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toraware no oukami to hatsukoi no kusari
瑠加(受)視点の表題作と、相楽(攻)視点のショート「狼は迷わない」の2つが収録されています。
瑠加が御曹司で、相楽を引き取って仕えさせているとなりますと、堪忍袋の緒が切れた相楽が瑠加を突き放したり、瑠加が相楽から離れてしまうという誤解やすれ違いがどこかであるかとドキドキして読んでいたのですが、そういうのはなかったです。なので、年上の使用人攻めが、受けに豹変して逆らったり襲ったりするのを期待されると拍子抜けします。
瑠加は、子供の我儘で振り回したことを負い目に感じつつも、相楽をずっと好きですし、相楽はずっと瑠加に従順です。瑠加は臆病ですし、相楽もなかなか瑠加への好意を示しませんので、恋愛の進展はじれったいのですが、瑠加の仕事でのトラブルの話があるので、仕事モノ大好きな私は楽しかったです。瑠加が不正に加担しない潔癖さや、相楽に他の男女の影がないブレのなさも好感が持てました。
相楽は瑠加からキスをしてから返す程ですし、初エッチもそんなにガツガツした感じではなく理性的な印象だったのですが、それが「狼は迷わない」で覆されます。ワンコじゃなくて狼なんだなと思いました。
タイトルの「囚われの狼と初恋の鎖」なんですが、瑠加と相楽の両方から言えます。センスが良いタイトルだと思いました。
イラストとタイトルに惹かれ購入した1冊。
予想外なシリアス展開で、驚き、
あまり好きではない方向に物語が転がっていったのですが、
読み進めると徐々に引き込まれていきました。
が、最後の短編を読み、後味悪くなってしまいました。
物語として、面白いんだろうけど、
私の「趣味ではないな」ということで、
この評価をつけさせていただきました。
お金持ちの長男として、育った瑠加。
瑠加は子供のころ危険な目に合っているところを相良に助けられる
という経験をする。相良には両親がいないと知った瑠加は、
相良を引き取ってほしいと父親にお願いし、
相良を瑠加の家の使用人のような形で引き取ることになる。
大人になった瑠加は、裕福でカッコいい外見のため、
人からもてはやされる一方で、
外見しか見られないこと、自分の内面まで目を向けられないことに、
コンプレックスを持つようになります。
また、子どものころのワガママで相良を使用人のようにしてしまい、
彼の人生を取り返しのつかないようなことをしてしまったことに
罪の意識を感じます。
こんな関係性の2人がどうやって、距離を縮めていくかというお話なのですが、
ネガティブになってしまっている瑠加の再生のお話ともいえると思います。
幸せな2人でいてほしいな~と思わずにはいられません。
鈴倉温先生のどこか温かみを感じるイラストと囚われの狼なんてタイトルで
ぼんやりほのぼのテイストのケモミミでも出てくるストーリーなのかと思っていたら、
あらら~かなりシリアス気味で、なんてネガティブでどこか壊れているのかもなんて
思える受け様が出て来てある意味ビックリした作品。
受け様と攻め様の出会いから現在までを、その時々に起こったトラブルや様々な出来事を
懺悔や後悔、自身の嫌悪や相手に対する執着とかなり重苦しい内容満載な気がします。
それに、受け様の幼少時代のなんとも残酷なこと、子供って無邪気だから余計に
残酷な事をしてしまういい例がこの1冊にたんまり入っていましたね。
受け様は見た目は天使の如く綺麗だから美しさと対比すると余計怖さを感じる。
それでも、大人になり自分がして来た愚かさが解る時期が来ると、受け様の苦悩が
とても強くなるし、性格が悪いかと思えば意外にも潔癖だったりする。
代々医者の家系で資産家である程度の権力的なものもある家の長男で、周りからは
大事にされて誰も受け様を叱り飛ばしたり罵倒するような事が無い環境で
初めて受け様のうしろなど関係なく叱りつけ、それが執着の始まりなのです。
受け様が始めて心から欲しいと思った攻め様は、言いつけを破って入った森で野犬に
襲われそうになった受け様を助けた相手、そこからの一連の受け様の感情はどこか歪で
でも子供ながらに必死な思いを感じてしまうエピソードがあるが、読んでると怖い。
そこに、大人の身勝手で気まぐれな思惑が絡んで更に結果的に受け様を苦しめる。
簡単に言えば、初めて欲した相手である攻め様が欲しくて欲しくて、高飛車女王様が
いつしか攻め様の顔色をうかがいながらも素直になれなくてツンデレになっている感じ。
攻め様の自分に対する気持ちが解らない事で受け様は苦しむ事になるのですが、
それでも、何かにつけて攻め様の姿を追ったり、構って欲しそうにしている姿は
可愛くもあります。
そんな受け様は編集とのトラブルでピンチに陥る事になるのですが、その事がキッカケで
二人のギクシャクしていた関係が変わるのです。
素直になった受け様はとても可愛いのですが、やっぱりツンデレ気味でしたね。