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kitto yasashii yoru
「元恋人に裏切られ」が浮気されてとかではなく、恋人だと信じていた男に知らぬうちに横領の片棒を担がされ失職というハードモード。
就職難の中、なんとか再就職できたのは3ヶ月更新の契約社員という不安定な立場。
正社員になりたいと必死に仕事を覚え頑張る姿に好感がもてるだけに、その後の初エッチに至る展開に少々がっかり……。
攻めはそんな受けを二年間ずっとじっと見守ってきたけど、なんせ無骨すぎるもんで、まったく好意が伝わっておらず……。
ずっと厳しい上司モードで接してきたため、受けにとってはずっと「とっつきにくい上司」でしかなく、ようやく「尊敬すべき先輩」に変化してきた頃に、突然の告白をしちゃう攻め。
受けにとっては、青天の霹靂でしかなく……。
下手するとパワハラでは……?とすら思ってしまう。
というのも、小さい会社だし上司の告白を断った後も一緒に働き続けることができるのか?
契約更新に影響がでるのでは?
とそりゃ悩みますよねぇ……。
せめて攻めは、好きを小出しにしていれば良かったのに……とか、攻めはなんで「正社員になる気はないのか?」とか言ってあげなかったんだろう?とか読んでて思わず悶々。
で、受けは悩んだ挙句に、「ぼくを正社員にしてくれるなら」と交換条件を出しちゃう……
正直、どっちもどっちだわ……と思ってしまいました。
と、厳しいことを書いてしまいましたが、萌評価どまりではなく、萌萌評価にしたのはお仕事描写がとっても興味深くて読んでいて楽しかったから。
それと銀座和光の時計台のシーンがとても印象的だったから。
地方から出てきた受けの過去と現在が交差して、自分が夢見ていたのはドラマのような大恋愛でも、誰もが羨む純愛はなく‥‥と思うあの一連のシーンの描写がとても映像的で、心理描写と相まって胸に迫ります。
そして年末年始が一番の繁忙期で大変だけどやめたいと思わなかったのは、「裏方に徹して街を華やかに飾るのが好きだったのだ。」というところがなんかハッとさせられました。
クリスマスシーズンって街がどんどん華やかになって歩いているだけでウキウキするのですが、このウキウキした気分は大勢の人の手によって作られているんだなぁと、今まで思いを馳せることがなかった人たちへの感謝が湧きました。
読み終わって、ほぅ…とため息が出てしまったほど、読み応えがありました。
お話は、仕事の話が絡められていて骨太な感じ。
軸になっている仕事についても、しっかりと描かれていて、感心させられました。
その分全体としては、地味だったかもしれないですが、私は好きです。
キャラも堂上、理ともに「華やかな容姿」というような形容が無いので、身近に感じられて、逆に新鮮でした。
仕事も恋も、過去の過ちを乗り越えて一所懸命努力する理に、どうしても同調してしまい、切なくて切なくて。
でも、ツラい時に、理は泣かないんですよ。
諦めきっていたり、自分ばかりを責めたりして。
その代わり(?)に私が何度も泣きそうになりました。
元上司であり元恋人は、本当に人として最低ですよ。
相応の報いを、と思わずにはいられない。
あと、↓で言っておられる方もいらっしゃいますが、私もこの無骨な攻め、堂上がたまらなく好きでした。
言葉よりも行動、というタイプのカッコ良さ。
でも、最後のあたりでほんのり覗かせる溺愛と執着に…うわーってなります。
理が羨ましい…。
表題作と後日談的SS「焼き肉店の夜」が収録されています。羽根の目線で進んでいきます。
羽根(受け)は、元彼氏に騙されて退職し、契約社員で勤めることになりました。不安定な身分なので、正社員になりたいと常々思っていたところだったので、堂上(攻め)に告白されたとき、承諾と共に「入社試験を受けさせて欲しい」とお願いします。そして、条件付きでセックスに応じますが…。
羽根自身、堂上の弱味をついたような行動に自己嫌悪を感じています。羽根のそうせざるを得なかった気持ちを、私も頭では理解していますが、でもちょっとなぁ…と感情では納得しきれておらず、手離しで好きなキャラにはなれていません。羽根の言動が許せるか否かが、この作品のポイントじゃないかと思っています。
前の会社を退職した理由を隠そうとするのも、理解できているようで、なんだかちょっとどうなんだろうとも感じます。
歯の間に何か小さいものが挟まったかのような、もどかしさを感じた作品でした。展開的には面白いですし、攻めはカッコイイですし、サブキャラの江崎も男前で好みだったのですけれど。
