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tabi no tochuu ni iru kimi wa
やけに淡々としているように感じる作品で、穏やかな雰囲気もあるけれど、
内容的にはかなり手酷い扱いを受けてる未雲をその手酷い扱いをしてる津久井の
友人である積田が本人に知られないように心を砕いて思いを寄せてる風でした。
2年も付き合った恋人がある日突然何も言わずに姿を消してしまう。
仕事も辞め住まいも連絡先も手掛かり一つ無い状態で消えられた未雲。
でもその割に嘆き悲しんでと言う感じも無くてかなり淡々としてる諦めがある。
それは2年間の二人の付き合いの中で、どこか二人は一線を画していたから。
消えた恋人は頻繁に浮気はするし、それでもいつも遊びで戻って来ていたから
気持ちはまだ、自分にあるのだと思っていた後の消失。
それでもどこか心に蟠る思いを抱いていた未雲は恋人の友人だった積田と共に
消えた恋人を探す事にするのですが、その積田との関係は恋人といた時より
とても楽で、気を使わない相手で更に自分を好きだと言う気持ちを暗に言われ、
軽口をたたきあいながらもいつしか二人の間に育っていたものがある感じ。
結局元彼と再会しても、冷静で積田と共に元カレを探す日々で元彼への
思いを完全に過去の出来事にしていた内容でした。
しかし、いかなる理由があるにせよ、元カレのやり方は気に入らないですね。
淡々としているけれど、内容的には抑えた感情がたっぷりな気がします。
2年間付き合ってきた恋人が突然家も引き払い、仕事も辞め、連絡も取れなくなりいなくなってしまった。
恋人の友達でもあり面識もある男と一緒に思い出をたどり、過去を回想し、彼を探しに出るのだが・・・
一冊読み終わってみると、主人公の未雲はずっと片思いをしていたような気がします。
一目ぼれをして付き合いはじめ、だけど相手は浮気を繰り返す。
それはいつも同じ相手と継続というわけではなく、つまみ食いのようなものかと。
付き合い始めてしばらくして、熱いものはなくなったけど寄りそう時に触れあう肩口が心地いいとか、恋人ってそういうものかと思っていた主人公。
この主人公がまだ21歳。
一人の人と添い遂げるということが夢ではないけど、彼のゲイとしてのそういう場所で聞くゲイの付き合い方に感じる狭い世界での付き合いは嫌だというスタンスは見てとれるので、一人の人ときちんと未来を見据えて付き合いたいとおもっていることは解る。
だけど圧倒的に相手との温度差が感じられるのです。
彼氏である津久井の元同級生であるという積田という男。
彼は人当たりがよく、ある意味人たらしな面が見える(それは長所として)彼に対して主人公の未雲がツンケンした態度をとるのは、以前津久井にデートの約束をすっぽかされた時にキスされたのを覚えているから。
それを意識しているから。
本当は彼のほうが居心地がいいことがわかっていて、無理矢理彼氏にこだわっている感が未雲に見える。
積田は、本当は津久井の行方を知っていた。
それを隠して、未雲につきあっていた。
この物語は、発端から始まり回想と遠回りな積田と未雲の姿を描くことで、未雲と津久井の付き合い方と距離を見せ、積田と未雲の可能性とそこに潜む結末への糸口を見せて進む為、非常に温度が低く盛り上がり的には欠けてしまう。
津久井の非常に低い温度は、彼が失踪した理由を知るにつけ、初恋に囚われて今まで本気の恋はできない人だったのだという結論でいいのだろうか?
この津久井を探す未雲の姿と積田の絡み、そして過去の総てが、二人がくっつく為の伏線だったと思われる。
もしくは、津久井の存在そのものがそうだったのでは?
今回若干隠れグルメ作品になっていたような部分も見受けられました。
題材とか素材はいいのに、主人公も津久井もちょっと暗さを感じ、積田が明るさを演出しているのかもしれないが実家へ帰った時の傲慢な姿に普段とのギャップを感じてこの人も二面性のある人と驚いたり。
何かが足りないと思ってしまうのが非常に残念。
あとがきがいつもネガティブで、作者さんの熱みたいのが感じられたらもうちょっと入れ込めるのにな~といつもいつも思うのです。榊作品、ここ最近読むのに挫折したり、読んでもレビューまでこぎつけられなかったり、
それを思えば今作は読みやすかったかもしれないが、いつも困るのが萌えどころがないことだったりしてしまうのです。