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oresama kyuuketsuki to doukyochuu
吸血鬼ものファンタジーで、再会ものでもありました。
子供の頃から不思議な光景を何度も思い出していた受け様、それは夢と言うにはかなり
はっきりしたもので、でも真実だとも思えないような出来事。
幼稚園くらいの年齢だった受け様はある日お城を見つけそこで鬼に危うく襲われそうに、
しかしその時、そのお城の王様が助けてくれたと言う現実ではありえない内容。
両親が共に事故で亡くなり同じ車に同乗していた受け様は奇跡的に助かり、
それから5年の月日が流れ幼稚園の頃過ごした町に戻ることになるのですが、
偶然降りる駅とは違う駅で降りてしまい、そこから歩いてアパートへ向かう事になるが
そこで子供の頃に見た記憶にあるお城を見つける。
子供の時はお城と思っていたのは高級住宅街の豪邸の一つで受け様は子供の頃の出来事が
本当の事だったのではと確信する。
後日その家に再び行ったときに何か苦しむ声が聞え倒れている男性を助けるが
子供の頃に助けられた王様で、更に王様だと思っていた攻め様は吸血鬼で自殺をしようと
していたと聞きビックリしてしまう。
挙句、自殺を邪魔した罪で攻め様の下僕をする事になり、日和見で目立たないタイプの
受け様は逆らう事も出来ず従ってしまう。
そのやり取りがオレ様吸血鬼と言うより口うるさいオジサンみたいな雰囲気で
長いこと日本に住んでると、こんな風に洋物吸血鬼さんもお小言を繰り返すオジサンに
なってしまうのかと思ったりします。
受け様は吸血鬼が怖いのと、頭ごなしに敬語も仕えないと怒られながら、逆らう事が出来ず
云いたい事を飲み込みながら下僕としてハードな生活をするのです。
躾けのなっていない受け様を攻め様が躾け、立派な社会人になるように生活改善まで
してるような家族的な雰囲気になって行くのですがその理由も後に解ります。
家族を亡くして寂しかった受け様と400年も寂しい生活を続け、叶わぬ夢を見てしまう
自殺願望のある吸血鬼、吸血鬼ファンタジーなのですが、あまり吸血鬼ものって言う
感じは何故か気薄な気がするのですが、ハッピーエンドなので後味は悪くないです。
何かもう1歩欲しいかな~とは思いますが、
人外の王道とも言えるものであり、
ついついホロっと涙してしまいました。
そんな自分にも、予想外です。
吸血鬼と人間の再会もの
大学生の啓太は、ひょんな運の悪いことに、
吸血鬼のアルノルトの下男として
世話係をさせられることになってしまって。という始まりです。
アルノルトは、傲慢で、俺サマな性格なのですが、
その中で、ちゃんと啓太のことを思っていて、
思っているからこそ、啓太を手放そうとする展開に、
引き込まれました。
ただ、主人公の啓太があまり好きではない性格だったです。
もう少しだけ、ポジティブであってもよかったかな~と。
設定とか部分部分が面白いのに、何だかサラサラサラ~と終わってしまった。
意外性を求めるわけではないが、全てが予想通り。
そして何となく”運命の出会い”で全てが始まってしまって、決着がある。
読み終わって、悪くはないんだけど、何か残念な気もしてしまう。
啓太は両親と共に事故に遭ったが一人だけ生き残ってしまい、叔母の元で過ごし、そして大学生になって一人暮らしを始める。
幼稚園の頃、”お城” で ”鬼” に襲われたのを ”王様” に助けてもらった記憶がある。
一人暮らしは、その幼稚園の頃住んでいた街。
そして彼は偶然、その”王様”に出会った建物を見つけるのです。
そこで出会ったのは、まさにその時の”王様”
何と!生きていることがつまらないと、陽に当たって自殺しようとしていた吸血鬼アルノルトでした。
彼は酔狂にも、啓太のアパートに来て一緒に住むことになります。
俺様な態度に、啓太は下僕となるのですが、次第にアルノルトの事ばかり考えて、彼に恋をしているのだと気がつきます。
しかし、それは魔力のせいでそうなっているのだと、否定される啓太。
そして、アルノルトは啓太の元を去って行ってしまうのですが・・・
自殺をしようとする吸血鬼!?
400年も生きて飽きたとか、外見は昔のヨーロッパ貴族みたいな恰好をして、そして俺様。
酔狂で啓太の部屋に来たのに、狭いと文句を言い、柩も啓太に運ばせたりと、
そして、啓太が自ら下僕生活に歓びを見出していく、
そんな導入は面白かったのです。
ただ、啓太がとても弱気で内気でそして健気すぎて、一直線にアルノルトの事だけ考えてのめり込んでいく一方なので、途中に波瀾があっても、何か面白くないんです。
確かに自己主張がない彼が就職活動で失敗続きなのを、アルノルトが訓練するとかあってそれもまたおもしろい設定ではあるのに、
何だか啓太のリアクションが薄くてというか、ワンパターンのアルノルト盲信しかないので、それがつまらない原因なのかな?
一途すぎるのも、どうかと・・・
またアルノルトも、気まぐれだったとは思うのだけど、啓太と暮らすのが楽しかったのかもしれないけれど、俺様で傲慢なのに、何となくすごくイイ人な、残念な感じの吸血鬼なんですよ。
人の記憶を消したり、自在にあやつったり、闇の契約が云々だの、設定はあったり、ちょっとそういうシーンはあったりするけど、名前だけ吸血鬼って感じ?
啓太を見守っているというのがあるからかもしれないけど、彼のヒーロー的に危機を救う為だけの魔力設定?
400年も生きているって言わせて、自殺までしようとさせているくらいだから、もう少しその辺りをつっこんで彼を動かしてほしかったかな?
啓太がまっとうすぎるから。
そのアルノルトと対照的な、彼が吸血鬼にしたという、啓太が鬼と思ったとっても残酷で冷酷な吸血鬼・高田の存在は、波瀾をもたらすことで物語のヤマを作りはするけれど、何かその存在はとっても虚しさが漂うような~
とにかく見えている執着点に向かって、せっかく装備した色々な設定を振り棄てて、まっしぐらにゴールに向かって駈けて行ってしまったような感じでした。