__モコ__
ss『tokei-chapter2-』(dramacd「itoshii koto」booklet)
ドラマCDブックレット内のSS。
寛末目線で進む、二人の思いが通じ合ってからの、お話。
東京に住む恋人に会いに出てきた寛末。
翌日は休みだからと決め込んで、裸のまままどろみながら寝る二人。
急な用事で出て行く松岡が風邪気味の寛末に薬を渡し、彼が出て行った後に元の場所にしまおうと引き出しを開けた寛末は――と進んでいきます。
この時の寛末は、松岡を好きで好きでたまらない。
大好きで大事で、抱き締めたくて仕方ない。
そんな松岡が、ひっそりと秘密にしていたこと。
それを知った寛末が思うこと。
機微な動き、思い、空気、台詞。
全てが切なくなるんですよー…このSSは。
何で自分の時計がここにあるのだろう、と寛末は思うんだけれど。
松岡の、秘密の仕方にすら愛を感じるんです。
だから、言い出せなかったことも自然と分かったり、自分から話を振ったり。
小さく震えて泣く松岡をより一層愛しく思って、目尻の涙をすくって。
嘘や秘密。
その積み重ねが長くなってきっと、松岡は苦しかったんだろうけれど。
何てことない、と、寧ろ優しくしてくれる寛末にもっと涙が出たんだろうなって思います。
「ずっと大事にしてくれて、ありがとう」
寛末はきっと、時計も、自分への気持ちも、痛いほどそれから感じ取れたんじゃないかな。
もっと寄り添って、もっと愛を与えて受け取っていって欲しいな、と涙ながらに思いました。