スピンオフとして「ロマンチック・レプリカ」が発売されています。こちらの主人公の方が共感はしやすいと思いますし、すっかり堂上と落ち着いた羽根が良い感じに登場しています。この作品はちょっとなぁと思われた方にも、気に入られた方にもお勧めです。
珍しい設定や、奇想天外な発想、アッと驚く展開などとは無縁のお話ですが、面白さの要素は決してそういうところにあるのではないと、しみじみ思います。
あとがきに、「ずいぶん遅くなった」とあり、完成までに何度も見直し、推敲を重ねられたのではないかと推察しました。
さらりと書かれているように感じられるのも、うえだ先生の優れた力量によるものなのでしょう。
私は、うえだ先生の代表作を読んでから、その面白さと誠実な作風にひかれて、これまでに先生の本を、新旧とりまぜ20冊ほど読んでみました。
どの時期の本も、シンプルな筋立てであることは共通していますが、年を経るごとに洗練され、面白さが増しているように思われました。
先生がデビューされてから今日までずっと、研鑽を積まれ、努力を重ねてこられたことが伝わってきて、その素晴らしい実りをただ享受できる幸せに、感謝するばかりです。
面白い本を求めている、わりと一般的な趣味の人なら、読まないのはもったいないと思います。
登場人物の感情の流れが繊細でとても素敵な作品だと思うけれど好みでは無い。
恋人の裏切りで横領の罪で有名アパレルを退職し再就職した先がディスプレイデザインを
手がける会社、不景気でやっと見つかった先だが、契約社員としての採用で、
2年過ぎても正社員になれない状態ながら仕事のやりがいはあるが、受け様は安定しない
収入に若干怯え気味な設定。
そして攻め様は受け様の上司でディスプレイデザイン会社のチーフ、仕事は手抜きをしない
指導もかなり手厳しい感じながら、受け様はその手腕を尊敬をしている。
受け様は攻め様の指導の下、懸命に正社員に一刻も早くなりたくて頑張っているが、
そんな時に、ちょっと寡黙で強面な攻め様から、好きだと付き合って欲しいと告白され、
受け様はこの話を断れば正社員の道が閉ざされるのではないかと言う思いと
攻め様の自分に対する好意を知り、受け様は攻め様と付き合う代わりに正社員に
なりたいと告げてしまう。
受け様の背負った過去の恋や現在の生活の苦しさを考えれば気持ちは分からなくはない、
でも相手の気持ちを利用するのは、受け様を騙した過去の恋人と同じような事をしてると
後に気が付くが、罪悪感を持ちながらも、攻め様の押しつけがましくない優しさに
次第に心惹かれる受け様。
しかしそんな時に自分を騙した元上司の元カレがディスプレイの仕事を依頼する為に
訪れ、受け様は動揺、更に元彼に退職した訳を今の会社に告げると脅され、
再び水増し請求を示唆されながら脅される。
まったく、若い子を騙した挙句、罪を被せ更に同じ事をさせようとしているオヤジが
感に触って仕方ない、さらに攻め様がその事に気が付き受け様のために一矢報いてやる的な
行動を起こすけれど、過去の不正まで話は及んでいない事が何となく後味悪い。
受け様は好きになってしまった攻め様だけには過去を知られたくないと悩みながらも
不正の片棒は二度としないと、でも知られるのは怖いから、言いなりになる振りで、
元彼を欺きながら、今の会社を辞めるて田舎に帰ろうと決める。
無骨で寡黙な攻め様が何もかも全て知っていたような展開なのですが、
その間受け様は一人で延々悩んでいた事になるのです。
まぁ、無骨でペラペラ話すタイプではないので、この展開になるのだろうと思うけど、
いい話だけど、個人的な趣味ではないかもと思った作品。
久しぶりな、うえだ真由さんの作品。
発売を知ったら、もう、即購入でした。
武骨で職人気質な堂上と、
健気だけどちゃんと自分の足で立とうとしている羽根のお話。
受である羽根が、攻に甘え切る性格ではなく、
一人前になりたいと前を向いているところがとても良かったです。
羽根は、
ショーウインドウなどのディスプレイデザインの会社で
契約社員として働いています。その会社の上司が、堂上です。
羽根はどうしても、正社員になりたいと思って、
毎日頑張っているところに、堂上から告白されます。
そこで、羽根は、正社員試験を受けさせてほしいと願うのでした。
羽根は、元々、アパレルの販売員をしていたのですが、
付き合っていた男に横領の汚名を着せられ、
恋に破れ、仕事も失くしたという経験があったので、
どうしても、正社員になることで安心したかったのです。
正社員試験に合格し、念願の正社員になれるのですが、
羽根は自分が元彼に利用され、辛い思いをしたはずなのに、
それと同じようなことを堂上にしてしまったと気づき、
後悔します。そして、堂上に惹かれていく自分に気づいたから、
なおさらでした。
そんな中、羽根の元彼が、仕事の客として現れたて!
