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そのかわり、あなたは俺のものになる
柊平ハルモ先生の2013年作品。
柊平先生初読みなのですが、この作品、ちょっと戸惑う…!
主人公は売れない俳優・鈴原一誠(いっせい)。
本人はヒーロー特撮ものを志望しているが、芽が出ないまま30才を迎えてしまった。
今日もまたオーディションに落ち…
また、一誠は独身ながら亡き妹の遺児を引き取って育てている。しかもその子は心臓病で。
そう、つまり「逃げ道は、無い」設定。
そこに現れるのが、今をときめく若き脚本家・志賀。
さて、年下の売れっ子脚本家が売れない俳優に恋をして…という物語ではあるのですが。
いわゆる「普通」の展開ではありません。
志賀は一誠に一目惚れして、自分の作品に出演させる代わりに「自分の愛人になれ」と言う。
一誠は前述通り、逃げ場無し。
甥っ子の医療費を出してくれる、という言葉でもう拒絶はできない…!
…という始まりなんだけど、「普通の展開」ではない、というのは、志賀の抱く「恋」「愛」の概念が常人と違うのです。
言葉は優しく、彼の差し出す対価は大変に大きいものです。
しかし、一誠の感情を全く考慮しないその姿勢は、同じ日本人、同じ人間と思えないくらい通じ合わない。
読んでいて一誠と同じく空恐ろしくなる感覚。
…はいいとして。
それなら志賀の奇妙さ/サイコさを強調するようなサスペンス的な展開でも良かったように思えるんだけど、「常識人」としての一誠のうじうじ、ぐずぐずが長くて。
BLとして、最終盤まで「恋愛」の空気感が無くひたすら同意無き強制性交、最後の最後にいきなり…なのも評価が分かれるかもしれません。
私は…志賀はキライじゃない。一誠はちょっと…
イラストは良い。
総合「萌」で。
なんか、とっても、身も蓋もない?
年下男のヤンデレ愛に苦悩するまっすぐ男のお話。
売れない俳優の一誠は、新進気鋭の脚本家・志賀のドラマに抜擢され、仕事の自信を徐々につけ、志賀を友として信頼し、尊敬もしていたのだが、ある日主役の話と同時に聞かされたのは愛の告白で、、、
志賀はその生い立ちのせいで、好きになったら愛人にして物心ともに自分の思うままに与えることが愛だと思っている。
けれども一誠は、ただ物のように、自分の心は無視して、一方的に与えられるだけの関係ではなく、ちゃんと人として愛し合いたい。
この一誠の感覚がとても真っ当で、いいなと思う。
最後、バタバタときれいにまとめにかかっちゃうのがちょっと残念だけど、全体に受けの一誠がなんに対してもとても真摯で前向きな所がよかったです。
滑稽すぎるほど一方的な過剰な愛情を注がれる売れない俳優の受け様と年下だけど新進気鋭の人気脚本家で受け様を異常なくらいの執着で好きな攻め様との心がすれ違うばかりで
幸せとは程遠い状態の中で攻め様の本質を知ったとき絆される気持ちが湧いてきて
嫌いになり切れないことを実感した受け様が攻め様の心に入り込もうとするような話で
シリアス展開だと思うのだけど以外にシュールなコミカル風味の味わいがあります。
受け様は妹の忘れ形見の甥っ子を育てるために、売れない俳優の傍らバイトで生計を
立ててる日々なのですが、ある日バイト先に脚本家の攻め様がやってきて受け様に
是非にと出演依頼を自らしてくる。
受け様にとっては夢のような出来事で俳優を諦めようと思っていた時期の突然のスカウトで
俄然舞い上がるのですが、実は攻め様は恋愛的な意味で受け様を好きで俳優として、
乞われていたのではないと知り自虐的に落ち込む。
感情的に怒りが湧き、攻め様からの仕事を辞めると決めるが違約金や心臓病の持病がある
甥っ子の手術費用の為に、かなり強引な形で愛人契約をすることになるのです。
でも、精神的には理解しがたい攻め様なのですが、攻め様の思いを知るまでは
信頼できる友人で恩人だと思っていた受け様が攻め様からの強引な申し出に嫌悪を抱き
嫌いになるしかないだろうと思われる状態になっても何故か憎み切れない。
暴力的な行動はないヤンデレ攻め様で、受け様の気持ちは一切お構いなく、
自分が一方的に好きで一途で受け様の為になんでもしようとする。
愛人にされた当初は理不尽な思いに俳優としてもネガティブになりがちだった受け様が
攻め様の育った背景を知り、攻め様なりの全てで愛されていることを知ると
何を言っても本質伝わらないような攻め様相手に一方的な関係がおかしいということや
受け様の気持ちを理解してもらう努力をするようなストーリーでした。
ストーカー的な恋愛観に欲しいものはお金で買うみたいな攻め様のヤンデレ加減が
どこか滑稽であり最後は愛しいかもと思ってしまった作品でした。