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ユーモア&ペーソスが共存する作者様の独特な作風を味わうには、本作がそのよき見本になりそう。あまりにテーマが重いので、笑いの要素がなければ読めないお話です。身体的なエロはないけど、関係性のエロスは堪能できます。
美しい高瀬兄弟の兄・偲の死から始まるダーク・コメディ。
高瀬兄弟は常に一緒。特に排他的な偲は弟の恵を溺愛するかのように異常なほどガードしていて、まるで近親相姦をにおわせるほど親密すぎる二人は大学でも有名な兄弟でした。
高瀬兄弟と同じゼミで日本の民俗学を研究する亨は、どちらかというと彼らを不快に思っていました。毒舌で性格の悪い偲を嫌っていたうえに、恵とは資料読みで一度接点があったきり。ですが、偲が亡くなっても不気味なほど淡々としている恵のことが気になります。訳もなく人を嫌うのは好きの始まりだぞ!と、研究助手の宮内佐代子に促され、亨は研究資料を携えて恵の棲家を訪れますが…
ここからホラーなのかギャグなのかよくわからない展開が始まります。偲がゾンビ状態でまさかの復活?…してしまうんですよこれが笑
エロなし作品なので、厳密には攻めも受けもありません。しいていうなら、偲が恵にヤらせろ!と迫っていたらしいので、偲は攻めキャラでしょうか。恵を溺愛…?いやいや、生前の偲の言動について死後の本人から解説を聞いたらぞっとしますよ…。さらに、佐代子の立ち位置にもある意味ぞっとする。読了後に洒落怖なタイトルを振り返ると、これしかない!ってくらいピッタリだなと。
しかしながら三人を最後までしっかりと見届けると、偲は彼なりに恵を愛していたことがわかるし、彼の死が恵に愛をもたらしたと思うと、切なくて泣けてきます。そんな恵をなぜ亨が好きになったのか…愛に理屈はなくて、当たり前の結果だったという亨のセリフに、エゴのない愛の姿を見たような気がしました。
親から愛情をもらえなかった子供たちが主役となる伝統的なBL設定には、暗くて重くて文学的な趣が伴いがちです。深刻なのはちょっと…と敬遠しそうなところをコミカルに茶化しながら、愛とエゴの相克をザクっと描いてしまう作者様はやっぱりすごいな〜と思います。
このお話はもともとは偲が主人公だったそう。死んでも生き返らせてしまうくらい彼のことが描きたかったんだなぁと、作者様の強い思い入れが伝わりました。うーん、どう考えても偲は主役としか思えないくらい強烈なキャラなんですけどね笑
すごい面白かったです。
先が気になるストーリー展開で、ワクテカしながらページをめくりました。
ホラーとコメディを融合したようなお話。
薄気味悪さと、なんとも言えない力の抜けたユーモア。
笑えるのにキューンと切なくなってしまう絶妙なシーンがたくさんありました。
BLでこういう話は珍しいので、新鮮さもありました。
ストーリーだけじゃなく、キャラも良かったなァ。
異常に仲良しだった兄弟の兄が死んでしまうところから物語ははじまります。
残された弟は、生活能力がゼロ。
弟を放っておけない主人公は色々と面倒を見るハメになる。これがなかなか報われないもんで、それが哀れで愛しくて笑える。
弟は、兄が死んではじめて「生きること」に直面する。エキセントリックながら普通の感情を覚えていく彼の心の有り様は興味深かったです。
でも兄は死体のまま復活しちゃうんだよね。コミカルながら悲しいホラー展開が待ち受けてます。兄は兄で、悲しい人間で。
しかしこれ、説明では伝えづらいお話だなァ。
とにかく面白かった、とだけ。