という展開です。
仕事中心のお話なのですが、そこが潔く感じました。
イラストも素敵でした!
久しぶりの新刊でしたが、しみじみと切ない、いいおはなしでした。
主人公の受けの、おびえきったところと、それでも誠実で真面目なところが、まさに長所と短所は表裏一体というかんじで、ハラハラしながらも、途中で、あまりにもかわいそうで、涙目になりながら読み進めました。
はっきりいって、BL以外で、こういったネタや展開を読むのはつらいんですが、BLなら絶対にラストはハッピーエンドだと安心して読めるのは助かります。
予定調和でも、テンプレでも、王道でも、世の中の現実はつらいことが多いので、せめておはなしの中では収まるところに収まって、主人公には幸せをつかんでほしい・・・そう思って、BLを読んでいる自分のような読者には本当に有り難い。
ちょっと往年の月村さんを思い出すような、人のこころの、ちょっとズルいところ、怖いところを見せつつ、それでも、ちゃんと人と向き合い、自分の気持ちに正直に生きていれば、きっといいこともあるよ、と思わせてくれるところがよかったです。
でも、イラストは、あっさりしすぎだったかも?
主人公の前彼はイメージが違いました。
表紙は、とてもきれいだったんですが。
久し振りのうえださんの新刊です。あえて言わせてください、いくらなんでも久し振り過ぎです。
すごく楽しみにしてた反面、同じくらい不安だったんですが(勝手に期待し過ぎて裏切られることが大変多いので)、杞憂でした。
こちらは、最初に予告が出てからもう4年?5年かな?随分待たされました・・・正直、一時はもう出ないものだと諦めてましたので、今回の予告が出たときは『また延期か中止になるんじゃ・・・』と実際手に取るまで半信半疑でしたよ(いえ、延期にはなりましたが、同じ月のうちなので)。個人的には出てくれただけでも嬉しいんですが、その上好みだったのでホントに嬉しい。
とにかく、うえださんと金さんという『大好きな作家さんの組み合わせ』で、否応なく上がった期待にもきちんと応えてもらったという感じです。待ってた甲斐は十分ありましたよ。
ストーリーもですが、メインキャラクターも2人とも結構地味です。
永貴(攻)は、仕事はできるけど特に完璧な人間というわけでもないし(←私は完璧な攻は好みじゃないのでそのほうがいいんですが)、理(受)も過去の苦い経験からも恋愛には懲りていて、恋愛の意味では別に好みじゃない・特別には思っていない上司に告白されて、謂わば交換条件を出してしまうような狡さを持ちながらも、決して開き直れず負い目を引き摺ってしまう。
そういう良くも悪くも『人間的』なところがとても丁寧に描写されていて、ただ綺麗なだけのキャラクター・ストーリーではないんですが、かえってそこがよかったです、私は。
そして、この永貴は私は好きだなあ。寡黙で武骨な男前。ぶっきらぼうだから一見『俺様』なんですが、その実ホントにいい男でした。身勝手な俺様攻は大キライですが、こういう攻は大好きだ!
お仕事ものの要素も入っていますが、個人的には『仕事ばっかり』ではないところもよかったです。
ただ、メイン2人のラブに加えて仕事に理の過去にとあれこれ盛りだくさんなので、すべてを深くしっかりとは行っていません。予想通りに落ち着いたと言えばその通りでしょう。まあ、ちょっとあれどうなったの?というところもありますが・・・(理の過去の男に関わる顛末がね)。
それでも私は物足りないとまでは思いませんでした。少なくともまるきり放置といった部分はなかったと思うし、それなりにはきちんと纏まっていたんじゃないかな。
『ああ、うえださんだ』という感じの、確かに地味だけど静かで素敵な作品でした。好きですね。