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kiseki no balance
ノベルスから文庫化した作品。
2003年の作品らしいので、かなり以前のものですね。
イラストレーターさんが変わったようですが、調べてみたらノベルス版とは180度違う絵柄でビックリ。
今作は旭炬さんなんですが、若干少女漫画ちっくです。
受けの克貴は高校三年生。
細く小柄で可愛らしい顔立ちながら喧嘩っ早く、親の悩みの種。
攻めで華やかな雰囲気を持つ菱川は、ポスター等のデザインを手がけるフリーのデザイナーで、筋金入りのゲイ。
攻め受けの両視点です。
親が旅行へ出かけている間に友人と羽目を外し、遊んだ帰り道。
都心では雪に交通機関は大混乱。
友人と別れ歩き出したは良いけれど、すっかり雪に参って倒れてしまった克貴。
そんな克貴を拾って、看病してくれたのが菱川でした。
菱川のような人はまずいないね!(笑
拾った時から克貴に惹かれていたようですが、だからってそこまでできないよねーという親切っぷり。
あーんなに甘やかされたら、誰でも悪い気はしないです。
ストーリーは特に大きな山も谷もなく、ちょっと物足りなさも感じます。
あっても、菱川の留守中に克貴が帰宅して連絡がとれなくなる程度。
ただ、ここの下りは釈然としないことも多いです。
克貴が家へ戻ってから菱川へ連絡手段がなくてぐるぐる悩むのですが、菱川が有名な菓子メーカーの社長の息子(勘当はされていても)だということは知っていますし、菱川のイトコの華子がそこに縁故採用で働いていることもわかっている。
それに携帯を菱川のところに忘れて帰っているんですよね。
親にほとんどきちんと話せていないのもなんだか…
別にキスのことだけ省けば問題なかった気もするのにな。
そして親経由で一回連絡とって貰えば良いのにー、なんて思ってしまいました。
10年前の作品で凄く懐かしいです、本を開くまで気が付かなかった間抜けブリなのですが
数ぺージ読み始めたところで内容を思い出しましたね。
ここ数年は東京でも大雪で交通機関が麻痺する現象がありますが、そんな大雪でまさに
麻痺した日の出来事になります。
大学の入学も決まり高校生活最後の春休みを友人たちと満喫していた日に大雪に見舞われ
友人たちの制止も聞かず歩いて帰る無謀な行動の果てに現代社会で雪道遭難、行き倒れに
なってしまった受け様を、拾い癖がある攻め様が見つけ自宅に連れ帰りお世話して
ゲイの攻め様と恋になるストーリーなのです。
初めは命の恩人でとても親切な人だと思っていただけなのですが、攻め様がゲイだと知り
何か言われた訳でもないのに攻め様を意識してしまう。
攻め様の性癖を聞いても嫌悪も見せず、意識してしまうと言った受け様に攻め様は
それなら遠慮なく口説かせてもらうと宣言されその宣言通り無理強いはしない程度の
接触をされ始め、ノーマルの受け様は嫌どころかますます気になる存在になっていく。
しかし、これから何か始まるかもという時に受け様は自宅に急きょ戻らなければならない
事態になり、慌てて帰った受け様は攻め様への連絡先すら聞いていなかった事に気が付くが
親に心配され軟禁状態となり攻め様への連絡が出来なくなってしまう。
その事でちょっとしたズレが起きてしまうのですが、そこは大人が動く事で無事解決、
受け様は軟禁生活から逃げ出しめでたく攻め様の事務所でアルバイトまでする事になり
その離れていた間に攻め様への気持ちが少しずつ形になり、取りあえず3月一杯までの
期限付きでお試しに付き合う事になるが付き合い始めたと言うのに何故か攻め様は
二人っきりになる事を避けるような雰囲気で逆に受け様は気になり過ぎるように。
同性同士の恋愛関係をはっきり認めることが出来なかった受け様ですが、
お試し期間といいながら自分と距離を置かれた事で逆に自分の気持ちを自覚する受け様。
初めはかなり積極的に迫っていた攻め様が急にトーンダウンしちゃうのですが、
それは受け様の事が本気で好きだからヘタレ気味になってしまうのですよ。
大きなアップダウンも無いけれど、運命的な出会いから少しずつ恋が育つお話です。