抱くことは納得できますし、その気持ちが徐々に変化していく様も丁寧に描かれています。
わたしはこういう攻めキャラは大好きなのでよけい評価が甘いかもしれませんが、お勧めできる作品かなと思います。

3

突然上から落ちてきた言動が奇妙な隣人

住んでいるアパートの二階の床が抜けて降ってきた沢山の荷物とその住人。
居住不能の為、空き部屋だった隣室で同居生活を始めることになった主人公と2階の住人。
日本人離れした王子の様な容貌なのに、どこか宇宙人みたいなところがあるその住人は、共同生活なのにいきなり女性を連れ込むは、女性が駄目だと言われると男性、
あげくじゃあボクとセックスしてくれる?
そんな相手に憤慨しながらも一緒に生活するうちに見えてくる相手の寂しさと自分の寂しさ。
彼がいなくなって初めて認める生まれた感情。

物語の導入がこの2階の住人の外見を裏切る天然とも呼ぶべきかブッ飛んだその発想を持つギャップに、コメディなのか?と思いきや
その裏に抱える彼の根強い孤独感と、それを逆手にとって彼を操る、彼が依存するとんでもない男の存在と。
全くノンケの主人公がどうやって彼を好きになっていくのか、
シリアスな側面にやりきれなさを覚えながらどんどんと物語に引き込まれるのです。

この2階から落ちてきた青衣というキャラクターとその設定が気になります。
床は本が多くて抜けたのですが、ロシア語の研究をしているフリーターです。
彼には外国の血が混じっているようなのですが、捨て子で施設で育てられたためにルーツがわからない。ただその時着ていた布に本当の名前(?)が書かれていたことで、どうやら日本人でないのだろうと。
そして彼がロシア語を研究してしているのは、きっと自分のルーツ探しだったと思うのです。
彼は養い親に高校の時に死に別れていますが、その外見で「悪魔」と呼ばれ小さい頃から苛められていたと。しかし却ってその外見から大学に入ってからモテ始めたようですが、きっとそれまでの経験で彼の孤独が育てられてしまったのだと思うのです。
そこへ付け込んだのが先輩の斑目という男。
彼がとても酷い奴なのです。
彼に本当の名前を知られているので彼の「使い魔」なのだと自ら言い、いつ何時でも彼の呼び出しがあれば駆けつけることになっている。
しかも彼の仕事を請け負ってやっているのに、報酬がないとか、わずかとか!?
青衣はこの斑目が好きなのだが、その気持ちは受け入れてもらえなくても側にいることを許してもらえていて、その為にいいように、理不尽につかわれていることを自ら感じていても依存対象になってしまって離れられないのです。
寂しくて人肌がないと眠れない。
人が恋しくて寂しくて寂しくて仕方ない青衣はスキンシップが激しく、今回の同居が嬉しくてたまらないように主人公に犬のような懐き方を見せます。
しかし偽物の愛情を餌に依存という足かせで青衣という犬を縛りつける斑目という男が邪魔をしてきます。

智久は小さい頃父親に買ってもらった最初で最後のプレゼントであるというイルカのぬいぐるみを大事にしているのを付き合っていた彼女に知られた時ドン引きされてそれがきっかけで別れた、現在彼女なし。
会社の多分法務部で働き、自宅と会社の往復の平凡で余り華のない生活をしているようです。
それが、二階の住人だった青衣と共同生活をすることで、波瀾まみれの毎日が訪れるわけです。
女性を連れ込んだ青衣にキャンキャンと説教し、男性を連れ込んだ時は塩をまき、大騒動する。
人と一緒に暮らすのが嬉しくて激しいスキンシップをしてくる青衣がうっとうしく思いながらも、彼の孤独を知り、
自分が捨てたイルカのぬいぐるみを彼がひろってアリョーシャと言う名前をつけていたのを知った時、一つ何か動いたのだと思います。
彼はノンケですから、むやみに接触してくる青衣がうっとうしいと思い、キスされそうになった時も本気で嫌がって、まさにノンケでした。それが少しずつ変わっていく。
慣れというのもあるのかもしれないのですが、ずっと一人で暮らしてきた智久も自分は寂しかったという事を自覚するからです。

もうっ!この斑目という男のズルさ、卑怯さは読んで憤慨してください。
この二人がくっつく姿は、決して今までの様な依存ではないと思います。
だってそこには思いやりがありました。
斑目に対して青衣も思いやりをもっていたのかもしれないですが、質が違います。
主人公達の思いやりは相手を守りたいという純粋な動機からの思いやりだったと思うから。

いっぱい書きたい要素があるのに上手くまとめられないです(涙)
軽さと重さが混在しながらとっても切ない、でもポジティブなお話。
智久の心の変遷がとても丁寧で出来事が上手く絡んでとてもよかったのです。
萌×2と迷い中

5

天才となにかは紙一重的なものでしょうか

頭の出来と性格的なおバカ具合と言うか切なくなるくらい愛情に飢えている姿が
目に浮かんでくるような作品で、個人的には好きになれない感じでしたね。
二人の出会いはかなりびっくり仰天、前にニューズで見た事があるけれど、
書籍の重みでアパートの床が抜けてしまう、そんな展開での出会いが本書です。

祖母が大家をしている築30年の古いアパートが舞台、1階に普通のリーマンとして暮らす
智久がまるで天中殺のような1日を終えて帰宅した途端、2階の住人が本と一緒に
天上の床を突き破って降ってくる。
そして振って来た住人はかなりの変わり者みたいで、初対面なのに馴れ馴れしい。
自分のペースを崩されがちになりながらも部屋が治るまで同じアパートの隣室で
寝起きを共にする事になってしまう。

しかし、その変わり者の住人青衣は重度の寂しがり屋でいつも人肌を求めているようで
部屋が直るまで同居する智久がいるのにもかかわらず部屋に男女問わず連れ込む。
今度したらたたき出すと言うと、代わりに抱かせてくれる?なんて可愛いお願い。
そんな変わり者で、オツムが弱いのかと疑ってしまう青衣はロシアの研究をしてて
ある人物にいつも呼び出され、その人の為にレポートや資料を作成しお金まで
差し出しているような話なのです。
本名を知られたからその人の使い魔になっていると言う青衣。

次第にその全容が見えてくるが、智久はかかわらないようにするつもりが
いつの間にかバカな青衣が気になってしまう。
青衣も下半身が節操無しで、でもいつも誰かに求められていたいと思っている寂しがり屋
そんな寂しい心が愚かな行動をしている。

智久と出会ったことで、この人だけと言う気持ちを覚え、成長していく話でもあり、
智久は寂しいと思う心を心の奥に閉じ込めているような感じがやはり青衣と
出会ったことで、素直に気持ちを露土出来るようになる、そんな内容でもありました。
ちょっとミステリアスな雰囲気もあるのですが、最後はバカップルかも。

2

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